勝ちが欲しいのはヤマヤマだが、前向きな内容だったんじゃなかろうか? ~神戸戦レビュー~
0.まえがき
SANFRECCE Diary に書いてありましたが、5月10日にルヴァン杯で鳥栖を破るまで、4月7日のG大阪戦から1ヵ月以上、サンフレッチェ広島は勝利から遠ざかっていました。
長らく続く低成績のせいか、このところ、広島系ブログへのアクションが弱まっている気がします。
特に、(自ブログに限った話ではないのですが、)敗戦直後に載った記事へのアクセス数や「支持する」数が、私の想像よりも少なかった時に、当然のこととはいえ、一抹の寂しさを感じます。
応援するチームが負けたら、その記事を読むのは私も嫌だし、仕方ないことではあるけど、でも、せっかく記事を書いたなら広く読んでいただきたいな、というのが本音ですよね、みんなきっと。
まあ、私の場合、読みかけで時間切れ、なんていう「あるある」がありそうですが(苦笑)。
今回の記事も、とてもボリューミーになっていますので、覚悟してお読み下さい。
1.本来ならベストといってもいいメンバー
2017年5月6日、土曜日。
この日、サンフレッチェ広島は、3連敗と調子を落としているヴィッセル神戸をホームに迎えました。
思えば、前回レビューした仙台戦と同じシチュエーション。
今度は勝ち切ってほしいねえ、と思っていました。
卓人やシバコーらを欠いた開幕戦、カシッチや青ちゃんを観られなかった第2戦など、苦しいメンバー構成で戦ってきた今年のサンフレッチェでしたが、この日は、カズがベンチスタートという点を除けば、本来ならベストメンバーと言ってもいい、そんな面々が名を連ねました。
2.放送席から
NHK-BS1での生中継は、サンフレ的には今年初めてだったはずです。ちょっと意外。
一方で、地元のみとはいえ、地上波ですでに3回放送されていますから、今年のNHKはありがたみがあります(笑)。
放送席は、和司さんと下境秀幸アナウンサー。
下境さん、もうすっかり、サンフレ放送の新しいキーパーソンになりましたね。
𠮷松さんほど個性は強くありませんが、まだ40歳前ですし、これからに期待です。
なお、岡部主審をつい「岡田さん」と言ってしまった下境さん。
もしかして昼間、カープの試合を観ていたのかな?(因みに、カープが9点差を逆転負けした日でした…)
※岡田投手、13日の巨人戦で勝利を飾りました。目出度い!
3.前半の推移
さて、今回はいつもと形式を変えて、先に試合経過をメインにひと通り綴ってから、特筆したい事柄をピックアップしてみようと思います。
試合が始まり、例によって、相手チームからのプレスに対応する形の広島DF陣。
しかしこの日の最終ライン、序盤から、割と高い位置を取っていたように見えたので、「この高さをなるたけキープしたいところだなあ」と思いながら観ていました。
また、守備時の応対も、ガツガツ取りに行くという感じではなかったものの、立ち上がりをつつがなく終えることができたので、とりあえずはこれでいいだろうと思いました。
試合は、比較的広島寄りのペースで推移していましたが、前半32分、前ガンバ大阪の大森にゴールを許し、痛い先制点を献上してしまいました。
ガンバ時代にも痛い目に遭っていた印象があった(うろ覚え)のですが、それはさておき、ここは相手の崩しを褒めるべきところ、だったと思います。
ただ、守備陣の対応にも問題がありました(後述)。
4.後半の推移
後半に入り、前半よりも動きが良くなったサンフレッチェが、7分、Aロペの今期リーグ戦初ゴールで同点に追い付きました。
因みに、私は「J1初ゴールか?!」と思ってしまいました。嗚呼、勘違い。(昨年、2得点してました(苦笑)。)
同点直後、「若干せわしないなあ」と感じていたところで、野上に代えてカズが投入されましたが、交代後、球離れの良さや守備面での効用など、バランスが良くなった印象がありました。
勝ち越し点を許す心配は少なくなった、と思いました。
後半36分、先発復帰していたミカから壮也にスイッチ。
ミカの攻守の切り替えはさすがでした。
そして今後は、この交代策が定番になりそうな予感がしました。
後半を通じては優勢を保ったと見えたサンフレッチェでしたが、最終盤は、なかなか攻めの形を作ることができませんでした。
特に、Aロペの疲労感が顕著だったので、ここに残り1枚の交代枠を使う選択がなかったのかな、とは正直思いました。
もちろん、高さの面とか、前線にポイントを置きたいとか、ポイチさんの狙いは想像できるのですが。
こうして、試合は1-1で終了。
勝ち切れる場面もあったので、勝ち点3を獲れなかったのは残念でしたが、それでも勝ち点1でも獲れたことは良かったと思います。
(負けてしまうよりは全然マシでしょう。)
5.勝てていない弊害
では、ここからは試合中に気が付いた事柄を何点か挙げていきます。
まず、立ち上がりは無難に滑り出した、と思ったのですが、個人のレベルでは、プレーの選択がちぐはぐしているケースも少し見受けられました。
例えば、シバコーがフリーで持ったとき、工藤が浅いラインを突破するべく走り始めていたのに、その外のカシッチを経由させた、という場面がありました。
その工藤も、ペナに入るためのスペースが空いていたのに、ゴール前に迫るより先にシュートを選択してしまった、ということがありました。
(もっとゴールに突進してからの方が確実だった、というのは結果論ですが。)
シバコーの選択自体は決して悪くなかったけど、あそこは単純に裏のスペースに出せばいいよ、工藤を使うのがいいよ、と思ったし、工藤のも、「ゴールが見えたら遠目からでも狙ってみる」という意味では、これも悪い選択ではなかったけど、ちょっと慌てたのかな、と思ったし。
この辺りは、試合を勝ち得ていないことが判断力に影響しているな、と感じさせられました。
6.なぜ足を出さなかったのか
そんな弊害は感じつつ、試合自体は0-0で推移していたのですが、前半32分に失点。
確かに、相手の崩しを褒めるべきところ、だったと思うのですが、しかし。
私はプレー経験に乏しいので、技術的に妥当な話ではないかもしれませんが、あの失点シーンで思ったことは、「なぜ誰も足を出さなかったのか?」という疑問でした。
守備陣は、頑張って「人」に付こうとはしていました。
しかし、前に立ちふさがることはできても、ボールにチャレンジすることはできませんでした。
ボールを奪うためには足を出さなければならないはずですが、それが全くできなかったから、簡単にシュートを打たれてしまったんじゃないのか?
そう思ったのです。
今期のサンフレッチェは無失点の試合が数えるほどで、失点数自体は少ないのですが、とても印象が悪くなっています。
ただ、セットプレーの守備がクローズアップされていますが、実はそれ以上に、本来の粘り強い守備ができなくなっていることの方が重大なのではないでしょうか。
とにかく、能動的なディフェンスができていないんですよね。
相手の動きについていくだけで、「ボールを奪ってやろう」という意志に乏しい守備が、今年は本当に目立ちます。
ポイチさんが「球際を厳しく」と口を酸っぱくして言ってるはずなのに、何でこうなるんだか…
バランスを崩してまで無理にチャレンジする必要はないけど、フェイクでもいいから、もっと足を出した方がいいのでは?
仕掛けてみてはいいのでは?
7.思い出すだけでいいはず
これも勝てていない弊害なんでしょうか。
いや、出来ないわけじゃないんですよ。
後半20分頃、ゴール前で相手の攻撃陣がスイッチして崩しに来たところを、人へのマークを外さずついていき、しっかり足も出して、守り切った場面がありました。
それを90分間、粘り強くやってほしい、ってことなんですよね。
ファンサポの立場からすると、広島の守備は、必要以上に危なっかしく見えます。
相手チームの攻撃陣も楽でしょうね、ボールを奪われる危険が少ないから、思い通りのプレーができますよ。
それでいいんですか?という話なんですよね。
今まで出来ていたことなんです。思い出すだけでいいと思うんだけどな…
8.持ち味を発揮する選手たちが増えてきた
ここまで、サンフレッチェの問題点について、長めに書いてきました。
もしかすると、この試合に対する私の評価が、厳しく批判的な印象を与えたかもしれません。
しかし、私がこの試合から感じた印象は、実は、かなりポジティブなものだったんですよ。
事実、前向きになれる要素が、この試合には多かったと思います。
例えば、カズ。
勝ちを欲するあまり、チーム全体が急いで前掛かりになりかけたところ、カズの投入により、「過剰」なテンションがクールダウンしましたよね。
あるいは、Aロペ。
連携を意識しすぎているのか、何かワサワサした感じでプレーしているように見えていたAロペが、この試合では、自分の周りにスペースができたときに、パスよりもドリブルで進む選択をする場面が多かったですよね。
他にも、ミカやカシッチ、壮也などは、自分のプレーに徹することでチームに貢献すると同時に、アピールもしていましたよね。
そういう、持ち味を出せる選手が増えてきたことは、間違いなく、プラスの要素だと思います。
9.「型」に戻る選択
ところで、試合後、私が知らないある人が「せっかくイケイケだったのに、カズを入れてトーンダウンした。森保監督の采配ミスだ」という趣旨を書いていました。
「色んな考えがあるなあ」と思ったのですが、私は、それとは全く違う意見でした。
なぜなら、今年のサンフレは闇雲に前へ進むだけになることが多く、リスクヘッジの意識が低い、と思っていたからです。
相撲で言えば、腰高&つま先立ちで焦って寄っているような。
ハマれば勝てるけど逆転も受けやすい、そんな危険な体勢はすぐに直してほしかった。
だから、カズがピッチに入った時は、「カズ投入で少しペースを落ち着かせたいな」とメモしてました。
あれから1週間が経ち、ポイチさんの意図も、カズの意図も、ベクトルを落ち着かせようとした、と伝わっていますが、別に後出しで指摘しているのではなく、それが元々のサンフレッチェのやり方だから、そう思っただけなのです。
一度、腰を下ろして、態勢を整えてから勝機を窺う形、その「型」に戻すことが、今の広島にはベストチョイスだと思ったわけです。
カズが戦列に復帰したことで、青ちゃんや塩ちゃんなど、広島が継続するべき「型」を忘れていそうな選手たちが、そのことを思い出してくれれば、少なくとも守備の面では今よりも向上するに違いない、と私は思います。
10.一番強く感じたこと
すっかり長くなってしまいましたね。
レビューの最後に、この神戸戦で、私が最も強く感じたことを記しておきます。
それは、前半開始から30分経った辺りで思ったことでした。
「全然、悪くないじゃないか。勝ってる時なら、全然問題ない内容じゃないか。」
ルヴァン杯で神戸にやられた試合はともかく、その後の2試合は、「内容は良くなってきている」という評価を目にすることが増えていました。
ただ、やはり勝っていないせいか、内容自体を批判する意見が根強いことも感じていました。
そんな中、神戸戦をリアルタイムで観戦したわけですが、私は、「この内容なら、そう簡単に降格などはしないだろう」と思いました。
仙台戦あたりと比べても、動きの質や連携は、格段に良くなっていました。
何本ものパスをつなげてゴール前に迫る、そんな場面も増えていました。
もちろん、勝利という結果は求めたいし、その意味では物足りないのですが、神戸戦は、引き分けという結果にあっても手応えを感じられる、そんな「内容」だったと評価しています。
だから私は、神戸戦を「全然ダメ」だと評価する人がいたことに、大いに不満を持ちました。
勝てなかったら0点、という評価の仕方もアリだとは思うけど、あの試合からポジティブな要素を1つも見つけてくれないというのは、一体何なんだろう、と思ってしまいました。
リスペクトブログの主として言わせてもらいますが、必要以上のディスリスペクトは、何らチームのためにならないと思います。
悪いところは指摘しつつも、良い部分もあるのだから、それはしっかりと見極めて評価してほしい。
個人の意見でしかありませんが、私はそう思っています。
11.あとがき
前記事から中2日、間を外し過ぎて、すっかり場違いな感じになっちまったなあ、と思っています。
そして、今回は苦労しました。
書きたい内容は大体網羅したのですが、文章がなかなか思ったようにならなくて。
今日の記事は、かなりの時間つぶしになったことでしょうね(微笑)。
お疲れさまでした。
さあ、C大阪戦はもう目の前です!
私は速報観戦となりますが、ちょっと計画していることがあったりなかったり。
なお、レビューの予定はありません。
では、これからまえがきを書きます(笑)。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。