今さらですが、サンフレッチェ監督としての森保一を評価してみた。そして、大切なお知らせ。

昨年、2017年の7月に、惜しまれつつもクラブを去った森保一氏。

現在は、2020年東京オリンピック世代の代表監督として活動されています。

2011年のミシャ(ペトロヴィッチ監督)涙の退任の後を受け、2012年からサンフレッチェ広島の指揮を執ることになった、通称ポイチさん。

以後、都合6シーズンの間に、連覇を含む3回のJ1制覇を成し遂げたことになりましたが、これはもちろん、ポイチさんの監督としての技量が、大きい貢献を果たした故でした。

今回は、監督から前監督、そして今や元監督となったポイチさんの、サンフレッチェ広島での活動を、今さらですが、評価してみようと思います。

あ、言うまでもないんですけど、あくまでも私の意見ですのでね。

◆ プラス面

1.守備意識の植え付けに成功した。

2.一流のモチベーターとして人心を掌握した。

3.チームに競争原理を持ち込み、それを徹底した。

1については、もはや言い古されたことの焼き直しになってしまうのですが、何と言ってもこれが、就任初年度にサンフレッチェを優勝に導いた、最も大きな要因でした。

攻撃から守備に転じる際、ミシャの時は、とにかく自陣に戻ってポジションを取ることが優先されていたと思いますが、ポイチさんに変わってからは、それに加えて、相手のボール保持者に対して最も近い選手がアプローチする、という約束事が作られました。

攻から守への切り替えの時に洋次郎が相手選手に寄せていく姿を、私はイメージとして記憶しているのですが、これによって、後ろの選手に時間的な余裕が与えられ、ひいては守備の安定につながったのです。

守備面の充実がありさえすればミシャのサッカーでも1位を獲れることは、2016年に浦和でも証明されましたが、最初にそのことを示したのは、他ならぬポイチさんだったわけです。

2については、いつぞやの浦和戦、ハーフタイムのロッカールームの映像を思い出して頂ければいいと思います。

ミカに「宇賀神が怖いならいつでも交代させるよ」と投げかけた言葉は強烈でしたよね。

個として戦う、組織としてチームの為に戦う、という姿勢を持たせる。

ポイチさんの情熱が「戦う集団」としてのサンフレッチェを形作ったことは、言を俟たないと思います。

また、ポイチさんは常に、選手1人1人の姿をよく見ている監督でした。

チームの中核をなす主力選手やベテラン選手に対しては、大人として接し、意見交換をする一方、発育中の若い選手たちについては、敢えて突き放すことで選手たち自身の努力を促しました。

しかし、若手選手たちは、監督が自分のことを見てくれていることをよく知っていたから、「期待に応えたい」という想いで、モチベーションを落とさず精進することができたのです。

そして、練習でアピールし、競争に打ち勝ったものには、試合のメンバー入りというチャンスが与えられました。

3で言う「競争原理」そのものは、どんな監督でも重要視しているものでしょうが、ポイチさんの場合は、それが徹底されていたように思います。

ヨンソン前監督の方針は分かりませんでしたが、ポイチ監督のサンフレッチェは、試合の前日でも、調整ではなく、普段通りの密なメニューで練習していました。

それは、この練習が「試合メンバーに選ばれるための最終試験」という意味合いを持っていたからです。

そんな激しい争いの中から、岳人やジャガー、チャジ、壮也などが台頭しましたし、中堅どころでは、丸谷やササショーが(一時期は)レギュラーを掴みました。

もっと広く言えば、航平や塩ちゃんなどもこの範疇に入れていいかもしれません。

「誰が出ても戦力が落ちない」と言われたJリーグ制覇の基盤は、この競争原理の中で作られたと言えると思います。

以上、他にもポイチさんの功績は色々とあるでしょうが、ここでは3つのポイントを指摘させていただきました。

ところが、様々な功績を残したポイチさんでさえ、3回目の優勝からわずか1年半で、監督から退く結末になってしまいました。

これは、いかに優秀な人物でさえ決して完璧ではない、ということを示しています。

ポイチさんですら、その例外ではありませんでした。

それでは、何がポイチさんに足りなかったのでしょうか。

◆ マイナス面

1.世代交代を進められなかった。

2.戦術面でのバリエーション不足。(前線の硬直化)

1については、実は、プラス面の3の裏返しでもあるんですよね。

世代交代を意識すれば、期待の若手選手がいるなら、少々我慢しても使い続ける、チャンスを与え続ける、という方法論を用いることも可能です。

サンフレッチェで言えば、例えば森島辺りを使い続けてみるとか。

そういうファンサポからの期待の声もあったかと思います。

しかし、ポイチさんはその方法論を採りませんでした。

あくまでも、「スキルを磨き、プレーでアピールして、自ら競争を勝ち抜いた選手」のみにポジションを与える、という方針でチームをマネージメントしようとしました。

私は、美点として挙げた通り、それは決して誤った考え方ではなかったと思います。

むしろ、サンフレッチェの練習レベルで結果を出せれば、対外試合でも結果は自ずとついてくる、という見方で、ポイチさんは考えていたのでしょう。

ところが、2017年のシーズンを見渡してみると、下から這い上がってきたとハッキリそう言える選手が、ほとんどいないことに気付かされます。

わずかに壮也が、恒常的に試合に使ってもらえているくらいだと思います。

もちろん、これはポイチさんだけの責任ではありません。

フロントの方針に絡めて批評することも可能ですし、当の若手たちが実力不足を解消できなかったこと、練習で勝てなかったことも、要因と言うべきでしょう。

しかし、練習で控え組がレギュラー組を凌駕することもある、という話がある中で、本当に輝ける若手はいなかったのか、という疑問も、今となっては沸いてきます。

或いは、試合で結果を出せていないレギュラー陣に代えて、練習でアピールした選手を試合に使ってみる、といった柔軟な選手起用も、必要だったかもしれません。

ここから、2の話に進むのですが。

出典が見当たらないのですが、少し前に、ヨンソン体制時の中野和也さんのコラムで、「森保監督は、前線にポジションをあまり動かないように要求していた」という趣旨の文章を読んで、非常に驚きました。

なぜ中野さんが後出しでそんなことを記事にするのか(在任中に指摘してほしかった)、という不満もあったのですが、それよりも、ポイチさんの要求内容に対する驚きの方が大きかったのです。

それは1トップに対しての指示だったのか、シャドーを含めての指示だったのか、記憶が定かではないのですが…

選手間のコンビネーションと連動した動きでJを席巻した、あの連覇時の攻撃パターンが、ここ2年は見られなくなっていて、それは、移籍等による相次ぐメンバー構成の変化で、コンビサッカーの構築に時間がかかるせいである、と言われてきました。

が、中野さんの記述が事実だとすれば、それだけが理由ではなかったんだなあ、と思わざるを得ません。

これでは、流動的なパス回しなぞ望むべくもなかったんだなあ、と感じてしまいました。

私は以前、八宏さんの川崎フロンターレとの試合レビューで、「中央偏重で来てくれたから守備がラクだった」ということを書きました。

同じことが、ポイチさん最終期のサンフレッチェにも当てはまりますね。

流動的でもなく、意外性もなく、画一された攻撃手段で、さぞかし、相手チームは守備がラクだったでしょうね。

ディフェンス面の手当てや意識改革には手腕を発揮したポイチさんでしたが、オフェンス面の構築という点については、少々苦手だったのかな、と正直、思いますね。

もちろん、3-1-4-2の導入や、前プレの採用など、工夫を施そうとしてはいました。

しかしそれらの方策は、どうしても守備とのバランスが崩れてしまい、うまくモノにすることができませんでした。

また、前線でのパス回しも、足元へのパスが多すぎた印象でしたよね。

もっとスペースに動き出してボールを引き出すような、そんなスタイルを志向することはできなかったのかなあ、と思います。

(そういう意味では、浩司の引退は痛かったですね。)

ついでに書くと、Aロペにドウくんの役割を期待して、結局は成熟しなかったのが、攻撃面での1つの誤算だったと思うのですが、もしもポイチさんに、例えば、Aロペと工藤の位置を入れ替えてみよう、というようなアイディアがあれば、シーズン途中での退任にはならなかったのかもしれませんよね。結果論ですが…

サンフレッチェ監督としての森保氏の評価は以上とします。

もちろん、これらがすべてというわけではありません。

私自身も忘れている長所、短所があるかもしれませんし、これをお読みの皆さまにも、それぞれの考えや思いがあるでしょうからね。

2年後の五輪本戦に向けて、ポイチさんはチーム作りを既に開始しています。

その過程で、彼は、候補選手をフラットな目で観察しながら、競争に勝ち抜いた若者たちを選び、率いていくことでしょう。

守備の面やモチベーションの与え方に、懸念は少ないはずですが、得点の取り方をどう構築していくのかが、ここでもポイチさんの課題になるでしょう。

しかし、私はもちろん期待しています!

非難と言う名の雑音にはとらわれず、ポイチさんの信念を貫きながら、強いチームを作ってほしいと思います。

さて、ここで大事なお知らせがあります。

当ブログ、「ライフ イズ リスペクト from ビッグアーチ」ですが、スポナビブログ終了と同時に、いったん終了させることに致しました。

ブログの移籍も、当面は行いません。

理由は2つありまして、1つは、物理的にブログを執筆する時間を取りづらくなってしまったことです。

どうしても長文になってしまうという私のスタイルも原因ではあるのですが(笑)、特に、試合レビューの執筆に十分な時間を取れないというのは、当ブログにとっては致命的だと思っているんです。

あと1つの理由ですが、当ブログは、このスポナビブログという環境でこそ成り立つブログだなあ、と思っていて。

明確にスポーツの話題のみから成るコミュニティですし、悪意のある攻撃からも守っていただいてますし。

このような、安心して記事をアップできる環境は、私には得難い環境だったなあ、と。

そのスポナビブログが終了する、と知ったとき、私はほとんど、自分のブログを閉じることを決めてしまいました。

他のブログで続ける未来を、どうしてもイメージできなかったので。

でも、早々にブログを閉じてしまう方々を尻目に、私はなるべく、スポナビブログの終了に近いところまで続けてやろう、と思いました。

ぶっちゃけ、さっさと引っ越していったブロガーたちは一体何なんだろうな、なんて思いながらね(笑)。

スポナビブログを読みに来る人は著しく減ってしまいましたが、自分は最後の方まで居座ってやろうと思ったのです。

nerazzuro15vidicさん、期待に沿えなくてごめんなさい。

しかし、ブロガーとしてのビッグアーチの雪は、いったん休養期間に入りますが、お世話になった方々の移籍先にお邪魔する形で、活動は続けていきます。

それに、ブロガーを引退してしまうわけではないので、ゴン中山の如く、電撃的に復帰する時がくるかもしれません。

たまに「ライフ イズ リスペクト」とか「ビッグアーチの雪」とかでググってみてください(笑)。

ひょっこりとブログを復活させているかもしれませんからね。

ということですが、あと2つか3つ、このスポナビブログで記事をアップする予定がありますので、あと少しだけ、お付き合いいただけたら有難いです。

最後のあいさつは、またいずれ。

それでは、今回はこの辺りで。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。