歓喜と暗転、そしてファンサポの力 ~仙台戦レビュー~
0.まえがき
常々書いていることなので言うまでもないのですが、私のブログは私の意見で出来ています。
私の場合、過去3年間に頂いたコメントで、独自の着眼点を褒めていただいたことが何度かあったはずですが、別に奇をてらっているつもりはなく、本人は結構、考えたことを素直に書いているつもりなのです。
そして、当然のことながら、他の人と考えが重なる場合もあれば、異なる意見になる場合もあります。
例えば、「4本目の矢 ~サンフレへの提言~」でおなじみの supersabui さんとは、彼の最初の記事や赤いチームのプレビューなど、互いに非常に近い着眼点で意見を発表したことがある一方、浅野の育て方(笑)について少し方針が違ったこともありましたね。
(最近ご無沙汰ですが、忙しいんですかね。)
さて、現時点(*)で様々なブログやコラム、ツイートなどが出ていて、そのいくつかを読んだのですが、何と、かつて私の記事にコメントして下さった方が、私とほぼ同様の見解を書いておられたのです。しかも、2人も!
それじゃあレビューは書かなくていいな。
という訳にはいかんので(笑)、予定通り、「私の独自の意見」なるものを書かせていただくことに致します。
(*)2017年4月25日0時頃のことです。
1.まずは1つのことを願って
2017年4月22日、土曜日。
約1ヵ月ぶりにテレビ中継で観ることができる、サンフレッチェの試合。
相手は、ベガルタ仙台。
勝ち点差の関係で、勝っても降格圏に留まるこの試合。
相手も3連敗で止めたいと必死で戦ってくるはず。簡単ではありませんが、願うのは、まずは1つ、でした。
なお、NHK地上波中継の解説は、まさかの名良橋晃さん!でした。
2.懐かしの顔たち
さて、いま「ベガルタ仙台」と聞いて真っ先に思い出すのは、石原直樹が今期からプレーしているということ、です。
浦和に移ってからケガなどにより出場機会が減少したため、直樹と試合で対するのは、広島退団以降では確かまだ2回目だったと思います。
もちろん、敵に回すと怖い選手。
ただ、個人的には、やはり直樹の雄姿を再びビッグアーチで観られるのは、大変嬉しいことでした。
そして、翌23日がサンフレッチェ広島の設立日ということで「25周年記念試合」と銘打たれたこの試合では、さらに懐かしい顔ぶれが花を添えてくれました。
久保竜彦氏、桑原裕義氏、石川大徳氏、そして、何と言っても、セザール(セーザル)・サンパイオ氏!
各々、トークイベントやハーフタイムの場内一周などで雄姿を見せて下さいましたし、サンパイオさんはキックインセレモニーも担当してくださいましたね。
なお、場内一周には浩司アンバサダーも加わっていましたが、1人居ない人が…
クボタツ、どこ行ったんや!(笑)
3.メンツは徐々に
何だか当番制でもあるかのように、順繰りにケガで休む人が続いているサンフレッチェですが、この試合で、青ちゃんと千葉ちゃんがスタメンに復帰を果たしました。
また、リーグ戦としてはカシッチもスタメン復帰となりましたし、ミカやチャジといったところも、ベンチまで戻ってきてくれました(ともに途中出場)。
一方、前情報の通り、フェリペ・シウバがスタメンから外れてしまいました。
カシッチとのコンビネーション復活を期待していた私にとっては、残念。
まあ、そのときが来るのを今は待つだけです。
4.平穏な序盤
今期の仙台は、従来の4バックからフォーメーションを変えて臨んでいて、広島とは似たもの同士、というイメージがありました。
その点で言えば、経験値では広島の方が上である、という見方をしていました。
そんな試合開始直後、仙台が前から守備に来ているのに対して、なぜか広島の選手たちのプレーが心許ない、ように私は感じました。
そんなに慌てるようなプレスじゃないけどなあ、と思ったのですが。
何となく不安げにパスを受け渡ししているように見えて仕方がなかったのです。
ただ、5分を経過する辺りからは、その辺の懸念は少なくなりました。
というのも、ボール自体はちゃんと保持できていましたし、青ちゃんを中心に、仙台の浅いラインの裏を狙う意識が高かったことで、主導権を相手に与えなかったからです。
また、「高い位置に上がるのはいいが戻ってくるのがやや遅い」という傾向があった青ちゃんから、戻りを早くしようとする意識を感じました。
なので、メモにも、「今のところ、青ちゃんの長所が出ているな」と書いています。
5.後ろ体重な前半
尤も、仙台にチャンスを多く与えなかったことは確かでも、広島がチャンスを多く作れた、というわけでもありませんでした。
裏を使う狙いや、両サードを起点に攻撃を作ろうという動きは、とてもよく出ていたと思います。
カシッチの生み出すダイナミズムはもちろんのこと、壮也も、対面(永戸)とのマッチアップを制して、敵陣深くまで進入できていました。
最近の試合経験で徐々に自分の持ち味を出せてきたことを、壮也は証明してくれたと思います。
ただ、シバコーがやや自重気味だったこともあり、サイドと中央との連動が足りない印象がありました。
シャドーの位置で収まることがあまりなかったですし、サイドチェンジで左右に揺らして、もっと目先を変えてほしかったのですが、その辺が少し物足りませんでした。
総じて、前半は、チームの重心が若干後ろにありましたね。
こうして、仙台の持ち味である守備意識の高さもあり、前半は大きなチャンスはないまま、ハーフタイムを迎えたのでした。
6.連続した歓喜1
渡辺監督の発言に不気味さを感じながら、始まった後半。
(ごめんなさい、発言内容はスルーします。)
その立ち上がりを、しかし広島は、無事に主導権を握ることに成功しました。
無論、仙台も得点を狙って、主に右サイドから仕掛けてきましたが。
そして、後半9分を迎えようとしていた頃、仙台のプレスを剥がして「(スペースが)空いたな」と思ったら、それが広島の先制点に結び付いてくれました。
右サイドのハーフウェイ手前でボールを受けたAロペが、大外の壮也にパスを送ると、壮也が仕掛けてゴール前へ。
うまくボールを収めたシバコーが、位置を直したカシッチに送ると、ダイレクトで打ったシュートが、相手5人を突き抜けるようにゴールへ…
生観戦ではここまでは分からず、いま映像を観ながら書いたのですが、とにかく、ゴールが決まった瞬間の歓喜たるや!
いやあ、何だか久しぶりに絶叫しましたね。
そして、このボールのつながりも久々に観たような気がします。
7.連続した歓喜2
後半9分の歓喜から、わずか6分後でした。
センターサークルからシバコーがカシッチに展開します。
戻りながら守備をする仙台。
しかし、カシッチのクロスが逆サイドのAロペまで届き、さらに、Aロペがダイレクトでボレーシュートを放ちます。
平岡がライン際でストップしますが、こぼれ球の前には、ステップバックした工藤がいたのでした。
正に、素晴らしいカウンターでした。
ボールが経由した4人だけでなく、シバコーと同じ位置から一目散にゴール前に向かって走っていった、野上の位置取りにも気付いていましたよ(照)。
ゴールを決め、サポーターの下に走る工藤、そしてAロペ。
嬉しそうな2人に、歓声で答えるファンサポも嬉しそう。
私は、この2点目で少し安心できたな、と思いました。
ところが…
8.怒りの暗転
相手のシュートを、千葉ちゃんがライン際で食い止めたとき、嫌な予感がしたかもしれないのですが、私は覚えていません。
三田が広島ゴール前でスルーしたときは、観客数の発表に軽いショックを受けていました。
気が付くと、エアポケットにハマり込んだように失点していました。
仙台のアイディアのある攻撃が広島の守備を上回った、という場面だったかもしれません。
が、私も同様にエアポケットの中にいたため、只々、失点したという事実に戸惑っていました。
今年はこういうのが多いような、そういうことでもないような、と、どっちつかずのメモを残して。
数分後、ゴール前でのファールでFKを与えたときは、さすがに危険な感じを覚えました。
しかし、三田の素晴らしいFKが決まって同点にされたとき、私は、何きっかけでこうなるのか、全く理解できませんでした。
さらに3分後、石原直樹がフリーのヘディングを決めたとき、逆転されたという事実以上に、サンフレッチェに対して、私は腹を立てていました。
なぜかって、全然、ボールにも相手にも、誰も寄せていないんだから。
みんな、ただ立ち尽くすばかりで、アクションを起こそうとしていなかったんだから。
3失点の間、ベンチも全く動かなかったんだから。
9.同じ見解
サッカーでは、「2点差は怖い点差だ」とよく言われます。
そして、統計を基にこれを否定する向きも多くおられるようです。
しかし、この試合を観ていると、誰が客観的に否定しようと、この格言は存在する!と言わざるを得ない気分です。
私は、「8分間で3失点」という現象は、精神的なダメージによって引き起こされたもの、早い話が「メンタル」の問題だ、と思いました。
「そういえば、1失点目のときに意気消沈する選手たちの姿が、ちょっと必要以上に沈みすぎだったな」と思い起こしたりして。
そんな折、試合翌日の夜遅くにアップされた、porukitiさんの「ピッチに紫の風が吹く」の新記事を読んだのですが、その文章の多くに、私はほとんど共感したのでした。
さらに、月曜日になって、せと☆ひできさんの「SANFRECCE Diary」に、試合に関する氏の寸評が載りましたが、これも、私が思ったことと同等の見解ばかりでした。
両氏は異口同音に、「2点差になって気が緩んだ」「3失点はメンタルの問題である」「守備のギアが上がらず足が止まった」などと指摘しておられます。
私は「気の緩み」については観戦中は思わなかったですが、精神面の指摘は(先に書いた通り)全くその通りだと思いました。
また、感情の面でも共感できるなと感じました。
現地で porukitiさん(と周囲のサポさんたち)は、3失点目に「もう!何やってんだよ!」と叫んだそうですが、実は私もテレビの前で「何しよんなら!」と怒声を張り上げていましたから。
おそらくですが、あの3失点を目の当たりにした人の多くが、同様の感覚になったのではないでしょうか?
10.サポーターのおかげで次につながった
さて、逆転されて、残り15分程度、長くても20分程度の時間しか残っていませんでしたが、リードした仙台があまり無理をしなくなったため、広島もようやく、反撃に行けるようになってきました。
といっても、得点できる保証はなく、どうだろう、と思っていましたが。
しかし、試合時間が終わりに近づくにつれて、スタジアムの雰囲気が徐々に変わってきたように、私は思いました。
明らかに、声援のボリュームが大きくなってきたのです。
思えば、横浜FM戦の終盤でも、(多分あの)悪名高きチャント無く、選手たちを鼓舞する声の後押しが大きかった、と聞いていました。
今回はテレビ観戦だったので、私自身が、その声量を実感できたんですよね。
最終的に、この試合のサンフレッチェは、ミカのクロスからシバコー→カシッチとつなげて、シバコーの落ち着いたシュートで同点に追い付けました。
「開き直ってやるべきことをやるしかない」(シバコーの談話を意訳)と考えた選手たちの想いが実った、とも言えますが、私は、スタジアムのファンサポが、諦めずに選手たちにアタックしたからこそ、選手が応えてくれたんだと、心から思いました。
この日、クラブ25周年、サンパイオさんたちがやってきた特別な試合にも関わらず、好天の土曜日で、しかもカープの試合とも場所や時間が被らない、という条件にも関わらず、わずか10,814人の観客しか、ビッグアーチに集いませんでした。
やはり、ホームで勝てていないことが大きく響いている、と言わざるを得ません。
でも、そんな状況下でも、「自分たちがチームを選手を支えたい!」と願うファンサポの方々がまだまだ沢山おられることが、テレビを通じて分かりました。
もちろん、「引き分け」という結果には、私は到底、納得はできません。
本来ならば勝ち点3を得て然るべき試合だった、と思いましたし、今でもそう思います。
しかし、一旦は失っていた勝ち点を、最後にもぎ取ることができたのも事実で、それは素直に良かったと思います。
だから、サポーターが一役買って獲得した「勝ち点1」を、次につなげなければなりませんよね。
今期(国内で)初めて複数得点を取ったことも含めて、残り26試合に向けて、希望を持って取り組んで、チームを作ってほしいと思います。
11.おまけ ~直樹について~
逆転を許した3点目、怒りの裏で、「直樹が得点を取った」ことが、私はひそかに嬉しかったんですよ。
この試合の中で、私は結構、懐かしさを感じていましたね。
例えば、塩ちゃんがドリブルで持ち上がるとき、後方からチャレンジしてカットしたのが直樹だった、りとか。
ああいうボールの奪い方が、他に何度かありましたでしょう?
(もしも出場が可能だったら、仙台が浦和から6失点することは無かったでしょうね。)
広島を離れて何年か経つけど、直樹自身は変わってないなあ、としみじみしてました。
だからといって、「戻ってこいよ~」とは思わなかったけど。
いま彼に思うことは、仙台の浮上のために、彼の力を使ってほしい、ということだけですね。
ついでに言うと、仙台はもっと直樹を有効に使ってほしいなあ、と観ていて思いました。
12.あとがき
メンタルをやられると、体の動きが悪くなりますよね。
実は、月曜日に「まえがき」だけ書いていたのですが、翌日、別件でメンタルをやられてしまい、その日は何も書き足せなかったんですよ。
(但し、記事が今日までずれ込んだ理由ではない。)
だから、分かってはいるんです。
私が選手たちに強く指摘する立場にないってことは。
でも、サンフレッチェには今後もそういうことを続けてほしくはないので、そこは敢えて、「克服してください」と要望したい。
さもないと、浦和から何点失うか分かったもんじゃないからね。(割とマジで心配してます。)
本当は、ある2人の選手について章を起こすつもりだったのですが、随分長くなったので、今回は見送ることにします。
例によって、書けたら書きます。
さて、明日(4月30日)はいよいよFC東京戦ですね。
仙台戦の直樹に続き、今度は高萩洋次郎との直接対決です。(ウタさんの出場はありません。)
故障が癒えたボランチ、「本気の」洋次郎のプレーが楽しみですが、生では観られません(苦笑)。
つうか、勝利をつかめ、サンフレッチェ!
それでは。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。