理想からの撤退、そしてまたいつか。 ~サンフレッチェの「前からの守備」について~

1.原点に立ち返る選択

J1リーグ再開を土曜日に控えて、大本営こと中国新聞でも、サンフレッチェ広島の動向が再び書かれ始めたようです。

ミカやシバコーの離脱や、壮也の抜擢、外国籍選手による2列目の形成、など、良くない知らせもあれば、希望を伴うニュースもありますね。

さて、今年のサンフレッチェは、キャンプから「前からの守備」ということで、運動強度やスタミナ面を高めることに重点を置きながら、新たな戦術を我が物にしようと試みていました。

ところが、前記事に書いたような理由により、今はまだ、チーム全体がその戦術を消化することができていません。

そして、そのことが一因となって、国内での公式戦で未だ勝利なし、という状況になっています。

この現状を踏まえて、森保監督や選手たちとの話し合いが持たれ、まずは守備のテコ入れを行う方針が採られることになりました。

引いて守る時間を多くすること、迷ったらブロックを敷いてコンパクトな陣形で相手を迎えうつこと、などを確認したのです。

これは、サンフレッチェが「帰る場所」を持っているからできることだと思います。

ここで一度、原点に立ち返り、守備を重視して失点を防ぐこと、それを「いい守備からいい攻撃へ」というコンセプトに結び付けること。

とにかく、勝利することでファンサポの期待に応えたい、という想いから、その戦術を選択したのでしょう。

私は、その選択は評価してもいいと思います。

2.徹底する姿を見せてほしかった

ただ、本当の気持ちは、実は違います。

前から守備をするという戦術を徹底的に追及してほしかった、と私は思っているんです。

聞くところによると、森保監督は、最近の何年かはずっと、「前から積極的に守備をして、高い位置からの攻撃につなげる」という戦術をチームに取り入れようと試みていたそうです。

おそらく、2度目の優勝の後、戦術のバリエーションを増やすため、他チームの研究を上回るために、監督が考え抜いて決断したことなのでしょう。

残念ながら、その試みは昨年まではうまくいきませんでした。

そこで、今年こそはその戦術をチームに浸透させようと、3次に亘るキャンプを、監督は不退転の覚悟で臨んだのです。

だから、私はまだ、その戦術にこだわってほしかった。

この期に及んでもまだ、前からの守備を、連動した守備を、もっと追求してほしかったんです。

ここまで、試合を観た限り、相手ボールを奪い切ろうと躍起になっていた選手は、何人かは居たけれど、全員ではありませんでした。

相手もプロです。彼らからボールを奪い取ろうと思えば、関わった者すべてが「本気」で取りに行かなきゃならないのに。

確かに、戦術理解に不確かな部分があるうちは、自信を持って貫くことは難しいでしょうけどね。

でも、それを「徹底」してやっていこうという意識を、もっと見せてほしかったんです。

3.3年前に浦和から学んだこと

「前からの守備」というキーワードで、いつも思い出す試合があります。

それは3年前、8月に行われた浦和-神戸戦です。

その時、浦和は神戸に逆転を許していました。

しかし、ATを含む最後10分間、浦和の選手たちは、攻守の切り替えの素早さと、2~3人で囲い込んでしまう、ボール保持者への寄せの速さを見せつけました。

そして、そのATに那須が劇的な得点を挙げ、浦和は同点に追い付いたのです。

思えばその頃から、浦和の戦術は徹底していました。

鬼気迫るプレスを見せた神戸戦のみならず、どの試合でも、前線からボールを奪い取ってやろうという意志が漲っていたように記憶しています。

時々、(シュートの姿勢に乏しいときなどは、)相手からボールを奪い取るために攻撃しているんじゃないか、と思ったこともありましたが(微笑)、それほどまでに、浦和は徹底していました。

私には、その神戸戦で観たことが、イメージとして記憶に焼き付いています。

そのイメージと対比したとき、広島の前プレはまだまだ生ぬるい印象です。

いつだったか、「絶対にボールを奪うんだ!」という感情が見えない、と誰かが(確かヤフコメで)書いていましたが、私もちょっとそれには同意しましたね。

ボールを奪い取ることに全力を尽くすかのような、そんな強い意志を見たかったなあ、と。

私はそのことを、とても残念に思います。

4.いつかは捲土重来を期してほしい

ともかく、サンフレッチェ広島は、掲げていた理想を一時棚上げして、帰る場所に戻ることを決めました。

個人的には重ね重ね、残念な気持ちで一杯です。

しかし、監督・選手の総意として、一丸となってプレーしようとしている、そういう意味では、決して悪くない決断であると言えます。

なので、私も納得して、改めてチームを後押しする方針に切り替えることにします。

そして、晴れて勝利を挙げ、勝利を重ね、順位を上げた暁には、再び「前からの守備」にチャレンジし直してほしい、と思います。

5.終わりに

今、Jリーグ公式で確認しましたが、やはり、広島-柏戦は、DAZN以外の中継はないみたいです。

私はテキスト速報で、試合の経過を見つめることになります。

広島派ブロガーの皆さん、改めてよろしくお願いいたしますね(微笑)。

さて、細貝は出場可能なのでしょうか?(レイソルからは未発表。)

そして、気付いていませんでしたが、工藤にとっては初めての「古巣」との対戦になりそうですね。

ファンサポの想いは複雑でしょうが、試合前はともかく、試合が始まったら、応援するチームのために気持ちを集中させてほしいなあ、と思います。

それでは。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。