切らしてはいけないものがある(自らの反省も込めて) ~札幌戦レビュー~

0.まえがき

ブログというものは、基本的には、書き手が自由に書きたいことを書けばいいものだと思います。

ブログプロバイダの規約とか、汚い表現は使わないとか、一定の制限事項は免れませんが、そうした則を越えさえしなければ、自分が思ったこと、考えたことを自由に書いてもいいのです。

そして、できれば、自分の意思というか考え方を確立して、常にそれに基づいて書くのが望ましい。

もちろん、他人の意見を受け入れたり取り込んだりする柔軟性は必要です。

でも、「ここは絶対に譲れない」という芯の部分は、安易に変えてはいけないと思います。

それに、他人の意見に流されて、日和見したりブレたりするようなのは、決して見栄えがするものではないですからね。

1.継続のメンバー

2017年3月18日、土曜日。

Jでの今季初勝利を目指すサンフレッチェ広島は、同じくリーグ戦初勝利を狙う北海道コンサドーレ札幌と対戦するべく、北の大地に降り立ちました。

水曜日のルヴァン杯を挟んで、広島のメンバーは、出場停止の丸谷以外は鳥栖戦と同じメンバーでした。

ボランチのスタメンには稲垣が入り、森島はベンチスタート。

他には、宮吉やAロペなどが控える布陣となりました。

中間、選手間の距離を改善しようと話し合ったというサンフレッチェ。この試合でいきなり成果を出すことができるか、注目していこうと思いました。

2.流れ良く

試合が始まり、最初に思ったのは、「サンフレッチェ、動けてるなあ」という感想でした。

攻撃時のポジションが流動的になっていたし、青ちゃんが高い位置までせり上がって攻撃に厚みを加える場面もありました。

また、札幌の前線(3トップ気味に来たらしい)が掛けるディフェンスラインへのプレッシングも、さほどの連動性がなかったせいか、割と容易く躱すことができていたし、続く逆襲につなげることもできていたと思います。

なので、大分いい感じで立ち上がることができて、私は少し安堵していたのでした。

ところが…

3.なぜの嵐

私がレビュー用にメモを取る時、特に気付いたことがなくても、大体5分おきに、そこまでの状況を書き留めるようにしています。

その時も、「10分」と書いて、続きをメモしようと思っていたのですが、その矢先でした。

千葉ちゃんが背後から都倉に倒された、ように見えましたが、審判の笛は鳴らず、あっという間に都倉と卓人の1対1の局面になってしまったのです。

さすがの卓人も、都倉の狙いすましたシュートには対応できなかったのですが…

ハッキリ言って、納得しかねるジャッジだ、と思いました。

都倉が進路に「ただ」立っていた千葉を押しのけて倒したように見えたので、「あれがファールにならんのか???」と思いました。

その時の頭の中は、本当に疑問符だらけだったのです。

あれから、リプレイは観ていないし、ルール上のことも調べていないので、あまり断定的なことを言うのはアレなのですが、ただ、個人的に理不尽だと思ったのは確かでした。

4.失点はウチに非があった

ただ、ジャッジの是非は別として、失点したこと自体は、サンフレッチェ側に原因がありました。

前に重心を置いたサンフレッチェの攻めに対して、札幌がその裏を突くロングフィード一発で、完全にフリーな状態に持ち込んだわけで、もし都倉と千葉が接触していなくても、間違いなく、1点もののピンチにはなっていたと思われます。

それと、接触のとき、都倉はロングボールに反応して走り始めていたのですが、千葉ちゃんはまだ、そのアクションを起こしていませんでした。

少なくとも、私の目にはそう映りました。

仮に、千葉ちゃんが早く裏へのフィードに反応できていて、そのボールに対してスプリントを始めていたとしたら、都倉のプレーはおそらくファールを取られたと思います。(競り合いの中で後ろから引っ掛けたことになるから。)

千葉ちゃんが反応し切れなかった分、接触したことが不可抗力によるものだと判断されたのかもしれません。

早い話、この失点は、サンフレッチェ側の一瞬のスキが生んだ失点だったのです。

サンフレッチェ側が危機管理を怠ったことにより起こったものだったのです。

5.昂奮(興奮よりも強く)

と、いま冷静に振り返れば言えるのですが、観戦ナウの時は、私もかなり昂奮していました。

失点から5分以上、私は、試合を冷静に観ることができなくなってしまったのです。

6.突破が実を結んだ同点劇

1点を先に取ったからか、広島が持った時の札幌の前線の位置取りが、最初よりも1段分後ろになっていました。

これならDFラインをもう少し上げてもいいのでは?と思い始めた頃、待望の得点が広島に生まれました。

前半21分、CKから、水本のニアですらすようなヘディングシュートが決まったものでした。

もちろん、見事なゴールでした。

しかし、私はその前のプレー、航平が突破からCKを取ったプレーに惹かれていました。

鳥栖戦で、航平はあまり良いパフォーマンスを見せることができなかった、と聞いていました。

人一倍負けん気の強い航平が、捲土重来を期して札幌戦に臨んだことは、開始早々に見せた、中盤で中に切れ込んでいくドリブルからも感じとることができました。

対面するマセードに突破こそ阻まれましたが、しぶとくCKをゲットしたことが、この同点弾につながったと思い、私は嬉しく思いました。

7.コントロール

追い付いてから、広島が札幌を自陣に押し込める場面が増えてきました。

札幌の仕掛けるプレスも、開始直後ほどの鋭さがなくなり、普通レベルのプレスになっていたので、広島は十分に対応することができました。

ミスさえなければ余裕を持ってつなげる、そんな雰囲気になってきていました。

時折、札幌のカウンターもありましたが、回数的には許容範囲でしたし、ようやく、広島が試合をコントロールできてきた、と私は見ていました。

8.完全にしてやられる

しかし、好い状況にある時に限って陥穽にはまってしまう、勝負事では良くあることですが、その罠に引っ掛かったのは、無念、広島の方でした。

左サイドからのFK(福森)を、キム・ミンテが大外から折り返したところ、クリアしたかった稲垣がオウンゴール

前半終了間際に、取られたくなかった得点を許してしまったのです。

清水戦のハンドの判定といい、稲垣には気の毒な巡り合わせですが、この失点を稲垣の責任にするのは酷というものでしょう。

完全にやられていましたからね。あの位置からフリーで折り返されたら、防ぐのは困難です。

結局、札幌のシュートがすべて得点につながるという、前半の戦いになりました。

9.幕間

ハーフタイム、私はある人のツイッターを覗きに行きました。

割とよくやる習慣なのですが、この日に限って、それは失敗でした…

10.手詰まりに向かう

後半に入り、広島の生命線であるサイド攻撃が、札幌のケアにより、効力を減退させられてしまいます。

特に、前半正に神のごとく相手を蹂躙していたミカは、その対処によって次第に押さえられていきました。

それでも突破できるのがミカの強みなのですが、さすがのミカも全勝できる訳ではなく。

サイドを封じられ始めながらも、広島は、引き気味の札幌に対して攻勢を続けていきました。

中央をパス回しで突破して、航平にフリーで打てるチャンスを作り出すなど、札幌ゴールを脅かす動きもできていた、はずでした。

しかし、時間が経つにつれて、広島のチャンス創出率は徐々に下がっていきました。

特に、相手ボールをなかなか奪い取れずに苦労する場面が目立つようになりました。

また、切り替えの反応も、少しずつ遅れが目に付くようになっていました。

どうにか追い付きたい広島は、攻撃的な選手をつぎ込み、局面を打開しようと図りました。

しかし、残念なことにピッチ上では、交代選手を活用しようという動きがあまり見られませんでした。

例えば、Aロペには一旦預けるとか、皆川の高さをクロス等で活かそうとか、宮吉に裏への抜け出しを狙わせるとか。

そういう工夫が局面を打開するのだと思うのですが…

この試合では結局、選手交代の意図が伝わらないままでした。

試合が終了し、スコアは動かず。

広島は結局、札幌のJ1で久々となる勝利の、引き立て役に終わってしまいました。

11.紙一重の空回り

前半を振り返って、森保監督は「パーフェクトだった」と語りました。

「そう思っていない人は多いんじゃないかな」と私は思いましたが、しかし、懸案の攻撃面に関しては、かなり良くなった印象でした。

焦点にしていた距離感についても、以前の試合よりは改善されていたと思いました。

また、フェリペが迷いを払拭するプレーを見せてくれたことが良かった。

特に、前半29分、自らドリブルで切り込んでシュートを放ちましたが、ここをパスではなく自分で行ったことに、大きな意義を感じました。

しかし、そのシュートは残念なことに、ポストを直撃してしまいました。

この場面でもし決め切れていれば、フェリペが浮上するきっかけになったと思うし、もっと違う戦い方も出来ていたかもしれないのですが。

他にも、工藤がGKの1対1を防がれた場面とか、後半に塩ちゃんが放ったシュートがGKの正面だったりとか、紙一重のところまでは行けているのですが、如何せん、結果に結び付いてはくれませんでした。

12.メンタルとクオリティ

そして、試合の終盤になってくると、せっかく勝ち点を取るべく選手交代で動いたのに、焦りなのか違和感なのか、全体的に動きが硬くなり、思うような攻勢をとれなくなっていきました。

どうしても、勝てていないことが弊害になっているように見えてしまうんですよね。

確かに、相手も踏ん張っていたし、カウンターで脅かされることもありましたけど、それよりも、広島の選手の心の問題、の方が強かったように、思えてしまうんですよね。

今後、サンフレッチェがどう立て直していけばいいのか、そのことについてはまた日を改めて、別途書きたいと思います。

とりあえず、さすがに「クオリティ云々」は聞き飽きてきました…

13.メンタルを切らしたらダメなんだ

この試合を観終わって、内容や結果とは別に、非常に気になることがありました。

札幌の2点目、キム・ミンテの折り返しがOGにつながったのですが、彼のマークは、塩ちゃんの役割でした。

完全に裏を取られてしまったわけですが、塩ちゃんがCKの守備でマークを外してしまうのは、昨年あたりから顕著に表れていた、悪い現象でした。

札幌の四方田監督が、試合後にその辺りを研究していた、という話をしたそうですが、サンフレ・ウォッチャーの間では周知の事実だったと思います。

塩ちゃんのこの悪癖は、チームのアキレス腱になるので、本当に改善して頂きたいのですが、この試合の彼は、これ以外にも悪癖を覗かせていて、正直、印象が良くありませんでした。

元々、割とムラのある選手なのですが、この日の塩ちゃんは、試合が進むにつれて、競馬で言う「入れ込んだ」状態になっていきました。

感情が強く出過ぎて、プレーの端々からイライラした感じが発散されて、反動でミスも増えるという悪循環に陥っていました。

CKでの汚名を返上しようと頑張り過ぎたのか、自分自身にムカついてしまったのか、その辺は分かりませんが、ここでは感情をしっかりコントロールしてほしかった。冷静にファイトしてほしかった。

チーム全体で同じ方を向いて戦っていこうとしているサンフレッチェにおいて、1人でもメンタルを切らしてしまったら戦えませんからね、チームとして。

新年の対談で青ちゃんから指摘を受けて、「確かに自分はむらがある。もっともっと成長したいです。」と話した塩ちゃん。

その言葉を、次の試合以降、必ず実現させてほしいと思います。

14.見失った「自分の感想」

レビューは以上なのですが、私自身に起こった問題について、少し書かせてもらおうと思います。

前項では少し偉そうなことを書きましたが、そういう自分も、観戦中、自分を見失ってしまったんですよね。

前の方に書いたノーファールの判定に憤ったこともそうなのですが、実はその後にもひとつありました。

HTにある人のツイッターを読んだ、ことは書きました。

そのとき、その人の書いていたのは、私の見解とかなり異なる、否定的な内容でした。

それも、ちょっと厳しすぎるんじゃないか、と思ってしまうような。

私は、かなり引いてしまいました。

誤解のないように書きますが、その人は全く悪くないんです。

その人が広島を思う気持ちもよく分かっているし、私よりも目が肥えている人であるが故に、今のサンフレッチェが抱える問題点を鋭く指摘できてしまう人なのだ、ってことも理解しているんです。

ただ、私の心情が、その人の厳しい指摘を消化できなかったのです。

後半戦の私の観戦眼は、混線してしまいました。

そしてなぜか、自分が本来感じるであろうことよりもむしろ、その人の考えに引っ張られてしまいました。

メモの内容も、私自身の本来の感想からずれたものになっていました。

後半の途中で、私はそのことに気が付きました。

一応、最後の方は立て直して、自分の言葉をメモすることができたのですが、その時は既に、広島の攻めが行き詰まり始めていました。

15.自分の気持ちを自分の言葉で伝えていく

まえがきで「他人の意見に流されるのは見栄えが良くない」と書いておきながら、当の本人が、他人の意見に流されて、自分の素直な感想を見失ってしまったわけです。

仕上がった文章は、自分が思うほどにはぶれていないようで、その辺は救いなのですが、内実は少々違うのですよ、ということをここに告白しておきます。

この札幌戦をひとつ取っても、色んな人の色んな意見、考えがあります。

スポナビブログでもいくつか読ませてもらいましたし、他所のブログやツイッター等もいくつか読ませていただきました。

共感できるもの、できないもの、納得できるもの、色々とありましたが、皆、ご自分の意見を表現されたものばかりでした。

とてもうらやましかったと同時に、(自分は)これではいけん、と思いました。

私は今回、少々の悔いを残してしまいました。

が、自分の考えを自分の言葉で伝えることの大切さを、今回、改めて体感することができたので、これからはその方針を貫いていけるように、頑張っていこうと思います。

16.あとがき

最後の2項は、レビューに載せるのにはそぐわない文章かもしれない、と思うのですが、記事を分けるよりも、この記事の中に含めた方がいいと思ったので、長くなって申し訳ないけど、そのまま載せることにしました。

さて、サンフレ系ブロガーの方への業務連絡(?)を兼ねて書くのですが、この先、サンフレッチェ広島の試合は、4月22日の仙台戦まで、テレビ中継の予定がありません。(Jリーグ公式サイトを調査。)

厳密には、4月12日のルヴァン杯がスカパーで放送されますが、私は加入していないので観られません。

現地参戦の余裕もなく(悲)、DAZNユーザでもないので、つまり、しばらくの間、私はサンフレの試合を観られなくなるのです。

そして、観られない試合をレビューはできませんので、私のレビューはしばらくお休みです。

4月1日のリーグ再開からの数試合は、よって、他の方々の記事が頼りです。

ちょっと厚かましいかもですが、皆さま、よろしくお願いいたします。

あ、UAE戦が始まりますね。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。