腰が引けてちゃ勝てないよ ~清水戦レビュー~

0.まえがき

ブーイング。

観客が出演者や選手などに対して不満や怒り、非難を表すために行われる行為である。

普通、舞台やグラウンドにいる出演者や選手などに向って「ブー」などと唸ることを指す。

指笛を鳴らしたり、手の親指を立てて逆さまにすることもある。

1.縁ある相手

2017年3月4日、土曜日。

2月開幕の影響で、最初の2試合をホームで開催することになったサンフレッチェ(*)。

この日は、1年でJ2からJ1に戻ってきた清水エスパルスとの対戦でした。

当ブログ的には、いくつかの縁がある好敵手。

現在チームを率いる小林監督も、広島とは深い縁のある方ですし、(試合には出られないが)野津田岳人も修行中ということで、そうした意味でも楽しみな一戦でした。

(*)2月開幕により、新潟がホームゲームを開くことができなかったのだろう、という推測です。

2.スタメンは悲喜こもごも

前節の試合中にカシッチが傷んだこと、中間に青ちゃんが体調不良を訴えたこと、などにより、苦心のメンバーを組まざるを得ない広島でした。

青ちゃんのところに、前節にシャドーとして出場した森島を入れ、ボランチを稲垣と組む形を採った上で、新7番のチャジをスタメン起用。

また、カシッチのところは、当然のように航平が務めることとなりました。

一部で、心情的に廣永にチャンスを与えてほしい、という意見があり、まあ気持ちは分かるなあ、と思いましたが、力量を考えるとやはり、林卓人の復帰は当然そうなるべきところで、個人的には納得していました。

あと、森島が本来のポジションでスタメン入りしたことは喜ばしいことでしたが、メモには「頑張れ丸谷!」と書きました。

結果的に、途中出場することになったのですが…

この日も快晴のビッグアーチは、気温17.0度と快適な観戦日和でした。

まもなく試合開始。

「青ちゃんがいないので、長いボールは少なくなるのかな」などと考えていました。

3.ハブの森島

試合が始まり、清水の積極的な被せが目立つ立ち上がりになりました。

広島がボールを奪っても、清水がすぐに取り返しに来るので、「ああ、(広島戦での)いつもの清水だなあ」と思いながら観ていました。

そんな中、広島のDF陣は、青ちゃんの位置に入った森島に、意識的に当てるようにしていたようでした。

最初の5分間で、片手では足りないくらいの回数、森島にパスが入ります。

1回だけ、相手のボール奪取を許しましたが、それ以外は取られること無く、無難に球をさばくことができていたようでした。

4.清水のハードワーク

さて、試合は10分を過ぎ、さらに進んでいきました。

しかし、サンフレッチェは、攻撃面での良さがなかなか出てきません。

逆に、前で圧力を掛けて奪おうとしたところを交わされて、清水の初シュートまで持ち込まれてしまいます。

テセくんのシュートは枠を外れますが、彼の攻守におけるハードワークは素晴らしいな、と思います。

さすが、テセくん。

いや、テセくんだけではありません。他の選手たちも、おそらく小林監督の指示通り、忠実に自らの役割を果たしていましたね。

とにかく、集散が早かった。

5.硬直

一方のサンフレッチェは、どうにも煮え切りません。

清水の守備が良かったからかもしれないのですが、ボールを下げる場面が非常に目立ちました。

それも、崩していくための作り直しという感じではなく。

NHK地上波中継の解説は早野宏史さんでしたが、前半25分から30分にかけての時間帯、氏は、シャドーへ当てるボールが出ないこと、および、サイドを崩すことができていないことを、放送の中で指摘しておられました。

私も、シャドーへのパスの少なさには気が付いていました。そして、疑問に思いました。

出せないのか、それとも、出さないのか。

サイドを崩せず、中央を上手く使えている訳でもなく、攻撃面では、明らかに硬直状態となってしまいました。

6.ハーフタイムの軽いポーション

エスパルスのおなじみのグリコ系のチャントだけが響き渡る時間を経て、前半が終わりました。

インタビューを受けるポイチさんの、何だか苦笑いにも見える表情が、前半の出来を物語っているようでした。

しかし、ハーフタイムの、放送席とピッチサイドの珍妙なやり取り(主に𠮷松さん発)を観ながら、少し心に余裕が出来ました。

そして、「過去には、前半を抑えて入り、後半にギアを上げる、というプランで好結果を残したこともあったし、このまま終わるようなことにはならんだろう」と、私は期待していました。

7.集中砲火とPK

後半が始まり、最初の2分間に攻勢を見せたサンフレッチェでしたが、そこから失点まで、清水の攻撃にさらされ、集中砲火を浴びる展開になってしまったのには参りました。

PKになったプレーは、正直言って微妙でしたが、佐藤主審もしっかり説明なさっていましたし、仮にその内容に不満があったとしても、納得するより他ないな、と思いました。(PK時のエリア内への侵入を見逃したのは良くなかったけれど。)

それよりも、自陣のエリア内で相手選手がプレーする状態を作ったことが、広島にとって、問題でした。

8.ペース上がらず…

得点が入ってからも、清水は、やり方を変えることがありませんでした。

引き続き、前へと圧力を掛けて広島のパスコースを安易に開けないように気を付けながら、機を見てのカウンターでゴールを脅かす形を採っていたと思います。

私のメモにも、「やり方を変えてないのが偉いな」と書いているほどでした。

それに引き換え、サンフレッチェは一向にやり方が変わりませんでした。

チャジをシバコーに代えて森島を前に上げても、その森島を下げて宮吉を投入しても、得点の気配が全くしないのでした…

何しろ、エスパルスの守備の反応がいいので怖いのか、全然、パスを出せてないのですから。

おそらく清水のイレブンは、ほとんど怖さを感じることはなかったのではないでしょうか。

結局、ATを加えた約95分間、終始、すっごく戸惑いながらプレーしているように見えたまま、0-1で試合は終了したのでした。

9.これまでレビューした中で最低の試合だった。

私がこのブログを始めて、まもなく3年。

これまでに書いてきたレビューが今回で何試合目になるのか、数え直していないので分かりません。

しかし、この試合は、間違いなく、それらの中で最低の試合でした。

今までのブログ歴の中で、どんな敗戦でも、極力、ポジティブな要素に着目しようと心掛けてきた私ですが、今回の試合ほど、プラス面を見つけづらい試合は、過去にありませんでした。

10.腰が引けてちゃ勝てないよ

サンフレッチェ広島が、選手たちの連携を重んじるスタイルであることは、広島のファンサポなら誰もが知っていることだと思います。

メンバーが大きく様変わりした中、しかもケガ人が続出している中、連携の構築が一朝一夕で成るものでないことも、誰もが理解していることだと思います。

しかし、上手く連携できないからといって、そこで選手たちに思考停止されたのでは困るんですよね。

確かに、エスパルスの統率は見事でした。

つなぎのパス、楔のパスが、かなりの頻度で清水のディフェンスに引っ掛かっていましたから。

でも、それを怖がって、危険なエリアへのチャレンジを誰もしようとしないのは、どうした訳なのでしょうか?

いや、そんな場面が皆無だったわけではないですが、如何せん、回数が少なすぎたのではないでしょうか?

相手の守備ゾーンの外側を、いくらボールが回ったところで、相手にとって大した脅威にはならないことは、選手たちも知っているはずなのに。

リードしての鳥籠じゃないんだから。

工藤は、「もっと縦パスを自分に入れてほしい」と言っています。

練習時や普段の会話の中で、選手間でのそうしたやり取りは行われているはずです。

しかし、試合の中でそれが為されなければ、せっかく会話した意味がないわけですよ。

少なくとも負けている状況では、リスクも負わなくちゃ。

11.ブーイングは嫌いだが…

試合後、一部のサポーターからブーイングが挙がったらしいですね。

私は、ブーイングは嫌いです。

少なくとも、「ブー」という唸りだけで不満を伝えようとすることは大嫌いです。

そんなんじゃ、具体的な不満の内容は全く伝わらないし、生産性も皆無だと思うからです。

しかし、実際にスタジアムで試合を観た人たちが、「チャレンジ精神が希薄な、臆病なプレーを90分間見せられた」と思ったのなら、その不満な気持ちだけは、私にも理解できるように思いました。

但し、それでも私は、ブーイングはしませんけどね。

なぜなら、私にはこのブログがあります。

意味が伝わらない唸り声なんか使わなくても、不満に思ったことが何なのか、具体的に、自分の言葉で書くことができますからね。

(これって、結構、浄化作用もあるんです。お薦めしたいです。)

よって、私には、ブーイングは必要ないのです。

12.締めは前向きに(笑)

いずれにしても、秋まで続く長丁場です。

不安は不安として、「サンフレッチェは巻き返してくれる!」と信じて応援するしか手はないと思います。

34試合のうちのまだ2試合ですから、「優勝なんておこがましい」とか「残留争いだ~」などと自嘲するにはまだ早いんじゃないかと、今はまだ楽観的に考えています。

というより、簡単に諦めてたまるかい!って感じです(微笑)。

もう少し、様子を見ようと思います。

13.あとがき

今回の記事はレビューのため、戦術的な指摘や改善手段の提起などといった要素は、あまり盛り込みませんでした。

その辺り、予定では明日以降、鳥栖戦の前までに形にしたいと考えていますが、例によって予定は未定です。

今のところ、やる気があるので、今書ければベストなんですけどね…

いい加減、寝なくては。

それではまた。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。