昔観た試合に出ていた選手が広島にやってきた ~稲垣祥選手について語る~
1.昔観た、あの試合
2008年の大晦日、私は、東京の駒沢公園にある競技場で、全国高校サッカー選手権大会を観戦しました。
当時は東京在住だった私。故郷広島の代表、広島皆実高校の試合を、どうしても観たくなったのです。
相手は、大会の地元、東京代表の古豪、帝京高校でした。
その時、広島に縁の深い高木琢也氏の息子(*)が帝京高校の1年生で、レギュラーとして試合に出ていることは知っていました。
しかし、他の選手のことは、全く知識を持っていませんでした。(皆実の選手についても同様だったですが。)
試合はPK戦の末、広島皆実高校が勝ち上がりの権利を得る結果になりました。
そして皆実高校は決勝で「ハンパない」大迫勇也選手らがいた鹿児島城西高校を破って優勝したので、大会を通して選手の名前も少しずつ覚えていくことができました。
一方、帝京高校の選手の名前は、高木くんを除いては、覚える作業もないまま、私の記憶から消えていきました。
(*)高木利弥選手。現モンテディオ山形。
2.縁とは味なものだなあと思う
2016年12月29日、サンフレッチェ広島のプレスリリースにて、ヴァンフォーレ甲府の稲垣祥選手を完全移籍で獲得、というニュースが発表されました。
噂にはなっていましたが、ここにきての正式発表。
新外国人(フェリペ選手)の獲得や中林の帰還こそ伝えられましたが、(レンタル中心とはいえ)出ていく選手ばかりが目立っていただけに、広島ファンサポが待ちわびた朗報だったと言えましょう。
さて、私は申し訳ないのですが、稲垣選手がどのような選手なのか、ほとんど知っていません。
なので早速、ウィキペディアで調べてみました。
まず、上から順にではなく、甲府入団後の記載を確認。
「フムフム、なるほど、こんな選手だったのか」と得心しながら、目線を上の方に向けました。
そこには、「2007年に帝京高等学校へ進学」という文章がありました。
そして、続きを読み進めると、「(高校選手権の)2008年度大会では自身のPK失敗により初戦敗退」と書かれていました。
「もしや?」と思いました。
「帝京が初戦敗退」という言葉に思い当たるところがあり、「高校サッカー選手権大会」のページを探しました。
そして、確認したのです。
「稲垣があの試合に出ていた」ということを。
その試合というのが、冒頭に書いた、私が観戦した試合です。
あの後、広島にUターンした私は、スポナビブログで記事を書き始め、レビューを通してサンフレッチェの試合を注視するようになりました。
来年以降も、テレビ放送がどうなるかという心配はありつつも、サンフレッチェの試合を観る、という作業を続けていくつもりです。
そんな注視の対象であるサンフレッチェに、8年前に試合で観たはずの(私にとって)名もなき高校生が、いま、主力候補として移籍してくる…
「縁」というものはあるんだなあ、と思いました。
もちろん、面識はありませんし、サッカーチームの選手と、そのチームのファンという関係でしかありません。
それを「縁」などとはおこがましい、かもしれませんが、でも、私は何か、嬉しかったんです。
私は、この「縁」を知ったことで、稲垣祥という選手に、「ただ単に移籍してきた選手」という以上の親近感を持ったのです。
3.いい補強だと思う
・抜群の持久力と献身的なプレーが持ち味である
・自身はボランチを志望している
などとあります。
運動量の多いボランチ志望の選手、そして25歳という年齢。
サンフレッチェ広島にとっては、将来を見据えた、とてもよい補強だと思います。
いま広島には、森崎和、青山という、J屈指のボランチがレギュラーにいますが、両者とも既に30代。
丸谷などもいますが、早晩、世代交代が必要になるはずのポジションが、このボランチでした。
稲垣が、ボランチの位置で実力を発揮してくれれば、どれほど頼もしいことでしょうか。
カシッチ獲得の時もそうでしたが、おそらく稲垣にも、スタメンが確約されたわけではありません。
ポジションは、自分の力で勝ち取らなければなりません。特にサンフレッチェではそうです。
カズや青ちゃんは、このポジションを奪われまいと考えるでしょうし、丸谷も、レギュラーに定着しようと意気込んでいるでしょう。
森島という若手もいますし、レンタルで外に出ている宮原や川辺、吉野も、戻ってくれば虎視眈々、ポジションを狙ってくるでしょう。
これだけの沢山のライバルと競争し、勝たなければレギュラーはつかめないのです。
しかし、稲垣自身はきっと、こうした競争は望むところ、ポジション争いで遅れを取るつもりはないでしょう。
そして、広島ファンである私は、そんな化学反応なら大歓迎です。
チームが力を維持し、更に上昇していくために、稲垣の活躍にも大いに期待したいところです。
4.期待のエール
稲垣選手移籍、の報は、スポーツナビでも早速ニュースになりました。
今回は無事、Jリーグトップの一覧にも載りました(苦笑)。
早速、「また甲府から獲ってる」というコメントが付き、それに反論するコメントも付いていますね。
どちらの言い分も分かりますが、このバトルに関しては、正直、鬱陶しいです。
大体、稲垣への期待や惜別のコメントがほとんど書かれていない、っつうのはどういうことなんじゃろか。
ちょっと腹立たしいです。
(因みに私は、「サンフレッズ」という単語が大嫌いです。)
尤も、ああいうことを書くのは、多分、甲府のファンサポ以外の人がほとんどだと思いますけどね。
サンフレッチェが甲府に遠征したときはいつも、甲府のサポーターは、カシッチにもササショーにも、温かいエールを送ってくれますから。
そりゃ、今回の移籍を快く思っていない人も多少は居るでしょう。
でも、稲垣が甲府に行った時、甲府のファンサポはきっと、彼にも温かい声をかけてくれるだろうと思っております。
さて、記事中には、稲垣が甲府に向けたメッセージが書かれています。
「僕自身の成長の為に新たなチャレンジをしたいという思いが強く、移籍させていただくことに決めました」などとありますね。
甲府への感謝の気持ち、山梨の地への愛着を表した上で、自身の挑戦への心構えを示した、いいメッセージだと思います。
思えば、3年前のカシッチの時も確か、そんなメッセージだったんじゃなかったですかね。
カシッチは先日、契約満了の状態から、新たに3年契約を結びました。
中国新聞によれば、「今後はチームの中心として引っ張る役割も担いたい」と語ったそうですが、カシッチは間違いなく、移籍の時点よりも成長した姿を見せてくれています。(もちろん、プレーの面でも。)
稲垣にも、そんなカシッチに負けないように、何年かして「稲垣もサンフレッチェで成長した」と言われるように、広島で努力し、アピールしてほしいです。
私も是非、このブログで、そんなコメントをしてみたいと思ってます。
5.終わりに
前にも書きましたが、私が特定の選手を記事に取り上げることは、決して多くはありません。
しかし、小さな「縁」でも、それを発見したことが嬉しくて、急遽、記事を書きました。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。