【天皇杯】旅の終わり ~準々決勝鹿島戦レビュー~
0.まえがき
すべてのものには、終わりがあります。
2016年も残り4日。私は明日、28日が今年の仕事納めです。
年末年始のお休みをゆったりしたいところなのですが、私にはまだ、やることが残されておりまして。
それは他ならぬ、このブログです。
何たって、有馬記念の回顧とか、出来事カレンダーとか(笑)、恒例行事が待ち受けておりますからね。
いやいや、誰も読む人がいなくても書きますよ!
もうこれをやらないと年が越せない感じになってますからね(笑)。
読んでくれる方には、よろしくお付き合い下さい、と申し上げておきます。
気が早いか(微笑)。
1.サンフレッチェは「強者」足り得たか?
2016年12月24日、土曜日の午後1時。
NHK-BSの102ch、両チームの選手が入場する姿を横目に見ながら、プレビュー記事の保存ボタンを押しました。
内容的に何としても試合の前にアップしなければならない、と思いながら書き続けたので、投稿し終わってホッとしたのですが、休む間もなく、メモ取り開始です。
CS、CWCと戦い抜いた鹿島アントラーズは、金崎や柴崎、西といった面々がベンチ外でした。
やはり、歴戦の疲労感は否めないところで、身体面では広島有利、という見立ては間違いなさそうでした。
はてさて、広島はこのアドバンテージを生かせるのでしょうか?
結果は分かっているのですがね…
2.スタメン
広島のベンチからは、体調不良の森崎カズと、背中の張りを訴えたというウタさんが外れ、皆川が1トップで出場。
寿人や浩司はベンチに控える格好になりました。
また、2日前に暫定的資格停止措置の解除が発表された千葉ちゃんは、さすがにコンディションが整わずに欠場し、野上が中央に入る組み合わせとなりました。
現状のベストと言ってもいいスタメンだったと思います。
対する鹿島は、前述の通り、主力の欠場が重なりました。
痛いのは確かに痛かったでしょうが、鹿島は広島と同じく、誰がメンバーに入っても大きくは変わらないチームなので、欠場という言葉のインパクトほど厳しい状況ではなかったかもしれません。
3.広島がペースを握った序盤戦
試合が始まって最初の5分間は、鹿島が中盤でボールを奪って速攻に結び付ける場面が2、3回続いたりして、主導権を握りかけていました。
しかし、パスの質や連係の呼吸などにズレが目立ち、やはり鹿島のコンディションは万全ではないな、と思わせました。
対する広島は、さすがに休養十分なところを見せていて、立ち上がりの動きは悪くありませんでした。
そして、鹿島のプレッシングが通常ほどには厳しくなかったこともあり、パス回しを引っ掛けられる場面は少なかったですね。
こうして、序盤は徐々に広島のペースになってきたように、私の目には見えました。
特に、20分を迎える辺りからは、プレス剥がしやサイドへの展開などにより、チャンスの芽が生まれつつありました。
4.鹿島も御の字の展開に
前半の後ろ半分の時間帯は、広島が相対的に動きが良く見えました。
中盤の守備ゾーンが、いつもよりも若干高く感じられましたし、また、意外とスペースをもらえていた印象もありました。
連動した崩しも何回か生み出せていたので、「こういうときに早めに決めておきたいよなあ」と思いながら観ていました。
しかし鹿島の方も、無失点なら御の字、という感じだったのか、劣勢に見えても余裕はあったみたいですね。
その辺りは、CWCでも似たような戦い方だったと聞いていますし、不安は少なかったのでしょう。
こうして、全体的に広島が優位に立ってはいたものの、0-0でハーフタイムを迎えることとなりました。
5.アウェーゲームだと気が付かず苦笑い
そのハーフタイムに、スタジアムのバックスタンドの情景がテレビ画面に映し出されました。
私はその時、やっと気が付きました。
「あー、カシマスタジアムだったのね…」と。
私は一瞬、「鹿島のホームじゃん」と眉をひそめたのですが、すぐに「まあ、でも関係ないか」と思い直しました。
ホームだろうがアウェーだろうが、勝つ時は勝つし、負ける時は負けますし。
それに、広島は今年、ホームで「3戦連続ウノゼロ負け」ってのをやらかしてますし、鹿島もホーム4連敗中だったわけですしね。
ただ、1つだけ意見を言うと、(これを広島が敗れた言い訳にすることはできないし、する気もないのですが、)天皇杯は国内で唯一、全チームがオープンな状態で戦う大会なので、できる限り公平な条件で試合を開催するのが本筋なのではないでしょうか。
様々な事情でそうはならないらしいんですがね。
(「どちらかのホームで試合をすれば、観客動員が増えていいじゃん」というような意見が他ブログにありましたが、言いたいことは分かるけど、視点が一面的過ぎるんじゃないかな、と思いました。)
6.潮目の痛恨事
後半が始まってからも、しばらくは、広島が前半からの継続を見せて、試合を優位に運びました。
ボールをほぼ支配できていましたし、奪われてからのリカバリも十分でした。
いい流れだと思ったのですが、10分を過ぎた辺りで、何かしら不吉な予感が頭をよぎりました。
ウソのような話ですが、本当のことでした。
宮澤ミシェルさんが何かひと言おっしゃったことがきっかけだったかもしれませんが、何となく、潮目が変わりそうな、そんな気配を感じたのです。
広島にとってのよもやの失点は、その直後に生まれました。
縦への浮き球に反応した中村に対して、広島はDFが2人、カバーに入っていました。
しかしボールは、中村が走り込んだ方向とは違う場所に向かっていました。
そこへ遅れて入ってきた赤崎が、角度のない所からシュートを放つと、ボールは確実にゴールマウスをとらえていきました。
そのボールの動きは、私の目には、まるでスローモーションのように映りました。
最初、私は「広島のDFが気を抜いたか」と思いました。
しかし、リプレーを観ているうちに、それは違うな、鹿島のプレーが上手かったんだな、と思い直しました。
ボールを送った小笠原も上手かったですが、中村と赤崎の連動もまた見事でした。
まったく、してやられました。
7.ゴールマウスが小さく見えた
一般に、先制点がカギを握ると言われていた試合でした。
鹿島が先に点を取ったことで、俄然、鹿島有利に傾くか、と思われましたが、広島にも意地がありました。
ここが勝負所とギアを上げてきた鹿島の攻撃をしのぐと、後半17分でした。
カシッチが左サイドをドリブルで突破すると、昌子が痛恨のファールを犯してしまい、広島がPKのチャンスを得たのです。
試合を通して、左サイドを動き回り、相手に脅威を与えてきたカシッチのプレーが、ついに実を結んだ場面でした。
カシッチらがガッツポーズやハイタッチをしたので、またぞろ注文がつきそうですが、このPKについては異議はないと思います。
昌子が後に「自分のファールだった」と話しましたし、その前に、ミシェルさんが明快に解説してくださいましたので。
ともかく、同点に追い付く絶好のチャンスです。
キッカーはAロペでした。対峙するGKは曽ヶ端。一瞬の静寂。
しかし、映像越しに見た鹿島のゴールマウスが、何と狭く小さく思えたことよ…
「これは入らないかもしれん」と思いましたが、案の定でした。
曽ヶ端がボールを弾き返したとたん、広島の勝利の可能性が著しく低くなってしまったことを、私は悟ってしまったのです…
8.最後の瞬間
後半34分、負ければ広島での(ひとまず)最後の試合となる佐藤寿人が、丸谷に代わってピッチに入りました。
2トップ、3-1-4-2への移行でした。
続いて、43分、皆川に代えて宮吉を投入し、何とか同点、そして逆転を目指したサンフレッチェでした。
しかし、鹿島が掲げる1点の重みは、時間を追うごとにさらに重みを増していきました。
大きなチャンスを作れないまま、4分のATを経て、広島の今期の戦いが終わりを告げました。
9.J1王者の名に恥じぬ ~鹿島評~
私はこれまで、鹿島について、よく「強か」という表現を用いてきました。
鹿島はかねてから、リードした時の試合の終わらせ方が上手いチームでしたが、その手段がマリーシアに満ちた小憎らしいものだったので、少なくとも私はそんな印象を持っていたので、鹿島への評価も自ずと少し棘のある表現になっていたのです。
しかし、この試合の鹿島は違いました。
守備一辺倒でもなかったし、コーナーでボールキープに走るわけでもありませんでした。
常に隙あらば追加点を狙ってやろうと、攻撃にも一定の時間を費やしました。
そして何よりも、こすっからい時間稼ぎのプレーは、ほぼ皆無でした。
唯一、石井監督がボールを保持して返さなかったことだけは「それはダメだろう」と思いましたが。
(審判への不満があったにしても、あれはまずかった。退席になっても文句は言えないところでした。フィールドプレーヤーならイエローが出る場面ですから。)
でも、悪かったのはその場面だけでした。
私は、鹿島に対する認識を改める必要があるようです。
CSとCWCの戦いを経て、鹿島は、世界の強豪が相手でも対等に戦い得る力があることを、実感したと思います。
そんな彼らの自信を、この試合の中からも窺い知ることができました。
もちろん、正直なところは、広島が負けて悔しかったし、「鹿島め~」といううらめしい感情も無きにしもあらずです。
でも、試合が終わった後に「鹿島は強かった」と思ったこともまた、私の正直な気持ちでした。
さすがは今年のJ1王者。見事な勝利だったと思います。
10.工夫が足りなかった ~広島評~
寿人や浩司とのしばしの別れは、年をまたいで、元日まで先送りにしてほしかった。
広島のファンサポの多くは、きっとそう思っていることでしょう。
しかし、現実は厳しかったです。
この日、スタメンに入った選手たちは皆、自分ができることをピッチで表現しようと、試合に臨んだと思います。
例えば、皆川は、楔を受けて攻撃の起点になったり、プレスバックして守備で貢献したり、体を張って走り回りました。
また、Aロペは、巧みなドリブルと体の強さで鹿島の選手たちを引き付け、シュートに持ち込んだり。味方のスペースを作ったりしていました。
カシッチの躍動は先に述べた通りですし、他の選手もよくやってはいたと思います。
しかし、この試合では如何せん、工夫が足りませんでした。
攻撃がカシッチの左サイドに偏り、ミカや塩ちゃんを有効に使うことができませんでした。
セットプレーのバリエーションが広島の売りのひとつだったはずなのに、獲得した12本ものCKを、ついに一度もモノにすることができませんでした。
昨年のCWC、マゼンベ戦で見せたようなアイディアが、ほとんど見られませんでしたし。
平均身長で上回ると思われる鹿島を相手に、画一的なCKを続けていたように見えたのは、非常に残念なことでした。
また、体力面で上回っていたはずのサンフレッチェだったのに、肝心の運動量で鹿島を凌駕できなかったのはいただけなかった。
公式戦の間隔が空いて、試合の感覚が薄れていたのではないか、という指摘がありましたが、確かにそれはあったかもしれないけれど、敗戦の言い訳にはなりません。
試合内容自体は決して悪くはなく、先に得点できていれば、勝利できた可能性は十分にあったと思います。
でも結局、今年は同じような負け方がかさんでいたのが、最後の試合にも出てしまいました。
残念です。
11.いざ、次の旅路へ
今年も、森保監督の下、選手たちは勝利を目指し、タイトルを目指して、懸命に戦ってきました。
この試合でも、勝利のためにできるだけのことはしてくれたと思います。
期待に応えてくれなかった選手も実は居ましたが、勝ちたい気持ちを持ってプレーしていたことは間違いないと思います。
天皇杯を逃したことで、広島は、来年のACLに出場する権利を得ることができませんでした。
今年のリベンジを果たしてほしかったけど…
よって来年は、ルヴァン杯が1次リーグからの参戦になる他、J1リーグと天皇杯で、4つめの星を目指すことになります。
来季の陣容が固まるのは、今季と同様、1月中旬になると思われます。
レンタル放出の報が多く、ウタさんの去就など、多くのファンサポが来年の心配をしているみたいですね。
私も少し、不安に思っている部分はあります。
しかし、サンフレッチェはこれまでも、その時に居るメンバーで戦い抜き、優勝を勝ち取ってきました。
仮に来年、苦しい戦いが待っているとしても、一戦一戦を大事に戦う、サンフレッチェの哲学は変わりません。
私はこれからもアンテナを張って、サンフレッチェや、それに関わる人たち(寿人や岳人など)の動向を、見守っていきます。
諦めず、一緒に応援していきましょう!
12.あとがき
サンフレッチェは、今までよりも少し長めのオフに入りました。
でも、冒頭に書いた通り、私のブログは年内も活動を続ける予定です。
まあ、今年もちょいちょい空白期間がありましたから、その埋め合わせの意味でも、2016年、もう少し頑張ります。
よろしくお願いいたします(礼)。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。