象徴 ~川崎戦レビュー~

0.まえがき

2016年10月22日、土曜日の朝。

適当な頃合いに目を覚まし、10時ごろだったかな、パソコンでスポナビのJリーグのページを開いて、少し驚きました。

「記事が少ない…」

いつもは、浦和の話題を中心に、色々なチームの情報が並ぶのに、記事の数が、両手が余る程度しかなかったのです。

もしかして試合の日付を間違えた?と(前にもやらかしたので)思って確認したら、やっぱり試合当日の朝でした。

その日はプロ野球日本シリーズが始まる日でした。なので、そちらに注目度が集まるのは無理もありません。

私もカープファンのはしくれですから、当然、大注目してましたし。

でも、地上波の情報番組ならともかく、スポーツ系のポータルサイトで、この扱いの小ささは何なんだろうなあ、と、正直思いました。

その上、いつまで経ってもスタメンが表示されないという状態が、その気持ちに輪をかけます。

「もしやJリーグに含むところがあるのか?」と思いかけましたよ、実際のところ。

「まあ、システム不具合の可能性もあるしな」と思い直したら、本当にその通りだったので、疑いは晴れたのですが。

結局、てんやわんやでしたね、速報。

「頑張れ、システム屋!」と、日記には書いておこう(笑)。

1.ケガの功名

この日は、等々力での試合でしたが、NHK-BSで生中継されたので、私も観戦することができました。

「解説は福西さん辺りかな?」と思っていたら、宮澤ミシェルさん。

ハキハキとした話し口が好きだなあ。個人的には久々に聞く宮澤節なのでした。

さて、スタメンをひと目見て、浩司がベンチ入りしていることに、まず驚きました。

というのは、中野和也氏がある記事で「今回の遠征には帯同しない」と記しておられたのを読んでいたからです。

上手の手から水、ですが、何か情報に行き違いがあったのかもしれません。

それに、ケガの功名と言おうか、浩司がメンバー入りを勝ち取った、という意味では、逆に喜ばしい間違いだったようにも思いました。

2.やや予想外なメンバーに

浩司の件に気を取られ過ぎていたので、非常に重大なことに、しばらくの間気が付かないでいたのです。

千葉ちゃんがメンバー外になっていたことに。

実は、自力では気付くことができず、某氏のつぶやきを読んで初めて知ったのです。

ミズが体調不良で外れることは聞いていたのですが、千葉ちゃんまでとは…

ということで、3バックは、中央にカズ、右に塩ちゃん、左に広島ではリーグ初スタメンの野上、という布陣に。

また、攻撃陣も若干の変動があり、1トップに皆川、2列目に、シバコーと復帰のAロペが並びました。

ベンチに控える、ウタさんや寿人、宮吉らをどのように起用していくのかが、試合のカギを握りそうでした。

※「Aロペ」とは、「アンデルソン ロペス」選手のことで、当ブログでは短くこう書いています。「エーロペ」と読んでください(微笑)。

なお、せとさんは「アンロペ」と書いておられます。そちらの方が一般的っぽいですね。

3.旺盛な活力

そうこうしているうちに、中継が始まりました。

例によって、J公式サイトの速報と、せと☆ひできさんの速報を両にらみしつつ、メモを取りながらの観戦でした。

しかし、もう先に書いてしまいますが、速報を確認している時間的余裕は、ほとんどありませんでした。

「アグレッシブだな、今日は。」

これが、この試合最初の、私の感想でした。

何しろ、広島の前からのプレス、圧力が凄まじかった。ポゼッションしたい川崎にそれをさせません。

Aロペも、相手の左サイド奥で、ボール保持者を懸命に追いかけていました。

3週間の効用があったのでしょうが、広島のチーム状態は、中断前から大いに改善されていました。

川崎の最初のポゼッションは、試合開始から7分後のことでした。

4.攻守のメリハリ

広島の、今年あまり見せなかった意外な先制パンチに、いささか戸惑いがあったらしいのですが、川崎の選手にミスが頻出しました。

それに乗じて、連動したプレスを仕掛ける広島。

特に皆川は、猛然とプレスバックしてボールを奪取するなど、働きが目立っていました。

彼の良さが非常によく出ていましたね。

逆に、川崎にボールを持たれたとき、広島の選手たちは状況をよく見極めていたと思います。

行くべきところでは圧力を掛けていく。無理に行かなくてもいい場合はブロックを敷いてじっくり守る。

そうしたメリハリのある攻守を、久々に見せてくれました。

5.面白い試合に

危険なエリアで敢えてつなごうとしたりして、却って広島に付け入るスキを与えていた川崎でしたが、前半の半分を過ぎる辺りからは、さすがに落ち着きを取り戻したようでした。

また、広島も、開始直後ほどの勢いはさすがになくなったため、試合は、広島のペースから、徐々に互角に近いレベルへと変化していきました。

やがて、互いに攻め合い守り合う展開になり、私は、メモを取る手が止まるほど、試合に見入っていました。

気が付けば、時計は知らぬ間に35分、40分と過ぎていったのでした。

こうして、短く感じた前半が終了。

最後の5分間こそ、膠着した状態になりましたが、楽しい前半でした。

6.前兆は無かった

後半が始まりました。

前半に見せた運動量が後半にも使えればいいが、と思いましたが、とりあえず、プレスのメリハリが効いていたので、しばらくは問題なさそうでした。

試合は、まずは広島がペースをつかみかけましたが、少しずつ川崎の方が攻勢になっていきました。

但し、カウンター寄りのやられ方がメインで、ポゼッションで崩されているわけではありませんでしたが。

そんな中、前半に少し傷んでいたミカが、1人目の交代で退きました。

このときは、よもや今年のJ1リーグで彼を見れなくなるとは思いませんでした。

浩司のセレモニーには出席するはずですが…

返す返すも、残念でなりません。

7.不承知の現実

後半20分手前。

リベロの位置に入ったカズが、ボールを保持しながら前線に進んで行ったので、私は「カズが千葉ちゃんの仕事をやり始めた?!」と思って、ひとり面白がっていました。

その直後、左サイドに入っていた航平がファールを受け、左45度辺りからのフリーキックを得た広島。

ゴールまで距離はありましたが、シバコーと塩ちゃんがボールサイドに揃いました。

どちらでも蹴れる状況でしたが、彼らの選択は塩ちゃん。

彼らしい強いインパクトのシュートは、川崎の壁に当たって、ファーサイド側のゴールに到達しました。

当然、テレビの前で歓びの声を挙げた私でしたが…

判定として確定したことだから認めるしかない、と重々承知してはいますが、あの刹那は、私も納得できませんでしたね。

「どこがオフサイドなんだろうか?」と思いました。

オフサイドポジションにいたことは確かでも、あれだけ距離があればプレーに関与したとは言えない、と思いました。

「さすがにそれはないんじゃないの?!」と思いました。

ここで審判云々の話を書くことはしませんが、いずれにせよ、試合の行方を大きく左右する、大きなジャッジだったことは否めません。

しかし、川崎のゴールキックで試合が再開されたので、そのことはもう忘れなければならないのでした。

8.象徴

後半30分を回っても、広島の守備はへこたれませんでした。

川崎が狭いところを厭わないので、その分助けられてはいましたが、ボールへの集積がよくできていました。

しかし、後半40分が近付いた頃、今年の両チームを象徴する場面が訪れたのです。

足をつってしまった皆川に代わり、ウタさんがトップの位置に入っていました。

そこへ、右サイドに回ったカシッチからのクロスが。

フリーでヘディングシュートを放つウタさんでしたが、ボールは相手GKの正面に行ってしまいました。

その直後でした。川崎の波状攻撃から、最後は森谷に、強烈なミドルを決められてしまったのは。

ここぞという所で決め切ることができない広島と、最後に何とかしてしまう川崎。

現在の順位が物語っている訳ですが、見事に明暗が分かれてしまいましたね。

終了間際、CKのチャンスに、卓人が思いを込めながら敵陣まで上がっていきましたが、無念にも実らず、逆にダメ押しの2点目を決められ、万事休す。

年間勝ち点1位を目指す川崎が、我慢の末に勝利をつかみました。

9.フロンターレにエールを

八宏さんの退任発表後、最初の試合となったのがこの試合でした。

久しぶりに川崎の試合を観ましたが、年間王者を争うだけのチームでしたね、やはり。

直近の数試合で失点がかさみ、得失点差に悪影響を及ぼしていましたが、この試合は失点をゼロに抑えました。

広島の決定力に助けられた、と言う人もいるでしょうが、(確かにそれもありましょうが、)私は、川崎の守備の意識、ここぞというポイントでの粘りを、強く感じました。

進化しましたね。

私は、どちらかと言うと、いい時の広島のような、攻守にバランスの良さを感じさせるチームを評価する立場です。

しかしながら、浦和もそうですが、特に川崎のような攻撃的なスタイルにこだわるチームが優勝できるのなら、それに越したことはないと思いますし、面白いとも思います。

今年も3チームで争うCSになりそうな状況です。

もしも大宮が出場できるようなら、多分、大宮を応援すると思うのですが、その可能性がついえたならば、私は、川崎を応援したいですね。

17冠を誇る常勝鹿島、アジアを制した浦和、よりも、悲願のリーグ制覇を目指す川崎に勝ってもらいたいし、八宏さんにトロフィーを掲げてもらいたいという気持ちもありますし。

ミシャは1冠獲ったから、今度は八宏さんの番、ということでね(微笑)。

まあ、でも、まずは残り2試合。

浦和と川崎の年間の争いは、見応えがありそうですね!

期待します。

10.あとがき

今日のプレスリリースの件については、現状、静観いたします。

さて、本来はここで、広島にスポットを当てていくところですが、今回は、記事をいったん締めたいと思います。

実は、日本シリーズとの兼ね合いで、執筆3日目なんです(笑)。

ここまでで十分長くなりましたし、まだ書きたいことが沢山あったりするので、稿を改めようかな、と。

カープが負けた影響もなくはないのですがね(笑)。

最後に、タイトルを少し迷いました。

「象徴」という言葉を使いたくて、いろいろと文節を考えたのですが、なんか嵌らなかったので、真田丸に乗っかってみました(笑)。

じゃあまた明日お会いします!(予定)

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。