リセット ~FC東京戦レビュー~
0.まえがき
困ったなあ、と思ったのです。
サンフレッチェ広島の試合を生で観戦するのは、あの8月6日、原爆の日のホームゲーム以来でした。
あのときは現地観戦でしたので、テレビの前でメモを取りながらの観戦は、その前のG大阪戦以来だったのです。
いつもの通り、A4のプリンタ用紙を縦に置いて準備万端、テレビを点けて、さあ書こう!
と思った時に感じた、猛烈な違和感…
たった2ヵ月ですが、ブランクを感じましたね。
できるかな?
ま、書いてくうちに何とか形になるんじゃないの?
とりあえず、いつもの通り、メンバーについてメモするところから書き始めたのでした。
1.戦いを前に
2016年10月1日、土曜日。
この日はスカイAで生中継。元気印(吉田安孝氏)の解説に、ピッチリポート掛本智子さんという、黄金の布陣でした。
広島は、このところ不動のスタメン陣。
皆川が脳震盪の影響があるとかで不在だったのは残念でしたが、代わりに、故障から復帰の宮吉がベンチに入りました。
FC東京のメンバーについては、正直、語るべき知識がなかったのですが、平山が久々に先発出場を果たし、A代表、五輪代表を含む面々が名を連ねていました。
また、ベンチに控える、前田、羽生、ネイサン・バーンズといった実力者が、不気味な存在感を醸し出していました。
そんな試合前、シバコーが平山と何やら言葉を交わしている姿が、画面に映りました。
一瞬「ん?」と思いましたが、すぐに気付きました。確か、国見の同窓だったんだよな、と。
早速裏取り(笑)。
確かに、シバコーが平山の1年先輩だったんですね(*1)。
試合前のこうした交歓は清々しく、いい感じな気持ちになります。
しかし、試合に入れば別の話。
広島にとっては、負けたらCSへの道が断たれる状況。
諦めずにやるだけなのでした。
2.イニシアチブを与える
試合が始まり、冒頭のところは、広島が後方でボールを保持して落ち着いて入った、と思いました。
が、FC東京が積極的に前から仕掛けてきていたのと、広島DFの裏を活用していたことから、試合のイニシアチブはFC東京が握っていたと思い直しました。
主導権を与えている分、かいくぐった時にはチャンスになる広島。
しかし、チャジのドリブル・カウンターが目立ってはいたものの、ゴールを脅かすところまでは至りませんでした。
3.膠着状態
15分辺りから、広島がボールを保持できるようになってきました。
この時点で、「試合が膠着する可能性が出てきた」とメモした私。
案の定、このカードにありがちな固い試合展開になってきました(*2)。
FC東京のDFラインが浅いので、広島としては、その裏のスペースを使いたいところ。
もちろん、選手も分かっていて、その狙いを持ってプレーしてはいるようでした。
ただ、FC東京の守備陣が(いつも通り)組織立っていたこともあって、なかなか、その狙いを全うすることができません。
逆に、ビルドアップのところで、トラップ際を相手に狙われて苦しくなるパターンが2、3度見られたのが気になりました。
こうして、大きな動きがないまま、前半が終了。
互角の展開だと思いましたが、いま考えると、FC東京の方に満足度があった前半だったような感じがします。
4.ハーフタイム雑感
スカパー中継の恒例、独自のスタッツ集計によれば、前半のシュート数が、広島10-3FC東京、だったとのこと。
「意外と打たせてないなあ」という第一感でしたが、広島の方に「シュートで終わらせよう」という意識があったように思ったので、この数値には納得でした。
ただ、枠内シュート数は互いに3ずつでしたが。(つまり、FC東京のシュートは全て枠に飛んでいたことになります。)
あと、前半で気になったのは、ウタさんの体の切れが、若干不足しているように見えたことでした。
彼のイメージ通りに体が動いてくれない、という感じじゃなかろうか、と想像したのですが、どうだったのか…
5.こじんまり
後半開始。
前半終了間際に、FC東京にケガによる交代(*3)がありましたが、それ以外は両チームとも同じメンバーでした。
最初は、前半と同様、FC東京がペースを握っているように思いました。
そして、この時間、広島側に意図のズレや細かいミスが若干見られた点が、かなり気になりました。
そんな中、後半7分頃に見せた、右サイドから、中央のウタさんを経由してカシッチに展開する、という、大きなボールの動きがありました。
これは前半にあまり見られなかったプレーで、もっと増やしてもいいのに、と思いながら観ました。
6.縦にグィーン(*4)
後半17分、チャジに代えて、宮吉が投入されました。
私が生観戦した名古屋戦で負傷して以来の公式戦出場となりました。
シャドーとしての宮吉は、チャジとタイプが似ていると思うのですが、2人を比較した場合、縦への推進力は、宮吉の方が上。
ウタさんとの相性も、離脱前の実践で実証済み。
途中出場でのチェンジ・オブ・ペースに、大いに期待していたのです。
そして。
単なる素人ブロガーの私は2ヵ月間のブランクを不安に感じてしまったのですが、同じブランク期間の宮吉からは、そういう不安感は全く見えませんでした。
縦に向かうスピード感も問題なく、彼の持ち味を早速発揮してくれていました。
7.明暗を分けた必死のプレー
後半も25分辺りになり、少しオープンな展開になりかけてきました。
両者、カウンターの応酬みたいになりますが、広島のチャンスも、FC東京の帰陣が普通に早いため、決定的なところまでは踏み込めないのでした。
後半32分、ここで、広島が動きました。
ウタさんから寿人へ。最近では少し珍しい交代でした。
スペースが空いてきたことに加え、青ちゃんの調子が良さそうに見えたので、これは楽しみがあるぞ、と思いました。
事実、青ちゃんも、寿人への思いが強かったようですね。
あるシーンで、青ちゃんが寿人に縦パスを入れるのですが、その時は、3人へのパスコースがある中、「とにかく寿人さんにパスを出すんだ!」という強いオーラをまとっていました。
そして試合は進み、ATに入ろうかという、後半45分でした。
左サイドからのボールを、ゴール前でフリーになった寿人が、正にドンピシャのボレーで合わせたのです。
強烈なシュートが決まった!と思いきや、FC東京のGK秋元が見事にセーブしたのでした。
私は、TVの前で思わず叫んでしまいました。
「秋元、空気読めよ~(惜)。」
もちろん、相手も必死、よく分かっているんですが…
8.エアポケット
後半47分。
観ている私は、あるいは選手たちも、その直前、エアポケットに陥ったらしいのです。
この節のノミネートゴールに挙げられた中島のゴール、いま、映像を観直しました。
シュートに至るまでの中島の動き、シュートの技術、いずれも素晴らしかったと思います。
しかし、広島の選手たち、シュートを打たれる前に、もっと厳しくチェックできんかったか…
CKからの失点でなかったことが、却って悔しく感じました。
前節、ATに悪夢を見たFC東京。
広島に、G大阪のような粘りを見たかったのですが、無念、力尽きました。
終盤、最後の15分ぐらいの間、「運動量はFC東京の方が上だな」と思いながら観ていたのですが、失点の食らい方を観ると、やっぱりその面が結果に出たんだなあと、思わずにはいられません。
せっかく交代出場した寿人や航平が活かされる場面が、極端に少なかったことも、その辺りが原因ではないかと思いました。
(それでも見せ場を作った寿人は流石でしたが…)
とにかく、あまりにも残念な失点でした…
9.リセット
この結果で、広島は、ホームで3戦連続0-1での敗戦となってしまいました。
鹿島の敗戦によりホンの僅か、可能性を残していたCS進出の目も、これでなくなってしまいました。
もちろん、2度目の連覇も夢と消えました。
とても残念です。
実はこの後に、広島の現状について思う、的な文章を書いていたのですが、今回は載せないことにしました。
後日、機会があれば別途、記事にしたいとは思っていますが、今がいいのか、残り3試合を見届けてからがいいのか、ちょっと迷うところもあり、実現性をハッキリ言及できません…
10.それでも戦いは続いていく
CS出場が断たれたサンフレッチェ。
最大目標だった「年間勝ち点1位」の可能性が浦和戦で消えた後でしたが、(絶望的な状況だったけど)もっと長く、J1制覇の可能性を信じていたかった。
でも、結果が出てしまったからには、諦めるしかありません。
そして、残る天皇杯に向けて、気持ちを切り替えて前進するしかありません。
いや、その前にJ1の残り3試合、「目の前の試合に全力を尽くす」広島の信条を示さなければなりませんね。
年間1位を目指す川崎や、残留争いの渦中にある新潟はもちろん、降格が決まった福岡と対しても、簡単な勝負にはなるはずがありません。
しかし、サンフレッチェが目指すのは、その勝負に全力を尽くし、そして勝つことです。
個人的には、風間サッカーが優勝するところを見てみたいし、新潟には是非残留を勝ち取ってほしいと思っています。
でも、広島は、川崎に簡単に優勝させてはならないし、新潟に簡単に残留させてはならない、とも思います。
前年チャンピオンの意地とかじゃなく、サンフレッチェ広島自身のために、壁となって立ちはだかってもらいたいです。
(*1)
平山は、高校選手権で2年連続得点王になっていますが、シバコーは、その前の年に得点王になっていたんです。
さらに、シバコーの前年に、大久保嘉人が得点王になっているので、実は、国見高校から4年連続で得点王が生まれているんですねえ。
(*2)
案の定、とか書いてますが、自慢してるわけじゃないです(笑)。誰でも想像できると思うし。
(*3)
徳永が、ミカとのせめぎ合いの中で、右足が芝に引っ掛かった感じで取られてしまったように、映像からは見えました。
試合中にケガをする場面は、いつ見てもつらい気持ちになります。大事無ければいいと思います。
(*4)
チャジも、小気味良い動きを見せてくれるし、スピードも無いわけではないのですが、宮吉の場合は、「グィーン」とか何か擬音を付けたくなるような速さを感じます。
もっと適切な擬音があるような気がするんですけど… 何かありますかねえ?
11.あとがき
今回、脚注をあとがきの前にまとめてみました。
どうだろう。
(土曜夜の)この試合の採点を月曜日の朝に発表したサカダイは、スポナビのコメントで「情報として新鮮味がない」と言われておりました(笑)。
速報性が必要なメディアが速報性を重視しないと、こういう手痛い目に遭ってしまいます。
その点、当ブログは速報性を求められていない(と思う)ので、気は楽なのです。
でも、本当は、日曜の夜に書きたかったのに、書き出しが書けなかったり、眠気に負けたりして、今夜までずれ込んでしまったのでした。
書いてみると、意外に滞りなく、ブランク前と同じレベルの負担度で書けました。良かった。
安堵したところで、今回はここまで。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。