LIVEトラッキングを語ってみた

0.まえがき

9月23日が平日、という、なんか妙な感じのする1日を職場で過ごし、無事に土日を迎えました。

天皇杯の日程の関係で、J1は今日25日の開催です。

8月6日に広島-名古屋戦を現地観戦した後、私は何と今日まで、サッカーの試合を90分観戦することがありませんでした。

代表の最終予選さえ、平日開催だったために、UAE戦は後半のみ、タイ戦に至っては、最後の20分程度しか観ることができませんでした。

テレビを点けたら、浅野のゴール直後のタイのキックオフでしたからね(苦笑)。

唯一、天皇杯2回戦のアルビレックス新潟関西学院大学戦のみが、試合開始から終了まで、生観戦できた試合でした。

延長戦を戦った末に新潟が辛勝したのですが、ファンサポには悪いけれど、そこはやっぱり、関学に情が移ったし、勝ってほしかったなあ。

そんな訳で、この約1ヵ月半の間、サンフレッチェ広島の試合は、1秒たりとも観戦できていません。

NHKも、TBSチャンネルも、スカイAも、もちろん地上波も、全く中継してくれませんのでね。

もちろん、現地観戦するとか、スカパーに加入するとかすればいいんでしょうけど、8月にまさかの赤字を計上したウチの家計では、そう簡単にはいきません(悲)。

浦和戦も観戦できませんし、もはや、レビューの書き方すらも忘れてしまいそうです。

愚痴はそろそろこの位にしておいて、本題に入りましょう。

1.十分に楽しめたLIVEトラッキング

2016年9月17日、土曜日。

鳥栖-広島戦といえばスカイA、というイメージが私にはあるのですが、この日は別のカードを中継していました。

そこで、スポナビのテキスト速報とせと☆ひできさんのブログ速報をリロードする、生観戦できない時のいつものパターンを適用しようとしたのです。

しかし、Jリーグの公式サイトを見たら、鳥栖-広島戦がLIVEトラッキングの対象試合になっていたので、急遽、それをメインに試合を「観戦」することにしました。

さて、本来ならここで「LIVEトラッキングとは何なのか」を説明するのが親切だと思うのですが、文章でくどくどと書くよりも、百聞は一見に如かず、ということで…

こういうやつです。

要は、YouTube と連動して、試合中のボールや選手の動きをリアルタイムに映像化するしくみなのですね。

まあ、リアルタイムといっても、実際は1~2分遅れて進むんですけども。

試合の状況は、実況音声がついているので、映像がなくても、多少のことは把握できるようになっています。

いわば、ラジオ放送みたいな感じですね。

白状しますと、以前に2~3回、LIVEトラッキングを観戦したことがありましたが、実況音声が付いていることを、今回初めて知りました。

どうやら、前に観た時は、YouTube が音声ミュート状態になっていたらしいです。

ここに載せた画像では、下半分に選手のデータが出ていますが、選手は自由に選択することができて、例えば、広島の青山を選択すれば、彼の顔写真と共に、走行距離やプレーエリアのデータが一瞥できる、というわけです。

もちろん、スタッツとかもリアルに見ることができますし、時間帯ごとの優劣なんかも判断できたりします。

実際のプレー映像を観られない場合、テキストの速報も当てになるし有難いのですが、LIVEトラッキングのようなしくみは、試合の流れを視覚的に捉えることができるので、さらに有難い情報だと言えましょう。

そんな訳で、私は、この試合の90分+αという時間を、LIVEトラッキングで楽しみました。

広島が攻めている時はワクワクとし、逆に鳥栖に攻め込まれている時はハラハラし。

試合は、広島が3-2で鳥栖に勝利しましたが、スタッツを逐一見ながら試合展開を追っていくと、かなり薄氷を踏むような勝利だったことが、映像無しでも理解できました。

例えば、前半は少なかった(というかゼロだった)鳥栖が広島のペナルティエリア内に進入する回数が、後半に入ると見る間に増えていったり。

支配率も、後半のある時間帯からは、ずっと鳥栖が上回っていましたし。

繰り返しになりますが、試合を生観戦できないという制約の下で、LIVEトラッキングの存在は、非常に有難いものでした。

2.LIVEトラッキングの課題

このように、私にとって、とてもためになったLIVEトラッキングなのですが、反面、疑問に思ったこともありますし、いくつかの課題があることも分かりました。

まず、次の画面を見てください。何かに気が付きませんか?

明らかに疑問なのが、広島のシュート数です。

総数20本、枠内2本、となっていますね。3得点したのに。

ゴール数って、枠内シュートの結果ですよね?

正式なスタッツと若干異なる数値になるのは仕方ないとして、これはどう考えてもおかしい数値です。

もちろん、今回たまたま間違っただけかもしれないのですが、いつもこうなのだとすると、当然、改善してもらわなければならないでしょうね。

次に、よくありがちだと思われるのが、次の画面のような場合です。

グラウンド表示の右上を見て下さい。

白い丸、すなわち広島の18番と33番が連携して攻め上がっていることを示しているのですが、これはリアルではないのです。

だって、柏と塩谷がコンビを組んでることになるのですから。

もちろんこれは、18番と30番(柴崎)の誤りで、つまり、33番と30番とが入れ替わっているのです。

調べていないので多分ですが、この辺りの操作はおそらく手作業なのでしょう。

仮に、選手のユニフォームにチップを埋め込むとかしてモニタリングしているのであれば、このような誤りは起こらないと思いますので。

実感では、CKの後とか、選手が集結してゴチャゴチャした後によく起こるような気がしていますが…

ただ、このことについては、(手作業で行なっているのであれば、)多少は起こっても仕方ない気がします。

ラッキングを見る側も、この類のミスにいちいち目くじらを立てる必要はないんだろうな、と思います。

私も、画面に向かって「おいおい(笑)」ってな感じで軽くツッコミを入れる程度で済ませてました。

そういうディテールを追及するよりも、選手の配置具合とか、全体を俯瞰するような視点で見ていくのが、LIVEトラッキングを活用する上での作法なんじゃないか、と思いますね。

その意味では、変な言い方ですが、「LIVEトラッキングにリアルを求めてはいけない」ということが言えるのではないかと思うんですよ。

この試合、広島の2点目、ウタカのゴールが、「その前にオフサイドだったのではないか?」という疑惑が物議を醸しました。

鳥栖のオンゴールがオフサイド判定されたことも相まって、結構大きな話題になったと思います。

(判定の是非については、私は映像を観ていませんので、コメントできません。悪しからず。)

で、ある人がヤフコメに、こういう趣旨のコメントをしていたのです。

「LIVEトラッキングの○分×秒のところを見ると、ウタカはオフサイドだったと言える」と。

書かれていた正確な時間を覚えてはいないのですが、多分、この辺りだろう、というのが、実は冒頭に載せた画像です。

再掲します。

これを見ると、確かに、ウタカの位置が飛び出しているように見えるのですが…

言うまでもなく、そのコメントの主張は、全くのナンセンス。

先程も述べたように、LIVEトラッキング画像は、リアルを正確に伝えているものではありません。

そもそも、地点の情報を丸印でデフォルメして表示するのですから、画面に転載された時点で、多少の誤差は起こり得ます。

なので、見る側は、そのことを織り込んでおかなければなりません。

それは、手作業ではなく、GPS機能等を用いてトラッキングしているとしても、同じことです。

判定その他の検証は、あくまでも実際の映像を参照して行うべきものです。

ラッキングの映像で代用しようという考えは、愚の骨頂だと思います。

その他としては、最初に触れたように、選手ごとに走行距離等のデータを見ることができるのですが、全員の情報を同時に見られるわけではないので、試合中にそれを参照するのは、結構慌ただしくて大変でした。

なので、個人的には、選手個々のデータはハーフタイムや試合後に見るべきものだな、と思います。

3.まとめ ~LIVEトラッキングとの付き合い方~

①LIVEトラッキングは、試合を生観戦できない場合のツールとして有用である。

②LIVEトラッキングの試合状況の表示は、全体を俯瞰する材料として活用するのがよい。

③LIVEトラッキングはリアルではない、ということに留意するべきである。

④選手個々のトラッキングデータは、時間に余裕がある時に参照するのがよい。(試合中の情報としてはあまり役立たない気がする。)

最後に、まだ書いていないことの付け足しですが、

⑤LIVEトラッキングは、TV中継と併用すると、より奥深く試合を楽しむことが可能である

ということが言えると思います。

LIVEトラッキングが、現地観戦に向かない機能であることは自明ですが、TV観戦のお供としては、かなり有用なツールだと思います。

私も、レビュー用のメモを取らなくていい場合は、一度試してみたいと思います。

4.あとがき

今、サンフレッチェ広島が、浦和とのアウェーゲームを戦っています。

ウタさんがPKを外し、DFがクリアミスして失点、という状況ですが、さて、どうなりますか。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。