「広島」を感じた1日 ~名古屋戦観戦記~

0.まえがき

現地で余裕を持てるように「これに乗ろう!」と思っていた列車の、その次の、「これに乗ったらギリギリになるかも」と思っていた最終ラインの列車に、発車直前に乗り込んだ。

夏休み中だからか、単にギリだったからか、車内はそこそこ混んでいた。

「立ったまま終点までじゃあかなわんなあ」と思ったが、何とか空席を見つけることができたのだった。

1.特別な日

2016年8月6日、土曜日。

広島に生まれ育った者として、決して忘れるべきではない日付。

ちゃんと起きられるだろうか、と懸念していましたが、8時より前に、首尾よく目覚めることができました。

そして、8時15分、いつものように黙祷をしました。

通勤中の列車の中でも欠かさない、毎年の「年課」ですが、今年はこの後、もう一度、黙祷を捧げることになったのです。

2.参戦ルート

そんな8月6日に、サンフレッチェ広島が初めて、地元広島で公式戦を開催する、と聞いて、私はすぐさま、「この日に観に行こう」と決めました。

この日は、横川駅からシャトルバスを使おうかな、とちょっと考えたのですが、「まあ、帰りはこっちだし」と思い、いつも通り、アストラムラインで現地入りすることにしました。

但し、今回は広電で市内入りして、本通駅(始発)から座っていこう、という算段。

これが危うく失敗しそうだったのは、まえがきの通りです(苦笑)。

なお、平和公園方面には行きませんでしたが、電車内から見た感じ、やはり多くの方が訪れていたようでした。

3.何のストレスもなく

18時10分過ぎ、広域公園前駅に到着。

珍しく、初動が良かったので、地上に降りる頃、私は先頭集団におりました(笑)。

おかげで、ビッグアーチまで極めてスムーズに歩みを進めることができました。

大勢でゴチャゴチャする中を歩くのは、ストレスが溜まりますのでね。助かりました。

で、公園の敷地に入ったところで、思い立って振り返ってみると、人並みは三々五々。

ありゃりゃ、こんなモン?

さらに、チケット売り場には行列どころか、売り場の女性しかおりません。

並ばず買えたのは良かったけど、ちょっとスムーズ過ぎません?

もっとも、私は行列が嫌いなので、並ばないに越したことはありません。

試合までに腹ごしらえする余裕もありましたし、「これなら本通駅で焦る必要などなかったな」と思いました。

なお、何を食べたのかは書きません。つうか、いつものやつです(笑)。

4.想いを込めたパネル

さて、この日の試合は「ピースナイター」という意味合いもありました。

来場者全員に緑色の「平和祈念パネル」が配布されていたのですが、それを選手入場時に全員で掲げる、ということでした。

パネルといっても、材質は紙みたいですが。

私は、場内にそのアナウンスが響き渡るまで、そのことを知りませんでした。

でも、そういうことならもちろん参加しますよ、ということで、余分にひと折りしたパネルをカバンから取り出したのでした。

見れば、名古屋のファンサポも、みんなパネルを掲げてくれていました。これは「感謝!」のひと言に尽きますね。

ただ、パネルを下ろすタイミングが分からず、入場後もずっと掲げていた人が多数いました。

お陰で、直後に行われた「千葉直樹、J1通算300試合出場」の記念セレモニーで、拍手できない人、多数、という悲喜劇が起こりましたとさ。(なんか千葉ちゃんらしいなあ 笑。)

5.2度目の黙祷

セレモニーが終わって、キックオフ直前。

そのまま試合開始かと思ったところ、改めて、30秒間の黙祷が行われました。

今日、2回目の黙祷だったのですが、時間は短かったのに、何だかジーンとしてしまい、ちょっと込み上げそうになりました。

幼少の頃から思っていることですが、通常の「1分間の黙祷」というのは、私にはいささか長すぎるみたいなのです。

半分を過ぎた辺りで必ず、純粋な祈念とは違う考えが、脳裏に浮かんできてしまうんですね。

その意味で、「30秒間の黙祷」は、私にはプラスに作用しました。

変な邪念が浮かぶ前に終わってくれるので、時間のすべてを祈念のためだけに使えたのです。

少し感極まりかけたのは、その辺に理由があったかもしれません。

6.夢のような現実

ようやく、試合の話に入ります(笑)。

といっても、今回は、試合の話はアッサリ風味でいくつもりですが。

さて、それはもう、あっという間の出来事でした。

青ちゃんの縦パスが一閃し、ウタさんがゴールに流し込む。

何だか夢うつつのようでしたが、これが前半2分に起こった、現実の得点シーンのすべてでした。

あとで映像を見て、「これは決して簡単なプレーではないぞ、ウタさん、凄いぞ!」と再興奮してしまったのですが、正直、スタジアムでは、そこまで細かくは分かりませんでした。反対サイドでのプレーだったし。

でも、現場では、そんな細かいことはどうでも良かったですね。

とにかく、先制点が嬉しかったこと、そして、「名古屋のゲームプランが早くも崩れたか?」と思ったことを覚えています。

7.ガチな名古屋

スポナビのシステムが直り切らなかったらしく、再び「J1展望」が落ちてしまった広島の試合。

大方の予想は「名古屋は、横浜FM戦と同様、守備重視でくるだろう」というものだったと思います。

私ももちろん、そう思いました。

広島が先制したときに、名古屋のゲームプランを思ったのも、そのためです。

しかし、この日の名古屋は、ちょっと違いました。

とにかく、前線の3人が、広島の守備ラインにプレッシャーを掛けてきていました。

名古屋がここまでポジティブにボールを奪いに来るとは、非常に意外でした。

8.目を瞠った集中力

但し、広島の選手たちは、そのプレッシャーの上を行っていました。

この日の、広島DF陣の集中力は素晴らしかったと思います。

名古屋の選手がプレスに来ても、つなぎのミスが全くない、完璧ないなしを見せ、逆に、空いた名古屋の中盤にチャンスボールを配球していきました。

また、名古屋が、青ちゃんやウタさんを自由にさせてくれたことも、広島にとっては助かっていました。

名古屋側から見た「取り所」がどこなのか、ハッキリしなかったこともあり、序盤は広島のペースだったと思います。

9.不正確な2点目

といっても、名古屋はスピードがあるので、ボールを持たせてしまうと、何だかんだで怖かったですね。

相手がスペースを見つけて上手く使ってきていたので、もっと球際感のある戦いに持って行ってほしいな、などと、私は考えていました。

が、幸いなことに、広島に2点目が記録されます。

CKから、決めたのは宮吉、ということだったのですが、私の位置からは、楢崎がゴール内にパンチングしてしまったように見えたので、「後で(記録が)変わりそう」と思いました。

10.広島名物

前半はこのまま2-0で終了するのですが、途中の宮吉負傷は、状況が分からなかっただけに、やはり心配だったですね。

前半の場面で面白かったのは、味方の速いリスタートにウタさんが遅れて気付いたところですね。

そして、青ちゃんのミドルには「これこれこれこれ!(笑)」

やっぱ、1試合に1回はこれがないとね。

11.失われた後半(苦笑)

ハーフタイム中、他会場のJ1とカープの試合が気になって、携帯を見ようとしたら、何と、充電がピンチなことになっとる!

このままじゃ帰る前にバッテリー切れるやん、と危惧した私は、後半のメモを諦めました。

(こんな時に限って、筆記用具をカバンから出して来てしまったのです。)

試合から数日が経ち、記憶が薄れ、書こうと思っていたことが2つぐらい思い出せない… 残念でした。

ともあれ、試合は、追加点こそ奪えなかったものの、失点もゼロに抑えた広島が、2-0で制しました。

特に、後半の後半は、名古屋の疲労もあって、全く危なげがありませんでした。

まあ、中には、卓人の周辺でヒヤリとした人もおられたかもしれませんが、私は、卓人の足技を信頼して観てましたので、心配はしませんでした。

名古屋のプレスに連動性がなかったし、パスの受け手がしっかりコースに顔を出してくれていましたからね。

12.後半、そして試合終了後のトピックス

・Aロペについて。(「A・ロペス」と表記する、としていましたが、読むリズムを考えて「Aロペ」に改めます。)

デビュー戦では独りよがり感のあったAロペでしたが、この試合では、何でもかんでもパスしようとしとりましたね(笑)。

でも、G大阪戦よりも格段にようなっとる、と感じました。

守備面とか、ミカとのコンビネーションとか、課題はあるようですが、宮吉が欠けることになったので、成長の度合いを上げていって、なるべく早く、信頼できる選手になってほしいところです。

・ウタさん、インタビューで「青さん」っていうてました。

・この試合のMOMに選ばれた千葉ちゃん。渡されたでっかいプレートを持って、カメラぐるぐるの現場へ向かったのでした。

13.帰路につく

予定通り、横川駅行きのシャトルバスに続く列に並ぶ私。

その列の私の前、間に2人おいたところに、名古屋のレプリカを着た何人かの一団が並んでおりました。

これぞ、呉越同舟

で、彼らの会話を聞こうという気は特に無かったのですが、ちょっとだけ聞こえてきた中にこんなのがありましてね(正確ではないですが)。

A:「(湘南が1-4で負けたので)負けたけど得失点差が広がったから良かったんじゃない?」

B:「(半ば呆れたように)お前、ポジティブだなあ…」

自嘲混じりだったのかもしれませんがね。でも、可能性があるうちは、諦めない方がいいのです。

さあ、最後に笑顔で終われるのは、どのチームのファンサポなんでしょうかねえ。

(降格争いに限った話はしてないよ。)

そうそう、JRで見かけたおじさんの話がありました。

その人は、いつもはサンフレッチェの試合を観に行くらしいのですが、この日は義理で(笑)カープを観に行ったとか。

おじさん、2-0で勝ったことを聞いて安堵しながら、観客が1万2千人台だったことを聞いて「カープは3万入っとるのにのう」と嘆いていましたね。

新スタジアムを早く、というのが、おじさんの願いのようでした。

14.あとがき

今回は、現地参戦したということで、「レビュー」ではなく「観戦記」として書きました。

観戦当日は元気全開だったのですが、日曜の午後辺りからバテ度が高くなり、週明けにかけては完全に夏バテ全開になってしまう始末。

いい時に「山の日」が来てくれたなあ、というところで、ようやく記事を書くことができました。

さて、これで、サンフレッチェは勝ち点40の大台に乗せました。

開幕前の第1目標の達成です。これは素直に祝いたい。

で、次の目標は…

まずは年間3位に一歩でも近づくことでしょうかね。

可能性があるうちは、諦めない方がいいのです。

残り10試合、何が起こるか分かりませんよ!

ということで、今回はこれまで。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。