平成28年春場所千秋楽を終えて
平成28年春場所は、横綱白鵬の、4場所ぶり36回目の優勝で幕を閉じました。
最後の一番が物議を醸していますが、それはそれ。
15日間を通して見れば、初日敗れただけの14勝という成績といい、ここ一番に見せる集中力といい、一日の長がありましたね。
今回は、前回の中日に続き、千秋楽を終えた今の雑感を書いていきます。
ちょっと思うところもあるので、今回は少し短めにまとめてみたいと思います。
◆ 上位陣総括
まず、今場所の横綱・大関陣の、相互の対戦成績をまとめてみたところ、次のようになりました。
日馬富士 2-3(0-2)
白鵬 6-0(2-0)
鶴竜 2-4(1-1)
琴奨菊 0-6(0-3)
稀勢の里 4-2(1-2)
豪栄道 4-2(2-1)
照ノ富士 2-3(1-1)
※括弧内は対横綱戦の成績
こうして見ると、今場所は、上位陣相手の戦績がそのまま15日間の成績に反映されていることが、よく分かります。
その結果、関脇以下には1つ負けただけなのに、8勝止まりに終わったのです。
逆に、初場所の琴奨菊は5-0。上位陣には1つも負けていませんでした。(休場で対戦が無かった照ノ富士を除く。)
琴奨菊については、(平日分を観ていないので)内容面の分析はできませんが、中日の時点で懸念していたことが現実になってしまった形でした。
これには、場所前のフィーバーの影響も、少なからずあったでしょう。
北の富士さんが、初日に「土俵上での稽古が少ない(ので心配だ)」という趣旨の話をしておられたそうですが、その辺が後半の息切れにつながったといっても、ウソにはならないと思います。
一方、彼の代わりに、と言ってはナンですが、稀勢の里、豪栄道の2人の大関が気を吐きました。
惜しくも優勝は成りませんでしたが、千秋楽まで優勝の興味を残したのは、彼らの功績ですね。
特に豪栄道は、地元場所ということでなのか、いい意味で開き直ることができたのだろう、と想像します。
大関の地位を意識しすぎていた先場所までとは違い、自分の特長を出すことに専念していたのかな、と。
元々、気持ちの強さを持っている力士だと思うので、これをいいきっかけに、さらに吹っ切れた、キップのいい相撲を見せてほしいですね。
◆ 下位力士総括
場所前に期待した両関脇を含め、今場所は三役陣が全滅という結果になりました。
個人的には、かなり残念です。
ここでは、何といっても琴勇輝ですよね。
連続勝ち越しを6場所に伸ばしたのみならず、後半戦を無敗で乗り切ってしまうとは。当然、殊勲賞獲得も文句無し。
秋頃にあるいは?!と思わせるような、成長を示しましたね。
私も含めた衆目の想像を、はるかに上回る大活躍でした。
他では、勢や妙義龍、逸ノ城といった実力者が2ケタ勝利を挙げました。
そうそう、魁聖も11勝。派手さは無いし、あまり注目されませんが、彼もまた力をつけてきた勢力の一人と言えますね。
◆ 三賞選考について(不満有り!)
今場所の三賞は、先に述べた通り、琴勇輝が初の殊勲賞を獲得しましたが、他に該当者なし、という結果になりました。
条件付きの勢が琴勇輝に敗れたためこうなったのですが、しかし。
幕尻の方で2ケタ勝利を挙げた御嶽海や大栄翔が、候補にも挙げられなかったことに、私は異議を唱えたい。
特に大栄翔は、9日目まで2敗で頑張り、幕内前半の取組を盛り上げただけに、せめて、今日勝てば(2ケタなのだし)敢闘賞、ぐらいの評価はしてほしかったと思います。
そもそも、ここ数年、三賞の受賞者が少ないと感じているのですが、それは私だけでしょうか?
昨今の相撲ブームで観客の入りも良く、相撲協会の収益も上がっていると思われます。
「三賞の該当者なし」を頻発させるよりも、三賞に値すると評価できる力士がいるのだから、もっと積極的に授与して、賞金で還元させてほしいのです。
土俵で頑張れば評価してもらえる、となれば当然、力士たちの励みにもなりますし、それが本来の姿とも言えましょう。
無理に大盤振る舞いせよ、などと言う気はありませんが、選考に当たっては、美点を凝視し、ボーダー上ならば授与する方向で検討する、ぐらいのことはしてもいいと思います。
ちなみに、三賞は「日本相撲協会の審判委員と記者らの投票で決定」されるそうです(ウィキペディアより)。
◆ 最後に
何だかんだ言っても、力士たちが自分の特長を生かすべく精進し、本場所で披露する、そういう真剣勝負が多ければ多いほど、場所は盛り上がります。
そして、優勝争いも千秋楽まで、なるべく大激戦の状態で継続する方が、楽しみが多くて良いと思います。
注文相撲も勝負の内、否定するつもりはありませんが、できるならば来場所は、技量を尽くした取組を沢山見せてほしいものです。
「敢闘精神あふれる力士」を選ぶのに候補が多くて四苦八苦するほどにね。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。