宇品に電車で行ってみた

0.まえがき

25年前の今日、3月26日は、私が就職のために上京し、広島を離れた日だった。

その時は、手伝いにくるという母を連れて、新幹線のホームに立ったのだが、今日は1人で、路面電車乗り場の前にいる。

これから電車で、広島港のある宇品まで行って来ようというのである。

1.スタジアム問題について簡単に

このブログは旅日記ではないので、私が「宇品に行ってみよう」と思い立ったきっかけでもある、広島のスタジアム問題について、少し書いておきます。

私は、実は元々、跡地案ではなく、中央公園案(城南通り北側のエリア)を推していました。

路面電車からも、アストラムラインからも、JRからも、どこからも適度な距離が保たれている、という立地の良さが理由でした。

(長方形の縦横の関係、近隣住民の反対、等により候補外になってしまったのは、少し残念でしたが。)

そのため、現在の2案に絞り込まれた状況において、私はやはり、立地面から、「市民球場跡地に建設してほしい」と思っています。

但し、何が何でも跡地に、と考えている訳でもありません。

広島みなと公園、という選択肢に、真に理があるのなら、それもまた有りではないか、と思うのです。

要は、納得性があるかどうか。

それを踏まえた上で「宇品」という結論が出るのなら、それが納得できるものなら、私は「是」とするでしょう。

(土壌が云々という話が立証されれば、それでも「宇品」ということにはならないでしょうけどね。)

※参考までに、地図を張っておきます。

原爆ドームの印の上、黄色い線の上にある緑の部分が「市民球場跡地」。

地図の下部、広島高速3号線と書いてある下の緑の部分が「広島みなと公園」です。

宇品周辺の拡大図はこちら。

2.5号線の電車に乗ってみた

13時の広島駅前。

今日は、プロ野球の広島-横浜戦が14時から行われる関係で、駅前の人だかりが、いつもに増して多かった。

そんな中、広島電鉄(以下、広電)の路面電車を待つ私。

広島駅前から宇品こと広島港に向かう系統は、実は2種類あります。

路線図の右上、広島駅のところに番号が4つ並んでいますが、右の2つ、1番と5番がそれにあたります。

これから乗ろうとする路線は、緑色のラインがひときわ目立つ、5番の系統。

以後、便宜上「宇品線」と書くことにしますが、これが、広電の路面電車における、広島駅から広島港へ向かう最短のルート、となる訳です。

案内板によれば、所用時間は約32分とのこと。

17番目の駅が終点、広島港。

13時6分、定刻通りに、宇品線の電車が広島駅前を出発した、のですが、早速、信号待ちに。

路面電車最大の天敵が、この信号待ち。

車と共存していかなければならないのは宿命で、止むを得ないところではありますが、利用者泣かせではありますね。

それに、信号が変わるタイミングとか、他路線との兼ね合いとかによって、例えば、仕事に間に合うか遅刻するか、の明暗が分かれたりして、結構、悲喜こもごもがあったりします。

信号が変わり、程なくして猿猴橋町に到着。乗客を1人乗せたところで、再び信号が変わり、待ち状態に。

これも、路面電車あるある。

結局、最初の分岐点である的場町を通過するまで、約8分間を所要してしまいました。

時刻表によれば、本来は約4分でカバーするべきところ。

よくある話ではあるのですが、先が思いやられました。

…こんな調子でこまごま書いていたら、いつ記事が終わるか分かりませんので(笑)、あとはポイントを絞って書いていきましょう。

3.交差点について

道中、東西を結ぶ動脈的な道路と、3回交差します。

1つ目は、平和大通りから延びて、比治山トンネルへと通じる道路。

2つめは、国道2号線。

3つめは、紙屋町方面から延び、市役所や広電本社の前を通り、皆実町を通過する道路。

信号を操作して宇品線をノンストップで走らせる、という案があることを意識して、注意して見ていたのですが、信号待ちの車はさほど多くありませんでした。

これなら、例えば1分置きに信号が変えられても、道路側にはあまり影響しないかもしれませんね。

少なくとも、行きに関しては。

デイマッチが終わる夕方の時間帯ならどうなのか、は分かりませんが、もっと深刻な影響があるのかと想像していたので、少々意外でした。

4.狭い道路、広い道路

さて、皆実町六丁目を過ぎるといきなり道路の幅が狭くなるのが、宇品線の特徴。

道路が狭くなる、というより、左右の建物が両側から迫ってきているように見える、というべきかもしれませんが。

次の写真は、宇品三丁目辺りで撮ったものですが、見ての通りです。

(実は、帰りに撮りました(苦笑)。)

尤も、広島駅方面から車で来る場合、この道を通る必要は皆無なのですがね。

この道幅は、海岸通電停まで続きますが、それを過ぎて右折すると、景色が変わります。

私は、驚きました。見ての通り、広い!

って、この写真じゃ伝わらないかな(笑)。

(これも帰りに撮影。)

5.広島港に到着

そんなこんなで、13時41分、時刻表の予定より1分遅れたのみで、広島港に到着、と思ったら、ホームが一杯で、少し待たされました。

結局、到着時刻は13時44分でした。

そして、他の乗客が全員降りるのを待って、車内を撮影してみました。

乗車中にざっと数えてみたところ、座席に座れるのは40人程度でした。

これに立ち客を加えると、この車両に乗れるのは、せいぜい70人がいいところですかね。

但し、広島港に至るもう1つの系統である、紙屋町を経由する1号線では、宇品線の車両の3両分に相当する長さの電車が運行されています。

その車両ならば、1度に200人ぐらいは運べそうです。

※今回は書きませんが、私は、宇品線のピストン輸送には無理がある、と考えています。

理論的には回せそうな気もするのですが実は…

6.広島みなと公園

私は、学生時代に似島まで渡ったことがありますが、それ以来、広島港を訪れることはありませんでした。

もう25年以上前の話なので、宇品の景色は全く覚えていません。

みなと公園がいつできたのか知らないのですが(HPにも書いていなかったので)、いずれにしても、初めて見る風景でした。

※案内図

話には聞いていたのですが、実際に見ると、やっぱり広いですね。

エントランス広場。写っていないが、右側にカキを食わせる店があります。

公園の本体(かな?)。全部が写っているのではないと思いますが。

少年サッカー場が2面取ってあり、少年たちが試合中。練習試合か?試合形式の練習か?

センター広場。ピンボケ(笑)。

7.感想

こうして、宇品線に乗ってみて、広島みなと公園を訪れてみて、想像していた通りの部分と、少しイメージと違っていた部分とが、それぞれありました。

色々と分かったことがあって、なかなか楽しめました。

ただひとつ、ネガティブなことを言えば、現状、みなと公園は何もないところでした。

ここにスタジアムが立ち、商業施設が立ち並び、というイメージは、正直、付きませんでした。

一応「跡地派」に属する私の感想なので、少し割り引いてもらっても構いませんが、

広島みなと公園に建設した場合の「収益的なリスク」は結構大きいのではないかな、というのが、今日の実感です。

8.あとがき

サッカー場でボールを追いかける少年たちや、センター広場で興じる家族連れ、赤ヘル坊やのマスコットバットを振るチビちゃんの姿、などを見ていたら、「この場所はこのままにして残しておきたいな」と思ってしまいました。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。