新天地の彼らにエールを ~プレシーズン終了に寄せて~
今日は、2016年2月20日。
Jリーグ開幕を告げるゼロックス杯が開催される日です。
まもなく、サンフレッチェ(とガンバ)のプレシーズンが終了します。
私も、「試合レビュー中心のブログ」を預かるものとして(笑)、今日の試合のレビューで本格始動することになります。
ただ、この約2ヵ月間を振り返って、私はまだ、自分が立てたフラグを回収していないことに気付きました。
昨シーズンのサンフレッチェを支えた、2人の大物。
その去就を気に掛けていたのに、彼らの新天地が決まった今も、まだ当ブログでは触れていなかったんです。
残念ながらチームを去ることになってしまった選手たちに、広島の今シーズンが始まる前に、挨拶しなければなりません。
本来は、彼ら全員について触れるべきところですが、ここでは、特に重要な存在だった2人の選手について語ることにします。
今年の1月12日、2つのニュースがプレスリリースされました。
ピーター・ウタカのレンタル加入には正直、驚かされましたが、同時にもたらされた、ドウグラスのレンタル期間終了の報には、多くのファン・サポーターと共に、私も悲しまされました。
昨シーズン、リーグ戦でチーム最多の21得点を挙げたことや、海外クラブ相手にもひるまない身体の強さによって、サンフレッチェに多大な貢献をしてくれたドウくんでした。
当然、クラブも、今シーズンの貴重な戦力として考え、完全移籍を目標に、レンタル元との交渉に臨んでいました。
しかし、フロントが手を尽くしたものの、諸々、合意に至ることにはなりませんでした。
ドウくん自身は、引き続き広島でプレーしたいという意向を持っていたそうです。
そのことを踏まえると、もし、徳島ヴォルティスとサシで交渉できていたら、あるいは今シーズンも、広島でプレーするドウくんを観ることができたかもしれません。
でも、ドウくんでも、広島でも、そして徳島でも、どうにもできない他の要因があって、その夢は叶いませんでした。
3億円とも言われる移籍金がネックになっていたと思われる、今回の交渉。
「J1制覇やCWCの賞金で獲ればいい」という声も多く聞こえましたが、(賞金配分など)サンフレッチェ特有の事情があり、それらの全額を移籍交渉に回すことはできませんでした。
また、元々、1人の選手に頼らない戦略で運営されてきたサンフレッチェにとって、ドウくん1人だけに資金を投入する訳にもいきませんでした。経営基盤としてはJ1の中位、決して潤沢な資金を持たない広島。ドウくんを手放すこと、諦めることは、フロントにとって断腸の思いだったことでしょう。
ドウくんはクラブを通じて、我々ファン・サポーターに、感謝の言葉を伝えてくれました。
そして最後に、次の言葉を残していきました。
「2016年、サンフレッチェには新たなファンが増えました。それは私と私の家族です。」
この言葉に感涙した人は多かったのではないでしょうか。
もちろん、私も。
最終的に、ドウくんはUAEの強豪、アル・アインに完全移籍しました。
実は、某所で「入団会見の時に苦虫をつぶしたような表情だった」と指摘されていたのを読みまして、気にかかっていました。
しかし、のちにその画像(映像)を見たとき、私はそういう印象は持ちませんでした。
寡黙な中にも、新しいチームで戦っていく、その意気込みが十分に伝わってきたので、私は安心したのでした。
前のクラブに思いを残しながらも、ひとたびチームを移れば、そのチームのために尽力する。
二枚舌だと嗤われようと、それはプロスポーツ選手としては当然のことです。
結果を残してこそ、そのチームで受け入れてもらえるのですから。
そして彼は、それを成し遂げました。
アル・アインに加入して最初の試合、彼は早速、初得点を記録したのです!
そういえば、サンフレッチェでの初得点も、リーグ初戦の甲府戦でした。
あのヘディングシュートで、一気にサンフレッチェファン・サポーターの心をつかんでしまったのですが、同じことが、アル・アインのファン達の中にも起こったのではないでしょうか。
最初のプレーで彼に魅せられた私です。その真摯な人柄といい、愛すべき、忘れられない選手でした。
どんなチームでプレーしても、彼なら必ず、ファンから愛される選手になれるでしょう。
いつか、敵としてサンフレッチェと戦うことになっても、試合中は別としても、きっと広島ファンは、大きな歓声で迎えるでしょう。感謝の意を込めて。
その日が来るのが、今からもうすでに楽しみでもあります。
2.山岸、トリニータへ
ドウくん契約満了のニュースから3日後、1月15日になって、山岸智選手の大分トリニータへの完全移籍が、プレスリリースで発表されました。
CS終了の翌日に、2016シーズンの契約を更新しない旨がリリースされて後、1ヵ月以上の期間を経て発表された、待ちわびた報告でした。
現役続行を希望していたギシさんのために、クラブは、できるだけ早いタイミングで退団を発表しました(と私は思っています)。
彼自身「カテゴリーは問わない」としていましたし、スンナリと事が決着する、と私は考えていたのですが、吉報を得られないまま年が明けてしまったのは、予想外でした。
でも、新天地が「大分トリニータ」になったと知った時、私は、これが最も正しい答えなんだろうな、と感じました。
まるで、名探偵からトリックの種明かしを聞かされたかのような、そんな感じでした。
トリニータとサンフレッチェとの関わりは古く、広島に所属したことのある選手が、(直行でないものも含めて)何人も大分に移籍して、活躍してきました。
すぐに思い出すだけでも、前川、山根、前田俊、石川、と名前が上がりますし、他にも、金本や池端、伊藤哲也なども在籍していました。
そもそも、丸谷も大分にレンタルされていましたからね。
こうした両チームの関係性を考えると、ギシさんが大分に移るということも、至極当然の、自然のことのような気にすらなってしまいます。
そして、大分の片野坂新監督が現役時代「サイドプレイヤー」として名を馳せたことも、ギシさんにとっては大きかったのではないでしょうか。
知っての通り、片野坂さんも、広島でステージ優勝をレギュラーとして経験した歴史的な選手でした。
そして、柏レイソルを間に挟んでいますが、その後、大分に移籍しました。後にガンバ等でもプレーしましたが、引退時の所属は大分でした。
また、引退後はスカウト(!)やコーチとして大分で活躍したそうで、この度の監督就任で、2006年以来の大分復帰になるということです。
そんなカタさんは、私のイメージでは、攻撃面でより特長を発揮する選手でした。
ステージ優勝のシーズンは、左サイドバックのポジションを路木龍次と併用されていましたが、路木と比較すると、守備力では路木がやや優勢でしたが、攻撃力では片野坂の方が上回っていたと思います。
また、これも私のイメージですが、片野坂=3バックのアウトサイド、という印象が強いです。
この辺は記憶違いかもしれないのですが、そういうイメージがあります。
すると、それはまさしく、ギシさんのプレースタイル・特長と合致していますよね。
そう考えると、今のギシさんにとって、今の大分トリニータというチームは、移籍先としては最適な場所、と言っていいのではないでしょうか。
カタさんも、3年前までは広島のコーチだったので、ギシさんのプレースタイルも、取り組む姿も、すべて熟知しているのですからね。
元日本代表でもあるギシさんが「J3」というカテゴリーを選んだことについて、「落ちぶれたな」などと陰口を叩かれたりもしているようですが、彼の生き様を少しでも感じ取ってきた我々(ファン・サポーター)にとっては、そんなことは何とも思っていません。
ギシさん自身も当然、そんな陰口など意に介していないはずです。
どんなカテゴリーであっても、好きなサッカーでプロ選手として過ごすことができるのであれば、それは絶対に幸せなことなのです。
ゴン然り。キング・カズ然り。ギシさんもまた、幸せな選手の一人に相違ありません。
今シーズン、ギシさんは、慣れ親しんだ「16番」を背負い、大分トリニータの「キャプテン」として、J2昇格を目指します。
大分の「レジェンド」とも言える副キャプテン、高松大樹らとともに、チームを引っ張る存在として、これまでのキャリアを生かしながら戦います。
かねてから何度も書いているように、どのクラブに行っても、彼は必ず、そのチームの力になることでしょう。
大分でその能力を発揮して、いいシーズンを過ごせるように、広島の地から祈ります。
3.そして開幕へ
ゼロックス杯キックオフまで、もう15分を切っています。
スタメンもすでに発表されています。
詳細はレビューの中で触れることになりますが、広島の新戦力でベンチ入りは1人だけ。スタメンへの抜擢はありませんでした。
ただ、シーズンは長く、険しい道のりです。
今はまだ試合に出られなくても、必ず、彼らの力が必要になる日が来ます。
それまでは、練習の中で自分をアピールし続けることしかありません。
ファンやサポーターはみんな、すべての選手に期待しています。頑張って競い合ってほしいと思います。
何といっても、今年は60試合ぐらいしてもらわないといけませんからね(微笑)。
なお、トリニータの情報については、ウィキペディアを参照しました。
それでは、メモの用意をしたいと思います(笑)。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。