【天皇杯】3人のキーマンを評してみた ~FC東京-広島戦より~

前回の記事には載せませんでしたが、録画中継の感想の後、最後の話題として、実は3人のキーマンについて書いておくつもりでした。

予想外に長めになってしまったので、そのまま載せるのは止めて、改めて記事に仕立てることにしたのですが、今回がそのネタになります。

では早速、本題にまいりましょう。

太田宏介の「守備力」

結果的に、海外移籍前の最後の試合になってしまった、FC東京、太田宏介

彼を評価するとき、左足のクロスを中心に、攻撃的な面を強調される場合が多い印象があります。

しかし、この試合では、彼が左サイドバックとしての「守備力」を十分に兼ね備えていることが、よく分かりました。

広島の強力な右サイド、カシッチやミカとマッチアップした太田は、1対1の場面で負けることがありませんでした。

また、「クロスを上げさせることがあっても、最も危険なコースはちゃんと切っている」と、解説の宮澤ミシェルさんも高評価していました。

申し訳ないことながら、私は、彼がここまで守備ができる選手だとは思っていませんでした。

この守備力にプラスして、攻撃的センスに秀でている。Jリーグでは間違いなく、トップレベルのサイドバックでしたね。

Jでトップを張れない選手が海外に行って通用するのは難しいでしょうが、太田ならそんなことにはならないと思いました。

この度の海外挑戦で、その能力に磨きをかけて、大きく羽ばたいてほしいですね。

◆ 浅野琢磨の「吸収力」

CWCの経験がきっかけになったか、最近のジャガーは、ヘディングによる得点を量産していますね。

本人は「足で決めていない」などと愚痴っているようですが、それはそれ。

得点パターンが増えることは、彼にとってプラスに働くはずで、非常にいい傾向だと思います。

この1年、浅野の成長度の高さには、目を瞠るものがあります。

いま彼は、周囲からのいい影響をすべて吸収しているように見えます。

特に、尊敬し目標にしている、佐藤寿人の存在は、大きく影響していると思います。

おそらくですが、寿人の試合中の動きを、ジャガーは研究しているのでしょう。

ヘディングでのゴールが増えたのも、寿人のポジショニングの取り方を参考にしているからだと思われます。

来年はオリンピックの最終予選(と本戦)が控えていますし、後輩も入団してきます。

ジャガーは、そのような刺激からも新しいものを吸収して、どんどん進化してくれると思います。

そしていつか、世界中にその名を轟かせるような、オールマイティーな選手になってほしいですね。

千葉和彦の「フェアな守備」

あれは確か、ネイサン・バーンズだったでしょうか。

ゴール前に迫る彼の背後から、スライディングで止めに入る千葉ちゃん。

エリア内で足がかかったようにも見えましたが、審判の判定は「セーフ」。事なきを得ました。

この場面を観たとき、すぐに思い出したのは、CWCのマゼンベ戦でした。

あの時も、千葉ちゃんの「PKと隣り合わせ」のプレーがありましたね。

アンチが居たらすぐに槍玉に挙がりそうな、そんな千葉ちゃんのプレーに思えます。

しかし、私が思うに、千葉ちゃんがああいう場面でファールを取られないのは、彼が「ディフェンダー」として高度な技術を持っているからではないでしょうか。

いや、決して「相手の足を削りながらも足に行っていないように見せる技術」のことではありません。

そんな「インサイドワーク」を使わなくても、彼は、フェアな技術だけでボールにチャレンジすることができるのです。

千葉ちゃんが相手の背後から守備をするとき、決して相手の真後ろから入ることはしません。

必ず、角度を付けて横から入ろうとするか、走るコースを少しずらしてパラレルに入っていこうとします。

スライディングも、相手の足ではなく、必ずボールを狙って滑ります。

もちろん、いくらフェアにプレーしていても、相手の足を削ってしまうことはありますし、PKを与えてしまうこともあるでしょう。

それでも、極力そうならないように、千葉ちゃんはプレーしているはずです。

劇場などではホイホイしている感じの千葉ちゃんですが、プレースタイルはすごくクレバーですし、読みもいい選手です。

おそらく玄人好み過ぎて、ベストイレブンみたいなのには選ばれづらい立ち位置なのでしょう。

でも、千葉ちゃんの良さを分かっている人は、きっと私以外にも沢山いらっしゃると思います。

これからも「替えの利かない選手」の1人として、広島のディフェンスを牽引し続けてほしいですね。

天皇杯準決勝の第1試合が始まる時間になりました。

今回はここまでです。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。