勝負を分けたのは「落ち着き」だった ~CS決勝第1戦雑感~

1.試合を観られなかった時間

仕事が終わったとき、試合はもう終わっていました。

前半が0-0だったことは確認していましたが、仕事に集中しなくてはならない身の上、もちろん、結果は確かめようがありません。

建物を出て、さっそく確認。「3-2」というスコアで広島が勝ったことに、少し驚きました。

そして思いました。「観たかったなあ…」と。

雨の中、駅へと向かいます。発車の時刻も迫っていたので、ニュースは列車の中で読もうと決めて、小走りで急ぎました。

急ぎつつも、気になるのは試合の内容です。それも、3点取ったことよりも、2点取られたことが気になりました。

どのような得点経過で、どのような形で点になったのか、知りたい気持ちが高まっていました。

駅に着き、雨粒を拭く暇もなく列車の中へ。座席をキープして、スポナビのサイトを開きました。

それにしても、記事の量が半端じゃなかったですね。コメントも多かったですが、その大部分が興奮冷めやらぬ、という感じでした。

ますます、生放送で観られなかったことが悔やまれてきます。

家に着きましたが、落ち着きません。

とりあえず空腹を何とかしたかったので、まずは夕食を。

で、私は、よくユーチューブ等の動画を見ながら食事をするのですが、この日は、試合のハイライトでも観ながら食おうか、と考えたのです。

でも、スカパー・ダイジェストとか観ても食い足りないよなあ…

そんなことを考えながらググってみたところ、何と、TBSで放送された番組がアップされているではありませんか!

もう迷うこともない。結果が分かっている試合を観ることなど滅多にないのですが、早速、再生を開始したのでした。

(こんなこと書いてええんかなあ(笑)。まあええか。)

2.奥深き時間

夜も遅いので、試合前の展望とか国歌斉唱とか、そういうのはオミットして、キックオフの場面から見始めました。

しばらく観ていると、実況の「もう40分、早いですねえ」的コメントが耳に入ってきました。

食事をしながらだったとはいえ、時の経つのが速かったですねえ。

前半は比較的動きが少なかった、という声が多かったのですが、観ていると、そこにはお互いの駆け引きが丁々発止と繰り広げられていたように思います。

「せっかくの全国ネット、派手にやったら良かったのに」というコメントを見ましたが、まあ、のっけからそんなにムキになる必要もないですしね。

そこはバランス感覚に長けた両チーム、悪くない前半だったと思います。

3.広島が落ち着きを失った時間

ハーフタイムを全部スルーして、後半戦を見始めました。なお、もう食事は終わっていました。

いつもより少し早いいつものアレのあと、試合が動いた瞬間がやってきました。

ミスでの失点、というのは(列車内で)知っていたのですが、まさか、そんなことが?!と、目を疑うようなプレーだったんですね。

その少し前のカズのイエローから、失点につながった連係ミス、塩ちゃんのイエローに至るまでの数分間は、この試合最大のピンチだったのではないでしょうか。

ただ、良かったことに、その後の広島は落ち着きを取り戻して、いつものサンフレッチェらしい試合運びを見せてくれました。

1点取られても慌てることなく、リスクヘッジしながら機会を窺っていましたね。

そして、ドウくんの同点ゴールが生まれるのですが、映像を見ると、その起点となった塩ちゃんのフィードがまずは良かった。

また、当然のように追い付くジャガーの走力と、こぼれ球を蹴り込んだカシッチの思い切り、ドウくんの身体能力と、どれを取っても個性的で、特長を発揮したプレーばかりでした。

特に感心したのは、ドウくんがステップバックして、ちゃんとフリーの位置に身を置いていたこと。

反応の良さを褒めたたえる声が多かったのは納得ですが、クレバーな面も見せてくれたこと、評価甲でした。

試合が振り出しに戻り、「さあ、これからだ!」と思った矢先に、G大阪の勝ち越しゴールが生まれるのですが、これはもう、今野を褒めるしかありません。

勝負強いG大阪にあって、実は最も勝負強いのがこの今野ではないかと、私は思います。

このまま試合が終わらない、ということが分かって観ていた訳ですが、それでも、このゴールの価値は色褪せるものではないでしょう。

4.ガンバが落ち着きを失った時間

もし私が、リアルタイムでこの試合を観ていたら、ガンバが2-1とした時点で、何を思ったでしょうか。

苦しさを感じたでしょうか。はたまた、まだ諦めない気持ちでいられたでしょうか。

少なくとも今言えるのは、オ・ジェソク退場の後、G大阪の心理状態が変化してしまった、ということです。

準決勝の浦和戦から、後半40分の時間帯まで、G大阪らしい落ち着き、試合の勘所を読み抜く冷静さが見られたのに、最後の10分間は、何かに追われているような切迫感がありました。

同点、そして逆転となる、広島の2得点は、リーグ終盤戦から度々見られたような、神がかり的、劇的なものとなりました。

ただ、間違えてはいけないと思うのは、これらの得点は、決して偶然の産物ではなく、それぞれの場面で最善を尽くしたからこそ生まれたものだということです。

特に3点目は正に、カシッチがそこにポジションを置いたから取れた得点でした。

サイドハーフでありながら、ペナルティエリアの角に位置取りができて、ゴールへの貪欲さも失わない。

川崎戦のギシさんもそうでしたが、広島のひとつの強みがそこにあると言えます。

退場劇が無ければ、この逆転は生まれなかったかもしれません。

でも、広島の選手たちの持つ、試合のポイントを逃さない集中力を思うと、相手が11人であっても、逆転までたどり着けたかもしれません。

それはもう神の領域で、私には分かりません。

ひとつ言えるとすれば、この試合に限っては、冷静さを取り戻した広島と、冷静さを欠いてしまったG大阪、その差が最後に表れてしまった、ということだけです。

5.気を引き締める時間

色々あった試合でしたが、ホームのG大阪が2-3、という結果となりました。

勝利、スコア、日程、といった要素を踏まえると、広島優位の線は動かない、とは言えると思います。

ただ、CSは2試合トータルの成績で争う戦いです。

勝利数で並べば、得失点差の勝負となります。アウェーゴールは、その次の比較ステップに過ぎないのです。

よって、G大阪は、2点差以上の勝利を挙げることで、年間1位になることができます。

だから、まだ諦めていい時間ではありません。次の試合で、ガンバが本来の勝負強さを発揮する可能性は大いにあるでしょう。

逆に広島は、気を抜ける段階ではありません。

昨年のACL、シドニーで行く手を阻まれたあの試合も、2対0でした。

同じことが再び起こらないように、しっかり準備する必要があります。

それに、久々に安い失点をしてしまったことも、よく話し合って改善しておかなければなりません。

ガンバほどではないけれど、次の試合まで中2日しかないので、集中力を削がれる時間帯が無いとは言えません。

その辺りの対応は、練習の中で押さえておくべきポイントでしょう。

6.背中を押す時間

幸いなことに、最後の試合は、土曜日にホームで行われます。

最終節で3万人越えを果たした、ビッグアーチでの試合です。

ナイトゲームですが、翌日が日曜日なので、心置きなく応援に力を注げます。

私は、もしかすると休日出勤になるかもしれません。師走ですからね。仕方ありません。

でも、19時30分には、テレビの前に陣取って、気持ちを送るつもりです。

これだけは、誰にもジャマはさせません!(キッパリ)

7.「最後に」の時間(笑)

さらっと書き上げるつもりだったのですが、予想外に長くなってしまいました。

時系列に、日記っぽくするつもりで書き始めたんですけどね。

ま、いっか。

最後に業務連絡(?)を。

前回の記事、タイトルを微妙に変えました。

「言うてる」から「言うとる」へ。

やっぱりワシは広島県人じゃけえのう(微笑)。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。