両チームに拍手とエールを ~CS準決勝雑感~
今回は、1人のJリーグファン、サッカーファンとして、記事を書かせてもらいます。
私がサンフレッチェ広島のファンであることは、しばらく忘れていただきたいと思います。
2015年11月28日、土曜日。
浦和レッズとガンバ大阪との間で、Jリーグチャンピオンシップの準決勝が行われました。
NHK総合で生中継されたこの試合。
早野宏史さんと山本昌邦さんという解説陣に加え、野地アナウンサーがレポートに回るという、豪華な布陣での放送でした。
この試合をテレビ観戦しながら思ったことを、解説陣の話を聞いて取り入れた情報を交えて、まずは書いていきます。
試合開始当初から、スリリングなしのぎの削り合いとなりました。
基本的には、ホームの浦和が攻勢をかけ、アウェーのG大阪が受け太刀する、という展開で推移しましたが、両チームとも、それぞれの特長を如何なく発揮した、好ゲームが展開されました。
特に、浦和の、中盤でのポジショニングと攻守の切り替えの早さ、G大阪の、守備のポジショニングと球際の集中力、これらが高い次元で表現されていました。
後半から延長にかけては、体力的に厳しくなってきたはずでした。
しかし、両チームとも、それを感じさせないほど、心のこもったプレーを見せていました。
様々な局面、頑張らなくてはならない場面では、しっかり集中して対処し、少しでも相手を凌駕しようと試みていました。
この次に決勝戦が控えていることなど全く考えず、ただ目の前の試合、目の前の相手に勝利することだけにこだわっていた、両チームの選手たち。
最終盤にドラマチックなことが起こり、G大阪が勝利する結果になりましたが、試合直後のスタジアムには、勝敗を越えて、選手たちのプライドがぶつかり合った、その余韻が漂っていたような気がします。
陳腐な言葉ですが、素晴らしい試合でした。一発勝負の醍醐味を見ました。
続いて、それぞれのチームについて寸評します。
◆ 浦和レッズ
このチームの長所と課題が、それぞれに表れた試合だったと思います。
浦和の良さは攻守の切り替えの早さにあると、個人的には思っているのですが、この試合でもそれは顕著に表れていました。
また、攻撃の厚みも見逃せません。機を見て攻め上がる、槙野と森脇のアグレッシブさも健在でした。
課題が残ったとすれば、やはり、ゴールにボールを入れるという部分。
いくつかあった決定機のどこかで決め切っていたら、というところが悔やまれます。
それでも、浦和の戦いぶりは見事だったと思います。
とにかく、「俺たちが勝つんだ!」という気持ちが前面に表れていました。
関根や森脇が足をつってしまいましたが、諦めない執念でやり切った、その結果だと思うと、尊いものがありました。
(満足に動けない中で必死で頑張る関根の姿が大写しになった時、瞬間的にこみ上げるものがありました。)
3失点目の直後、周作が動けなくなった姿に、悔しさを見ました。
こういう時は、大いに悔しがっていいんだと思います。
そして、ひとしきり悔しがった後には、天皇杯が控えています。
浦和のCSは終わりましたが、今日の敗戦を糧に、前進していくしかありません。
◆ ガンバ大阪
早野さん(だったかな)が仰っていたように、この試合は必ずしも、G大阪のスタイルで進めることができたわけではなく、どちらかというと分が悪い戦いを強いられたのではないかと思います。
特に序盤は、浦和の中盤での圧力にあい、自陣に押し込まれる時間帯が長くなってしまいました。
CKのピンチもかさんでしまい、その1つが失点に結びついてしまいました。
それでも、鹿島戦(ナビスコ杯決勝)や広島戦でみられた、どことなく不安げな姿は、この日のガンバには見られませんでした。
「失うものは何もない」といういい意味での開き直りと、悪い時間帯でも我慢できる割り切りで、強かに戦っていた印象が残りました。
そして、修羅場をくぐり抜けた経験値で、G大阪が浦和を上回っていたことが、勝負の明暗を分けたように思いました。
とりわけ、3点目のパトリックの動き出しと、即座に呼応した遠藤のトリッキーな配球に、勘所を逃さない冴えを感じました。
(広島戦の後遺症か、この日もどことなく空回りしていた感があったパトリックが、得点を決められたことは、きっと今後につながることでしょう。)
最後にマンガみたいなことが起こりましたね。
大きなミスで、再現させないように心する必要はありますが、事無きを得て、笑い話で済ませることができたのは良かったと思います。
連戦が続くので大変ですが、ここでも経験値を活かすことができるはずなので、出来る限りの準備を整えて、次に進みたいところです。
寸評は以上です。
繰り返しになりますが、今日の試合は、素晴らしい試合でした。
リーグを代表する実力者同士の、堂々とした戦いでした。
最後に、ひとつだけ。
インタビューを受けた後、引き上げる遠藤の下へ、引退する鈴木啓太が寄ってきて、何かねぎらいの言葉をかけました。
ピッチ上では敵として対峙する両者、両チームですが、ひとたび試合が終われば、サッカーを愛する同志です。
代表としても同じ釜の飯を食った2人の、いい場面を見ました。
スポーツって、やっぱ、良いですね。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。