継続と総合力で手にした勝利 ~甲府戦レビュー~
0.まえがき
先日、ACL準決勝の2ndレグが開催され、G大阪が広州と引き分けました。
私は、最後の20分ほどしか観れなかったのですが、何とか得点を取って勝ち上がってほしいと願ったので、ゲームセットの笛を聞いたときは脱力してしまいました。
最終盤、パワープレー一辺倒になってしまったのが、個人的には残念でした。パスによる崩しも多少混ぜ込みながら、目先を変えながら攻撃できればベターなのに、と思いました。
しかし、連戦でチーム全体に疲弊感を漂わせながらも、G大阪は奮闘してくれたと思います。
広島ファンとして、その苦労はよく分かっているつもりです。なので、決勝に行けなかったことは残念ですが、それ以外の部分で何か批判するべきことはありません。
G大阪の監督や選手たちは、日程を敗退の言い訳にはしませんでした。そのことも、特筆しておきます。
1.サッカー祭り
2015年10月24日、サンフレッチェ広島は、開幕戦の相手だったヴァンフォーレ甲府と再び戦うため、アウェーの地に乗り込みました。
広島に居ながら、アウェーゲームを無料で観られるのは、非常にありがたい。
NHK-BS1で中継されたこの試合を、いつも通り、メモ取りながら観戦です。
なお、同じ時間帯に、NHK総合(地上波!)でFC東京-浦和戦を、BS-TBSで湘南-鹿島戦を、そして、BS-フジではなでしこリーグを、それぞれ生中継していました。
どれを観ようかと迷うような、サッカー中継日和でした。特に、なでしこ生中継というのは気が利いていていいですね。
2.鬼門と人は言うけれど
昨日の山梨中銀スタジアムは24.8℃(公式記録)。実況によれば、試合開始時点で25.8℃という、汗ばむような気候でした。
このスタジアムでの相性の悪さが、事前の報道で語られていました。実況でも、当然のようにそのことが指摘されました。
しかし、鬼門だろうが何だろうが、広島のやることは変わらないし、全く関係ない。
過去にどうだったのか、ではなく、目の前のこの試合をどう戦うか、ですから。
朝の占いで「過去の失敗に囚われないで」と言われたこともあり(笑)、そんなことを考えていました。
甲府のホームゲームなのに、なぜか先にメンバーを紹介されたサンフレッチェ。
ガチの練習を勝ち抜いてメンバーに選ばれたのは、前節までと同じ、不動のスタメン陣でした。
もしかして、ギシさんのスタメン起用があるかな、と少し考えていましたが、この試合も左サイドは航平でした。
控えでは、チャジが選考外となり、皆川がベンチ入りしました。これは、劣勢時に高さが必要になると踏んだのかな、と思いました。
一方の甲府は、前節の山形戦と、控えを含めて同じメンバーできました。
ここでも、前節の川崎と同様、勝っている時はいじらない鉄則を守った形だと思われます。
広島としては、剛平さんが出てこない展開にしたいところでしょうね。
(プレーする姿を観たい気はしますが、そこは痛し痒し。)
3.プラン通りの序盤戦
大方の予想通り、攻勢をかける広島と迎え撃つ甲府、という構図になった立ち上がり。
甲府の佐久間監督が警戒した通り、最初の数分間に圧力をかける広島。
実は、昨年までと比較して、今年改善されたことのひとつでありました。敵将に警戒させたことで、改めてそのことに気付くのでした。
甲府の5-4-1のラインが青く整い、ピッチ上に綺麗に配置されていました。
広島はその守備に対して、寿人が最終ラインで、シャドウがラインの間で、それぞれ駆け引きをして、後方からの球出しを引き出そうとしていました。
その辺り、両軍とも、それぞれのプラン通り進めることができていたようです。
4.スーパーゴール
前半13分頃、広島が、中央でのダイレクトプレーで右サイドにスペースを作り、ボランチ経由で展開した場面があり、「これはいい形だ」と独り言ちていました。
解説の福西崇史さんの話を聞きながら、メモに書くタイミングを計っていた時に、それは起こりました。
センターサークル付近から、「誰かが」左サイドにロングフィードを送りました。
その位置には航平がいたのですが、相手が付いてくる中、左足でダイレクトに中央へ折り返します。
飛んだ先はエリアの手前。それをさらに、左足でダイレクトに合わせたドウくんのキックは、ボールを一直線にゴールに運んだのでした。
なんだ、あのゴールは!!
思わずそうメモした私は、起点となった千葉ちゃんのキックを観ていませんでした。
ドウくんのゴールも、サイドネットに外れたように見えてしまい、決まったと気付くまでに数秒かかってしまいました。
ドウくん自身が「いちかばちか」と放ったシュートでした。前節といい、今節といい、素晴らしいゴールが続いて、何か夢を見ているようです。
甲府にとっては、あるいは悪い夢でも見ているような、そんな感じだったかもしれません。
そこまではまずまずプラン通り進めていただけに、痛い失点だったはずですが、しかし、これに関してはノーチャンスだったと思います。
広島ファンでさえ、予測できなかったゴールのはずですから。
5.理想的な追加点
いったい何が起こったのか分からないうちにゴールが入って、私は、完全に舞い上がってしまいました。
得点後の約数分間は、何か気持ちがフワフワして、ちゃんと試合を観れていませんでした。
失点した甲府ですが、まだ無理をする時間帯ではないとの判断か、ゲームプランを継続していました。
しかし、実はその前から気付いていたのですが、広島は、ミカのサイドで何度か裏を取る場面を作り出していました。
5バックでブロックを敷いて、プランを遂行しようとする中で、今日の甲府にはウイークポイントがあったのです。
広島の追加点は、そのポイントをつく、塩ちゃんのフィードが起点となって、生まれました。
相手DFを追い抜き、タッチライン付近からダイレクトクロスを入れたミカの頑張りで、左右から揺さぶる攻撃をすることができ、最後は航平がキーパーのニアを抜いてゴールを決めたのでした。
佐久間監督が「痛かった」とほぞをかんだ2点目でしたが、それでも甲府は、大きく動くことはせず、我慢して前半を終える選択をしました。
6.いつもの時間帯に思ったこと
後半開始直前になって、急にトイレに行きたくなり(笑)、後半最初の1分間は観ることができませんでした。
そのため、バレーのオーバーヘッドに至るまでの過程が分かりませんでした。
またこの時間に、広島のミスが出たのか?と心配したのですが、どうやらそうではなかったようですね。
さて、2点をリードした広島は、全く無理をする必要がなくなりました。
もちろん、選手全員が相手との駆け引きは続けていましたし、機会があれば3点目、4点目と狙っていく意思はあったと思いますが。
そうして、いつもの時間帯が来ました。
私は、次の試合まで間が空くので、この際、寿人にフル出場してもらってもいいんじゃなかろうか、と少し期待しました。
しかし、結局、いつものアレでした。
でもまあ、仕方ないですね。この日の展開なら、ジャガーの方が特徴が活きる、とみるのが妥当だと思いますから。
7.持たれているのか持たせているのか
甲府の攻撃は、やはりバレーが軸となって展開していきます。
しかし、試合前半の戦いの中では、福西さんが指摘したように、周囲の選手がバレーをうまく活用できていませんでした。
バレー自身は、ターン直後の鋭いシュートなどで見せ場を作っていましたが。
当然、後半に向けては、佐久間監督から、その辺りの改善は指示されていたと思われます。
そもそも、得点を取りに行かなければならないので、攻撃に厚みを加える必要もありました。
後半10分辺りから、甲府の攻めに活気が出てきたように、私の目には映りました。
バイタルやサイドのスペースを、徐々に有効活用することができるようになったし、特に伊東投入後は、スピード感も伴ってきました。
やはり、勢いを持って入ってこられると、怖さを感じますね。
ただ、土屋が試合後に語っていたのですが、甲府には「ボールを持たされている」という感覚があったようですね。
私はこの時間帯、「(広島側から見て)持たれているのか持たせているのか」という疑問を持っていて、でも結論は出せませんでした。
広島の選手が、この部分をどう捉えていたのか、聞いてみたいところです。
8.準レギュラーの役割
結局、甲府の攻撃が実を結ばないまま、80分にミカ→ササショー、86分にドウくん→皆川、と交代して、広島が試合を無事にクローズさせることになりました。
開幕戦で、最後の5分間に出場したササショーは、今回は約10数分間、プレーしました。
あの時は顔見世感がありましたが、この日は、疲労したミカに代わり、最後を締める役割を鮮明にしての登場でした。
一方、皆川は、こちらも疲労からスプリントが落ちていたドウくんに代わっての登場でした。
この交代が可能になったのは、非常に大きな意味があるのではなかろうか、と思います。
タイプは違いますが、ともに高さがあるし、特に皆川は守備面での貢献に期待できるので、これが機能するようになれば、広島にとっては大きなバリエーションになるのではないでしょうか。
ササショーも皆川も、当然、スタメンを張りたいと思っているはずですが、今は、自分たちが与えられた役割を、懸命に果たそうとしてくれています。
今日大活躍の航平も、ギシさんも、そうした選手たちがいてくれるから、レギュラー陣が力を出し切れる訳です。
彼ら無くして、広島の総合力を維持することはできません。有難い存在です。
9.チャンピオンシップ参戦確定について
この日、浦和がFC東京に勝利したため、年間1位の争いは、同勝ち点の広島、浦和に絞られました。
まずは、J1制覇に挑戦する権利を得られたことを、素直に喜びたいと思います。
残り2試合で、年間勝ち点1位を目指す訳ですが、広島も浦和も、簡単に勝てるとは思わない方がいいです。
広島はG大阪→湘南、浦和は川崎→神戸、というカードを残しているのですが、実は、今年の最初の対戦で勝っていない相手ばかりなのです。
となると、重要なのはやはり、普段通りのプレーをチームとしてできるかどうか、ではないかと考えます。
広島としては、今こそ、2連覇の経験を活かすとき。総合力の勝負です。
是非とも年間1位になって、苦手な一発勝負を回避してほしいと思います。
なお、ミシャが「年間1位は狙わなくていい」と言った、と報道されていましたが、本気でそう思ってる訳ないやろ!
まあ、ミシャが本気でそう思ってくれるのなら大歓迎だけど(笑)。
盛り上がりに水を差すような、恣意的な報道は控えてほしいですね。
10.あとがき
G大阪のACL敗退が決まったことで、J1の残りの日程が確定しました。
前倒し開催の可能性があった、次のG大阪戦は、本来の11月7日に行われることになりました。
浦和との争いを考えた時に、同時キックオフで試合ができることは、決して悪いことではないと思います。
総合テレビでの生中継も決定したようですし、高い注目の中で試合ができますね。
言うまでもなく、G大阪は大きな敵です。
試合までの2週間、いい準備をして臨んでほしいと思います。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。