積み重ねの重要性 ~鳥栖戦レビュー~

0.まえがき

その日の広島は、終日ぐずついた天候でした。

雨の中、1万4千人弱の観客を集めた名古屋戦は、サンフレッチェが5-2で勝利しました。

当然、私はその試合を観戦し、レビューを書くつもりにしていました。

しかし、休日出勤の作業が長引き、スタジアム参戦はおろか、TV観戦(*)もできなかったのです。

帰りに、携帯で試合結果を調べたとき、「観たかったなあ…」と心底思ったのでした。

8月に7つの記事を投稿した私ですが、そんなこともあって、9月はこれが最初の記事になりました。

先週のACLの試合を観戦した感想など、書く材料がなかったわけではないんですけどね。

名古屋戦の一頓挫で、ちょっとリズムを乱してしまいました。

次の山形戦も観られなかったので、2015年9月19日の鳥栖戦が、久々のサンフレ生観戦となりました。

まあ、故あって自宅でのTV観戦(*)でしたが、いつも通り、メモの準備を整えて、試合開始を待ったのでした。

(*)名古屋戦は「NHK-BS」、鳥栖戦は「スカイ・A sports+ HD チャンネル」で放送されました。

1.メンバーの「意外」

広島は、シバコー先生が待望のスタメン復帰を果たしたことに加え、森崎浩司もベンチ入り。今シーズンのベストメンバーといえる布陣が戻ってきました。

しかし、驚いたのは鳥栖のメンバーで、豊田の名前がありません。

スタメンはおろか、ベンチ入りもしていないということで、非常に意外でした。

放送中にその辺りの情報が伝えられるだろう、と思っていましたが、同じく欠場の水沼と同様、具体的な情報は、放送が終わるまでの間、何一つ伝えられませんでした。

2.動かない試合

試合が始まってしばらくの間、互いに大きな動きはなく、一進一退の流れが続きました。

ただ、広島の立ち上がりは、パスを相手に引っ掛けられたり、自陣での細かいミスがいくつか見られたりして、決して褒められたものではなかったですね。

15分を迎える辺りから、鳥栖がリトリートするようになり、ポゼッションを高めることができた分、広島がペースを握ってきました。

しかし、それからも試合は膠着状態が続き、淡々と流れて、そのまま前半が終わってしまいました。

ハーフタイムの間は、「後半もこんな感じなのか、それとも、後半からはギアを上げていくのか」と考えました。

前半の広島の攻勢がボディブローのように効いてくればいいが、と。

後半の立ち上がりは前半の流れを追うような感じでしたが、10分前後から、実況にもあったように、動きが活性化してきて、試合が大きく動きそうな感覚がありました。

しかし、基本的には広島がポゼッションして鳥栖が受けに回る、という状況のまま、結局、試合終了まで、得点は動かないままでした。

3.最も短いレビュー?

いつもは、試合の流れを追いつつ、自分が思ったことなどをちりばめながら文章を綴っていくのが、レビューのパターンになる当ブログ。

しかし、今回はちょっと違う展開になってしまいました。

ブログを始めた初期の頃を除き、今の長い(苦笑)レビューのパターンが定着してからは、試合経過の部分は、おそらく今回が一番短いと思います。

あまりこういうことは書くべきじゃないかもしれませんが、ここまで見せ場が少ない試合はなかったですね、私がレビューした中では。

細かく見れば多少の起伏はあったのでしょうが、試合全体が淡々と流れ過ぎました。

まるで、福岡国際マラソンのコースみたいな試合でした。

4.負ける気はしなかった ~私が思う鳥栖の現状~

試合の中で、鳥栖のゲームプランが「まずは守備重視」であることは明確に表れていました。

前々節、先制しながら、神戸に7点取られて敗れてしまい、鳥栖としては、守備の改善が至急命題でした。

前節の清水戦で一定の成果を出したものの、やはり、相手が相性の悪い広島、ということになれば、さらに徹底して取り組まなければならない課題だったはずです。

この試合の鳥栖は、守備面では満点に近い出来だっただろうと思います。

サイドの守備で負けなかったし、要所での集中が見事でした。

アウェーで勝ち点を取って帰る、という成果にもつながったし、今後に向けて自信を得ることもできたのではないでしょうか。

但し、鳥栖がボールをキープしている時間帯がいくらかあった中で、攻めが中々形になってこなかったのも、また事実でしょう。

堅守速攻で、あわよくば得点して勝利、というプランだったはずですが、広島も十分にケアしていたので、効果的なカウンターはほとんど見られなかったと思います。

また、豊田不在の影響か、前でボールを収めることができなかった印象もあり、正直、鳥栖の攻撃に迫力は感じませんでした。

ともかく、昨年の広島もそうだったのですが、チームを立て直すには時間が必要ですし、段階もあります。

今の鳥栖は、まずは守備を整えることが優先される状況だったと思います。

もちろん、いずれは攻守においてバランスよく整備されなければなりませんが、まずは第一段階をクリアすることができたと思うので、気分良く、次のステップに踏み出せるのではないでしょうか。

5.確かにそうだったけども

実は私、前半の段階で、広島ペースながら膠着気味の試合状況に、「(両チームの)ファン以外の人からしたら退屈かもしれん」とメモしていたんですね。

そして、試合が終わってから2日経った今、「広島ファンにとっても退屈な試合だったかもしれん」と思っています。

実際の所、試合そのものは、確かに退屈なものでした。後半の後半は敢えてメモせず観ていたのですが、結果的にメモする必要もなかったですから。

(参考までに、せと☆ひできさんの速報では、最大6分間の「空白」が2回もありました。とても珍しいことです。)

ただ、退屈な試合だったからといって、内容がなかった訳ではありません。

残念ながら、それはサンフレッチェの課題を再確認した、という内容が主になるのですが、いずれにしても、見るべきものが何もないという試合ではなかったと思います。

鳥栖が自陣に籠る中、広島の最終ラインがハーフウェイを越えて敵陣に踏み込んでいましたし、塩ちゃんや千葉ちゃんが再三持ち上がって、攻撃に厚みを持たせようとしていました。そのことはしっかり評価する必要があります。

森保監督は、「チャンスを作るところまではいっていたが、最後に得点を決めるところだけが足りなかった」(広島公式HP)と語っていました。

チャンス自体は決して多くはなかった、と、私は思いましたが、ちょっとしたパスのズレや、トラップの失敗によって、チャンスをフイにする場面も確かに多かったので、監督の見解もうなづけるところではありました。

(この試合で浮き彫りになった広島の課題については、後日、別記事にするつもりです。)

6.勝ち点1を軽視してはならないと思う

シルバーウィークの初日ということもあってか、1万8千人以上の観客が入った、この日の鳥栖戦。

鳥栖のサポーターも1500人は訪れていたそうですが、でも大半は、広島の勝利を観に来た人達だと思います。

その人たちに勝利を見せられなかったことを、ポイチさんも残念がっていました。

もちろん、私もサンフレッチェの勝利を観たかった。勝ち試合を気持ちよくレビューしたいと思っていますし、負け試合や内容がイマイチな試合の時は、投稿ページを開くのも億劫になりますし。

しかし、勝ち切れないまでも、負けることはなかった。このことは、最低限の結果として評価したい。

そりゃ、勝ち点3の方がいいに決まっています。でも、勝ち点1を得ることができたのは、もっとポジティブに捉えていいと思うのです。

思い出して下さい。サンフレッチェがJ1を連覇したとき、苦しい試合でも簡単には星を落とさず、しぶとく勝ち点を重ねて、その結果が優勝に結び付いたことを。

今年の前半、神戸に敗れた後の名古屋戦で、前掛かりになってカウンター2発に沈みましたが、今回の鳥栖戦では、(相手が積極的に攻めて来なかったとはいえ、)同じ過ちを繰り返すことなく、カウンターをケアしながら、厚みを持って攻撃していきました。

結果として勝てなかったけれども、勝ち点を加算することには成功した訳ですからね。

こういう「引き分けOK」みたいなことを書くと、「支持する」数は上がらないんでしょうけどね(笑)。

でも、シーズン全体を通して考えた時に、この勝ち点1は目先のインパクト以上に効いてくると思うので、ここに主張してみました。

7.目先の報道に惑わされるべからず

今節の結果を受けて、スポーツナビのJリーグの記事に、「痛恨のドロー」とか「年間首位陥落」とかいう見出しが躍っていました。

前項に書いたことと少し関連するのですが、私は、こうした「目先しか見えてない記事・報道」にはあまり共感しないのです。

まず、そもそも私は、この鳥栖戦はまだ「絶対に勝たなくてはいけない試合」だったとは思っていません。

確かに、鳥栖は「下位チーム」に属する現状でした。勝ち点2を取りこぼした、と見る向きもあるでしょう。

残り試合数が少なくなってきたことも事実で、勝敗の持つウエイトは相対的に大きくなってきてはいます。

それでも、ここで仮に負けていたとしても充分に挽回がきく段階だと思います。

つまり、鳥栖戦の引き分けは決して「痛恨の結果」ではないと、私は思うのです。

年間首位にしても同様です。

現段階で年間1位だろうが、2位だろうが、Jリーグにおいて、それがそこまで重要なこととは、私は思いません。

重要なのは、34試合終わったときに1位にいるか否か。

追う立場の方が戦いやすい場合も考えられるのですし、そこまで途中経過にこだわる必要があるのだろうか、という疑問があります。

大体、優勝がスンナリ決まるようなJリーグではありませんよね。

例えば昨年、第28節までの順位を見ると、1位は浦和でした。2位のG大阪に勝ち点差4を付けていましたが、最後はG大阪が逆転しました。

一昨年は、広島と横浜FMが勝ち点で並び、1位は広島でした。広島はこの年優勝するのですが、しかし第32節、2試合しか残っていない段階で、横浜FMが首位であり、広島には5差付けていたのです。

報道というものが、観てもらうために、読んでもらうために、時にはセンセーショナルな見出しで人目を引く必要があることは、私も重々承知しています。年間首位を明け渡したことも事実です。

しかし、報道する側が、先程挙げたようなことを踏まえて伝えているのか、私は大いに疑問に思っています。

(実は、例に挙げた見出しは、サカダイWEBが書いた記事の見出しでした。記事元を見て、非常にガッカリしたのです。)

8.あとがき

最近、鳥栖のサポーターが一人、スポナビブログの更新を停止しましたね。

ブログを続けるのもやめるのも、それぞれの書き手が判断して決めることなので、その是非は問いません。

ただ、私は思うのですが、ガイドラインを逸脱しない限り、自分が思ったことや感じたことを記事にするのは、ブロガーの意志で自由に行なっていいことなのだから、書きたいことができたら素直に書くのがいいんじゃないですかね。

ブログを書きたいのに続けられない方もおられます。そのことを思えば、書く機会があるだけ幸せというものです。

誰かの発言に囚われる必要もない。例えば、私のブログを読んで、「こいつ、甘いなあ」とか思っている人がいるかもしれませんが、仮に「もっと厳しく!」とかコメントしてきたとして、私のスタンスは多分変わらないでしょうね。

自分は、自分の思ったことを、書きたいと思ったときに書いています。これからもそのスタンスで続けていこうと思っています。

そして、私のブログのようなものでも、楽しみにして下さっている方がいます。そのことも励みにして頑張ります。

間隔を開けると文の進みが悪くなるので、コンスタントに書いていくのがベターなんですけどね(微笑)。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。