今こそ創意工夫の時 ~広島の攻撃について考えてみた~
1.汝、絶望する勿れ
お盆休みが終わり、私は今日(17日)から仕事再開でした。そのため、諸々やることがあり、16日の柏レイソル戦は、現地には赴きませんでした。
また、テレビでも観られなかったので、せと☆ひできさんの速報を時々リロードしていました。
結果はご承知の通りで、監督も認める完敗だった由。
観ていないので、具体的な論評はしませんが、各種の情報を総合すると、前回の記事で期待した「鹿島戦でできなかったことを見せる」ことは、残念ながらできなかったようですね。
せっかく、お盆期間にホームで連戦することができたのに、無得点で連敗となってしまい、残念至極。
と、前回と同じ感想を書かなければならないことが、非常に切ないのです。
ただ、高々連敗しただけで「もう勝てる気がしない」とか「ズルズルいきそう」とか、まるで世界が終わるかのような気分になっている人が結構いますけど、私はそれは疑問で、ちょっと深刻になり過ぎではないのかな、と思ってしまいます。
最近は、風潮なのか、様々な事柄について、意見が「0か100か」の両極端に振れる傾向が強いように感じられますが、このケースもその実例だな、と。
いや、観なかったからといって気休めを言うつもりはなくて、実際、2連敗なんてこと、よくある話ですからね。
首位陥落とかニュースは騒ぐけど、それだって残り10試合もあるんだから、大した問題じゃない。
むしろ、矢面に立たなくて済む分、戦いやすいかもしれませんし。
この程度で絶望してたら、心ならずも残留争いに巻き込まれてしまっているチームのファンやサポーターに怒られてしまいますよ。
それでも心配な方は、「J SPORTS」のサイトにある「マッチレビュー」で、解説の水沼貴史氏がレビューを書かれているので、それをご覧になることをお勧めします。
(私は、水沼氏が広島についてとても良く観察しておられることに、少し感動すら覚えました。)
2.攻撃の改善を思い描いてみた
さて、私は前項で「絶望する必要はないよ」と伝えたかった訳です。
しかしながら、再開後の2試合、諸々上手くいかなかったことは事実なので、危機感がないわけではありません。
特に、相手に先制されて、守備に重心を置かれた中で、どのように効果的に攻撃するか、という部分に課題があるのは明らかです。
上手くいかないからといって、思考停止している暇は、選手や監督にはありません。課題を克服し、今の局面を打開するしか、彼らには道が無いのです。
今日、帰宅してから、私は布団の上に寝そべって、サンフレッチェの攻撃について考えてみました。
今の現状と課題や、改善するための方法を考えたところ、いくつかの方策を思い描くことができました。
例えば、シャドウの動きについて。
開幕戦の甲府戦をレビューしたとき、「2シャドーが、左右のポジションをしょっちゅう入れ替えていた」と書きました。
今はどうか。
岳人が左、ドウくんが右、位置取りがほとんど固定されていなかったでしょうか?
岳人のマークが厳しかった、と前回の記事で書きましたが、ドウくんと左右を入れ替わるだけでも、マークを緩める効果は期待できたでしょう。
岳人についてさらに突っ込むと、カシッチがドリブルで中に切れ込んできたとき、彼のいたアウトサイドに開いてみたらどうだったでしょうか?
中よりは外の方がマークは緩むと思います。
スペースがあれば、岳人の持ち味は活かしやすくなるはず。強烈な左足があるのですから、速い弾道のセンタリングで、誰かに当たれば1点、というような場面が作れたかもしれません。
ミカのサイドは、ドウくんが外に開くのは少し勿体無い気がするので、同列には語れません。
ただ、鹿島戦では、ミカが中央に割って入り、相手2人の間を強引に抜き去る無双ぶりを見せてくれたので、それを活かさないのも勿体無い。
例えば、ミカにゴール前をドリブルで横切ってもらい、ドウくんがスイッチの動きで、(広島から見て)ペナルティエリアの右角辺りに位置取り、そこに青ちゃん経由でパスを通す、とか。
ドウくんの高さやアグレッシブさを活かさない手はないと思うんですよね。
それから、岳人もドウくんも、密集の中より、もう少し広いスペースがあった方が持ち味が活きる、ということが言えると思うのですが、だとすると、なぜ、バイタルエリア周辺にしか位置取りしないのだろう?
洋次郎がいた頃、時折、彼がボランチの位置まで下がって、バックラインからのパスを引き出すことがありました。
その動きに連動して、塩ちゃんが上がったり、青ちゃんが上がったり、シャドウの一人が縦パスを受けに動いたりして、局面に変化をつけようとしていました。
先人に学ぶことも必要なことです。岳人あたりにそれを期待してもいいと思うのですが。
シャドウだけではありません。ボランチもバックラインも、色々と工夫する余地は大きいと思います。
彼らは皆、機を見てオーバーラップできる能力があるはずなのだから、相手に引かれた時は、もっと前に出てもいいのでは?
勿論、リスクヘッジを最優先しなければなりませんが、それを踏まえつつも前に出ることをしないと、攻めに厚みを持たせることができません。
それこそ、ミカやカシッチの代わりに、ミズや塩ちゃんが「大外」をオーバーラップすることも、時には「あり」だと思います。
森脇が浦和で、正にそれを実践している訳ですからね。
ライバルチームの選手である彼らに学ぶことも必要なことです。
縦パスの出処を増やすことにも取り組めないでしょうか?
現状では、青ちゃんへのマークが厳しくなると、パスの出処がほぼ無くなってしまいます。
しかし、カズ、塩ちゃん、千葉ちゃん、といった辺りは、元々、長いパスを繰り出せる選手であるはずなのですから、もっとチャレンジしたらいいと思うんです。
寿人だって例外ではありませんよ。
ラインの裏をめぐってDFと駆け引きをすることは勿論、重要。
サンフレッチェのひとつの生命線であるのですから、それを捨ててはいけないと思います。
でも時には、寿人がバイタル周辺まで下りてきて、縦パスを引き出すことも必要でしょう。
そして、ポストプレーやフリックで、シャドウやボランチを使ってしまえばいいのです。
特にドウくんは、縦に抜ける動きが得意そうなので、寿人が作ったスペースに入っていくことができるはずです。
そうすれば、寿人への縦パスがそのままゴールにつながる可能性が出てきます。
そこまで連動できなくても、少なくとも寿人が位置を下げるだけで、相手は「前後で」マークを受け渡さなくてはならず、そこにギャップが生まれる期待ができます。
ギャップを作れたら、それを突ける技術を持っているのが、今のサンフレッチェですからね。
寿人の動きにオプションを加えるだけで、得点のチャンスは増やせると思います。
3.考えよ、されば開かれん
という風に、書きながら思いついたことを含めて、これだけの数、考え付くことができました。
勿論、実際に上手くできるかどうかは別の話です。なので、自慢することではないし、そのつもりもありません。
第一、相手があることですし、肝心の精度を欠いては上手くいきません。特に、点を取るということになれば、簡単な話にはなりませんから。
でも、少なくともアイディアを出すことは、こんな私でも可能でした。
私でもできた、ということは、当然、選手たちにもできるはず。
彼らが本気を出せば、もっと数多くのアイディアが生まれるに違いありません。
サンフレッチェのサッカーを表現しつつ、創意工夫を加えたプレーを、試合の中で見せることが、彼らにはできるはずです。
暑い時期です。時に、ミッドウィークにも試合をしなければならない選手たちなので、積極的に動き続けることは大変です。
それを踏まえつつも、試合を観ているファンやサポーターは、やっぱり勝利する姿を見たいんですよね。
「アイディアが足りなかった」と嘆く姿より、「みんなで考えて、工夫することができた」と誇らしく語る姿を、私は見たいと思います。
サンフレッチェは決して八方塞がりな状態ではない!
彼らの底力を信じています。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。