ビッグアーチ ホロ苦観戦記 ~鹿島戦を観てきた~
0.まえがき
その日の広島地方は、朝から雨だった。
…いや、あるいは前夜から降っていたのかもしれない。
外を見ながら、「今日、行くの止めようかのう」と思ってしまう。前の日も、宮島水中花火大会を観に行くつもりだったのに、結局、めんどくさくなってやめてしまったし。
とはいえ、ブログに書いた手前、両方とも観ないというのも、何だか気が引ける。
「書いたけえゆうて、別に行かなきゃならん義務はないんじゃが」とも思うが…
選択肢は、やはりひとつしかない。
それにしても、何も今日降らんでもええのにのう…
1.JRの車内にて
2015年8月12日、2週間の中断を経て再開されたJ1リーグ戦。
ホームに鹿島アントラーズを迎えて行われる、後半戦第6節の試合を観るために、私はJRの列車に乗り込んだのでした。
この日は、カープもホームゲームが予定されていました。
駅のホームには、如何にもズムスタに向かおうという人たちが、数多く居ました。勿論、程無くして乗り込んだ列車の中にも。
そんな中、一人のおっちゃんが、向かいに座っていたカープおばさん(失礼!)に尋ねて曰く、「この雨で試合やるん?」と。
気になったので、答えに耳を傾けたのですが、その女性によると、試合時間を遅らせて開催する、とのことでした。
私はつい、「昨日(11日)負けたし、中止にすりゃあええのに」と思ってしまいました。
(案の定というか、その日のカープは、ヤクルトに完封負けを喫してしまいました。)
2.会場に着く
アストラムラインを乗り継ぎ、広域公園前駅に到着。駅を出ると、雨は止んだ状態になっていました。
カープも試合をやるくらいなので、これから天気が回復に向かう、ということなのだろうか?
しかし、そう上手い具合に事は運ばないのでした。
試合開始40分前に会場についたからか、今回も、ほとんど並ばずに当日券を買うことができました。
前回はそのあと、子供たちのけん玉を観たのでしたが、今回は、試合が始まる前に腹ごしらえをしたかったので、早速、入場口に向かったのでした。(雨なので、スタンドでの食事は難しい、と考えたのです。)
3.傘はいらんかいね
そこに聞こえてきた放送の声。
「スタジアムの中では、傘は禁止です。使用はご遠慮ください。」(※文言は正確ではないかも。)
えっ、傘使っちゃダメなんですか?!
いやあ、予想外でした。かなりショックを受けてしまいました。
私は、雨が降っても傘差して上の方で観ればいいや、と考えていたのでした。前にもそのようにして観戦したことがあったので。
改めて考えると、それはJリーグ創成期の話でした。当時はサッカー観戦の作法が浸透していなかったので、そういうことも許されていたんですよね。
今は観戦や応援の仕方が確立されていると思うので、観る側もその作法に則る必要があるわけですね。
確かに、傘は視界のジャマになるし、滴も垂れますからね。止むを得ません。
当然、私も傘は封印です。濡れる覚悟で入場したのでした。
4.試合開始を待つ
いつものように焼きそば(*1)を掻き込み、腹ごしらえは終了。
何か飲むものを、と思い、お茶を購入すると、ペットボトルをそのまま渡されたので、思わず「このまま持ち込んでいいの?」と尋ねてしまいました。
不思議な感じがしましたが、そのままスタンドへ向かいました。(当たり前ですが、投げたりしちゃダメですよ!!!)
座席は当然、水浸し。さすがに私もそこは想定内。持参したタオルを敷いて、準備完了です。
(*1)ここの焼きそばは、手頃な量で300円! 味はまあ普通ですが、リーズナブル。重宝しています。
5.メンバー雑感
スタメンは、事前にスマホで確認済みでした。
広島は、塩ちゃんがメンバーに復帰も、さすがにスタメンならず。ミズと佐々木が千葉ちゃんと組みます。
塩ちゃんの試運転が可能な展開になればベストですが、果たしてどうか。
対する鹿島は、柴崎やダヴィ、カイオといった辺りがベンチスタート。交代出場が予想されるだけに、結構不気味でした。
そして、ソッコくん、堂々のスタメン出場。壁となって立ちはだかります。
なお、鹿島のメンバー紹介のとき、ソッコくんと佐藤昭大の名前が呼ばれると、スタジアムから拍手が起こりました。
サンフレッチェファンは温かいなあ、と思いました。
6.前半の総括
広島は、ボールを動かしながら崩しにかかりました。
この日はサイド一辺倒でなく、中央も使いながら仕掛けているように思いました。
そして、いいクロスが何本かありましたが、鹿島の守備陣が、最後の所はやらせてくれませんでした。
鹿島は、守備面ではさほど前からは来ず、フォーメーションを崩さないようにして待つ構え、と見て取りました。
そして、マイボールにしたときのドリブルでの仕掛けが、かなり目立ちました。
それでも、広島の守備陣が何とか付いていき、躱されても最後のところはカバーして、決定的なチャンスは与えませんでした。
7.エアーポケット
その時、私は「ゴールキックだな」と思ったのです。しかし、鹿島の選手が1人、旗の方に向かっていきました。
「ああ、コーナーだったのね」と思った数十秒後、鹿島に先制点が入りました(*2)。
その瞬間、私は、別のことを考えていました。そして、よそ見をしている間に、ゴールが入ってしまったのでした…
現地まで来ていながら、何たる失態か、と、自分を責めても後の祭り。
結局、この失点が、ゲームの流れを分けてしまったのでした。
(*2)何かの記事で「森崎和がマークを外したために云々」というのを読んだのですが、映像で見ると、元々は佐々木が付いていた選手でしたね、決めたのは。まあ、鹿島・山本の外す動きも良かったですね。
8.後半の総括
まず、鹿島は強かでしたね。
基本的には、鹿島は無理をせず、広島にボールを保持されても、守備のブロックを崩さずに対処していました。
一方の広島は、自分たちのパスサッカーを貫き、相手を崩そうとします。
両サイドがボールを持たせてもらえたので、チャンスは作れたのですが、前半同様、鹿島の粘り強い守備に、得点を挙げることができません。
代表帰りの浅野が、交代出場後、早速、ドリブルで見せ場を作りましたが、シュートは惜しくもクロスバーに当ててしまいました。
最後は、鹿島が時間を稼ぐ余裕を見せて試合をクローズ。広島にとっては残念な結果に終わったのでした。
9.敗戦の要因
この日の広島は、特に後半、自分たちがイメージする戦い方ができませんでした。
リードした鹿島がスペースを消してくる中でも、頑張ってパスをつなごうとする、ゴールにつなげようとする、そういう意思はあったと思います。
しかし、プレッシャーをかけられた状態でのプレーの精密さが、この試合では見えづらかったですね。
特に、野津田のところはマークが厳しく、彼の持ち味を発揮させてもらえませんでした。
また、選手交代の効果も出せませんでした。
最初のプレーこそ目立った浅野でしたが、それ以外は大きなチャンスを演出できませんでした。せっかく出場機会を得た茶島も、同様でした。
とはいえ、これは周りの選手たちにも原因があったと思います。
最後はドウグラスの強さに頼る攻撃しかできなかったのですが、浅野や茶島をもっとうまく使ってやることができなかっただろうか、と、現地で私はそう考えていました。
10.歴史的な交代劇
選手交代といえば、ミズと塩ちゃんとの交代は、水本の連続フルタイム出場記録が途切れる、歴史的な交代劇でした。
私は、塩ちゃんの交代相手がミズだと思っていなかったので、そのことの意外さに気を取られ、ミズの記録が終わったのだと気付くまでに少し時間がかかりました。
こういう時、監督の選択は非常に難しいと思います。ポイチさんとて、温情が無い訳ではありませんから。
しかし、出場こそしていないとはいえ代表に帯同し、中国から帰国して間がない中でプレーしたミズでした。
彼の動きと塩谷の状況を比較した上で、さらに諸々の状況を加味して、ついに交代を決断したのでした。
試合に勝つためのその決断に、もちろん、水本も異議はなかったのです。
試合後の彼は、試合に負けたことをただ悔しいと思う、一人の選手でした。
実に彼らしいと思いました。
11.雨に思えば
最後に、試合開始から帰路につくまでに思ったことなどを、いくつか書くことにします。
・雨は終始、降ったり止んだり、でした。
面白かったのは、観客の多くが、小止みになるとポンチョを脱ぎ、また降り始めるとまた着る、という繰り返しだったことでした。
それほど暑い夜ではなかったのにね。やっぱり、蒸れるのが嫌だったのかな。
・それにしても、失点直後に雨が強くなったのには閉口しました。あと、試合終了直前にも強くなりましたよね。
・混雑の中なので仕方ないが、スタジアムの外を歩く時、ポンチョを着た人が近づいて歩くことにも辟易しました。
中には、ビニールを被せた荷物を当ててくる人もいました。
普段着の私は、濡れてしまって非常に困ったのでした。
ついでに書くと、前の座席に足を乗せて観ている者もいましたですね。(勿論、靴を履いたまま。)
私も含めてですが、マナーについてはもっと留意しなくてはなりません。気を付けましょう。
・シャトルバスの列が、かなりの長さまで延びていました。
駅方面への通路を歩いていたら、「最後尾はここです!」と言って歩くお姉さん(おばちゃん?)に遭遇したのです。
列の最後尾に突撃されたのは初めてでした(笑)。
・シャトルバスを待っていると、どこからともなく、「今日は鹿島の術中にはまったよね」という会話の声が聞こえました。
確かにその通りだったと思いました…
12.あとがき
試合開始前、入場口へ向かう時に、私は「(雨だから)今日は1万人ぐらい入るといいなあ」と思いました。
しかし、そんな予想を見事に覆し、この日は何と16689人もの入場者があったとのこと。
確かに、雨にしては多いなあ、とは思ったんですが、ここまでとは。
これは、お盆ということも勿論あるでしょうが、目下5連勝中という成績面が後押ししたことは、きっと間違いないでしょう。
それだけに、負けてしまったのは残念至極。
でもまあ、勝負事ですから、こういう日もあります。
大事でない試合などありませんが、負けた次の試合は特に大事です。
監督も選手も、明日に向けて、勝利のために準備を進めているところでしょう。
鹿島戦でできなかったことは、次の柏戦で見せてもらいましょう!
そのことを期待して、観戦記を終わります。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。