6月では終わらない ~柏戦レビュー~

0.まえがき

これから、6月7日に行われた柏レイソルとの試合をレビューするのですが、その前に、訂正とお詫びをしなければなりません。

5月4日付でアップした清水戦のレビューの中で、ドウグラス選手について「7月にいなくなってしまう可能性が十分ある」と書いてしまったのですが、これは私の大いなる勘違いでありました。

というのは、私は、ドウグラス選手のレンタル期間について、てっきり半年間、つまり6月末までだと思い込んでいたんですね。

先週になって、サンフレッチェの公式に去就のことを見に行ったところ、レンタル期間が1年間だということを確認した、という次第です。

そういうことはキッチリ調べてから書く、というスタンスでやってきたのですが…

ちょっとでも手を抜いてしまうと、こういうしっぺ返しを食らうハメになりますよね。

どうも済みませんでした。

実は、某ブログへのコメントでも似たようなことを書いてしまっています。

読んで頂いていると信じて、この場を借りてお詫び申し上げます。

なお、「頑張れ、皆川!」のくだりはウソではありません。いつか大きく花開くために、色々と学んでほしいと思っています。

1.まさかの生観戦

Jリーグの公式サイトを事前に調べて、私が観られるチャンネルでは放送されないと知り、生観戦は諦めていました。

それでもその日、念のため、ひかりTVの番組表を見てみると… 生中継の放映が観られるではありませんか!

ありがたし、TBSチャンネル。

実況は、土井ちゃんこと土井敏之アナウンサー。実は元NHKで、クボジュンこと久保純子さんと同期入局だとか。実況の質については芳しくない評価もあるようですが、私は贔屓にしています。

解説は、元祖レフティーモンスター小倉隆史氏。あとで触れないかもしれないので先に触れておくと、この試合の解説は、私の感想と割と近かったのでした。

2.リスクマネージメントなスタメン

前節の湘南戦で負傷・途中交代し、出場が危ぶまれた塩ちゃんが、いつも通りスタメンに名を連ねたこの試合。

しかし、起用する側にはやはり多少の不安があったらしく、ベンチに宮原を入れてきました。

塩ちゃんに何か事が起こった場合、佐々木が交代で出てくる可能性が高いのですが、その場合、控えにDFがいなくなってしまいます。

無論、航平にその任を兼ねさせることもできるでしょうが、彼は出来れば攻撃的に使いたいところ。となれば、適任なのは宮原しかいません。

あおりを食って、岳人がベンチ外になってしまいましたが、致し方ないところでしょう。

3.一日の長

さて、昨年までネルシーニョ氏が長らく監督を務めてきたレイソル。今年は吉田達磨氏が強化部から監督に就任し、サッカーを転換してきました。

ポゼッション志向、ということで、広島とは比較的似たスタイルになったのかな?などと想像していました。

リーグ戦こそ苦戦を強いられていますが、ACLでは堅実に勝ち上がっていますし、侮れない相手であることは間違いないと言えました。

立ち上がり、広島がサイドへの大きな展開からチャンスを作り、流れよく滑り出したかに見えましたが、程なく、レイソルのボール保持率が上がってきて、互角の展開になっていきました。

とはいえ、0-0の間は、レイソルに保持されても、あまり怖さを感じることはありませんでした。

オグさんも似たようなことをおっしゃっていたのですが、私は、攻撃の面でレイソルの「ちまちま感」が目に付くなあ、と感じていました。

広島の守備陣も、レイソルの攻撃は読み切った、とばかりに、鋭い読みでピンチの芽を摘み取っていたようでした。

4.傾きかけた流れを堰き止める

「互角に見えるけれども、案外、広島の流れなのかも」と思っていた矢先の前半28分、広島がG前でファールを犯してしまいます。

FKのキッカーは、今年、レイソルに加わったクリスティアーノでした。

昨年、ヴァンフォーレと戦ったときに、痛い目を見せられた選手。当ブログでも称賛した選手が、ここでも痛い仕事をやってのけたのでした。

先制点を与える、というのは、やはり楽しいことではありません。レイソルの攻撃に、勢いが付き始めていましたし。

ただ、今日のサンフレッチェは、その危険な匂いを、2~3分で消臭することに成功しました。

ボールを保持し、落ち着きを取り戻すと、惜しいチャンスも1つ2つ作って見せました。

シバコー先生のオフサイドもその1つでした。TVの前で「あれはオフサイドだったかぁ?!」と凄んでみましたが、リプレイを見ると、確かにオフサイドでした(笑)。

5.らしさ爆発

広島の同点ゴールは、随所に広島らしさを感じさせるものでした。

左サイドからのカシッチのクロスがクリアされますが、それを拾った塩ちゃんから、右サイドのミキッチにボールが展開されます。

タイミングを見計らって放たれた左足でのクロスが、寿人が求める軌道を描き、レイソルのラインを突破してみせたのでした。

左右両サイドからの揺さぶりと、中央における寿人の駆け引き。レイソルも気を付けていたはずでしたが、正にその警戒の上を行く、見事な得点でした。

6.形は問われない

この日は実は、カープの試合もTV中継されていまして(まあ広島では当たり前のことなのですが)、2試合を両にらみで観戦していたのです。

則本の失投をエルドレッドがスタンドに運んで、この日はカープ楽天を降したのですが、その余韻に浸っていたら、ドウくんが素晴らしく泥臭いゴールを決めてくれました。

リプレイその他で観るまで気付かなかったのですが、それは青ちゃんの股抜きパスから生まれた得点でした。しかし、ドウくんのあのトラップ、あれが決定打になりましたね。

それにしても、わずか1秒程度の間に、「オッ!やった!」という気持ちと「オーマイガッ!」という気持ちと、最後の「ウォ~ッ!」という歓喜の気持ちとが、立て続けに訪れるという、ファニーなゴールでしたね。素晴らしかった。

余談ですが、夢の中でシュートを打って、目が覚めたら、多分あの体勢になっていると思います(笑)。

7.交代の効果

後半14分の所で、広島は浅野を投入。既定路線であるし、最近は早めのこの時間帯から入れてくるようになっています。

レイソルのディフェンスラインが高いので、この投入はかなり効果的だろう、と思っていました。

ただ、この日の浅野は、ビッグチャンスこそあったものの、思ったほどの輝きはなかったように映りました。

相手の研究も進んできているのでしょう。一時期のスーパーな感じではなかったですね。

一方、後半17分辺りに2人の選手を立て続けに投入し、追い上げを狙うレイソルは、特に大津の起用がキーポイントとなって、いい方向に進みました。

何といっても、動きにダイナミックさが出てきました。前半のちまちました雰囲気がこれで一掃されましたね。

この時間帯、私は、戦況が大きく傾いたとはみていませんでしたが、レイソルの右サイドからの崩しが効いていることも感じていました。

最後の所でミスがあったり、広島守備陣の粘りがあったりで、事無きを得てはいましたけれども。

8.厚み

そのとき、「DFが一枚上がってきたな!」と思ったのです。そのとたんに決められてしまいました。

レイソルの同点ゴールは、その鈴木の縦パスから、千葉ちゃんの前に入って一仕事した大津の落としを、大谷が左隅に蹴り込む、という、絵になるゴールでした。

あの位置までスルスルと走り込んできた大谷の動きに、広島はまるでついていけませんでした。

やはり、見えない位置から誰かが攻め上がる、そしてその選手を使ってあげる、というようなことをすると、得点は生まれやすいですよね。

さすがにレイソル、その辺りの勘所はつかんでいました。

9.強かに押し切る

広島にとっての2失点目は、結構ダメージが残る取られ方だったと思われます。球際も何も、あれだけいとも簡単に中央を破られるとは…

レイソルの勢いを加速させることにもつながりそうでしたし、不安はよぎりました。

しかし、この日の広島は、失いかけた流れを離さない強かさがありました。

勝ち越しゴールは、失点の2分後でした。

左CKから、ドウくんが競り勝ち、中に落としたボールを、レイソルの選手が自ゴールにクリアしてしまったのでした。

あの鈴木のプレーは止むを得ません。背後には浅野もいましたし、クリアにいくのは当然です。

ここはドウくんの強さを褒めるところでしょうね。

試合は2-3。アウェーの広島が粘り強く、勝ち点3を手に入れました。

しかし、どちらが勝ってもおかしくない、非常に面白く、いい試合だったと思います。

10.進化の余地がある柏レイソル

この日もホームでの勝利を逃した柏レイソルは、1試合少ないながら、15位の地位に甘んじています。

ヤフコメあたりには、またぞろ口の悪い連中が湧いて出ておりますね。

曰く、「ネルシーニョがよかった」とか「吉田はクビにしろ」とか。

思うように勝てていない現状に、苦情の一つも言いたくなる気持ちは、まあ分からなくもないですがね。

でも、この試合を観た限り、そこまで言われるほどには内容が悪くないし、悲観的にならなくても良さそうな気がしましたですね。

失点さえ少なく抑えられれば、浮上の芽は十分あると思います。

いずれにしても、まだこれからですよ。

ポゼッションサッカーについて、私は正直、こなれていないイメージがあったのですが、後半のレイソルを観て、その認識を改めました。

2点目に関しては、昨年までのベースがあったからこそのゴールという感もあります。

ですが、その土台の上に、ポゼッションの高まりが上乗せされてくれば、広島とか川崎とかとはまた違った形のポゼッションサッカーに進化しそうな気がします。

11.ゴールはまだ遥か先にある

この日は勝利した広島でしたが、浦和が着実に勝ち点を伸ばしたため、1stステージ優勝の芽は完全に無くなりました。

監督、そして選手たちは、獲れるタイトルはすべて獲りたかったでしょうから、やはり悔しい気持ちだろうと推察します。

ただ、私個人としては、そもそもステージ優勝には見向きもしていなかったので、ほとんど悔しさを感じていないのです。

(もちろん、優勝できるならする方がいいに決まってますが。)

重要なのは、11月の時点で何位になっているか、ということ。

毎試合を大事に戦い、勝ち点を積み重ねていくことに注力して頂いて、最後に一緒に笑いたい。

私はそう考えます。

すでに様々なところで書かれている通り、広島は15試合にして勝ち点30とし、1試合2点のペースに乗せてきました。

これは3年前と同じペース。そして、広島には、このペースを1年間継続させるだけのチーム力があります。

ゴールは6月にはありません! 勘違いせず、進みましょう。

12.あとがき

最近、スランプです(苦笑)。

このレビューも、6月14日の遅くに書き始め、6の途中辺りまで書いたところで気力が尽きて、中断させていたのでした。

今夜、続きを書き足したのですが、ちょっと苦労しました。言葉のチョイスに悩まされました。

あとがきにもキレがないなあ… 今宵はここまでに致しとうございます。

それでは。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。