勝負の綾は紙一重 ~横浜FM戦レビュー~

0.まえがき

時は、2015年5月10日、日曜日。

ようやく、4月29日の横浜FM-広島戦を振り返ることが出来ています。

あれから、中10日です(苦笑)。書き始めが午後3時を過ぎた辺りで、J1はすでに終了した試合もあります。

横浜FMも、新潟をホームに迎えて、現在奮闘中であります(*)。

広島もまた、昨年勝てなかったG大阪をホームに迎え、こちらは夜の試合に備えているところです。

(*)1-0で横浜の勝利となりました。

1.見逃した試合の分岐点

さて、私はあの日、用事が押してしまったために帰宅が遅れ、前半15分頃からTV観戦を始めたのでした。

もちろん、帰宅途中にも携帯で状況を注視していたので、伊藤翔の得点で横浜に先制点を許した、と知った時は、「何やってんだか」と思ったのでした。

まあ、試合も始まったばかりだし、失点したといっても焦る状況ではないから、と考え直したのでしたが…

見逃した15分間の間に起こった出来事を聞いたとき、私は何を思ったのだったか、全く覚えていないんですね。

しかし、「もし斎藤学に2点目を奪われていたら」、「もし青山のビッグチャンスがなかったら」、と後から考えると、この目で観られなかった15分間というのは、試合の結果に大きく影響した時間だったんですよね。

2.ドウグラスに成長を見た

改めて、前半15分頃の状況を整理すると、横浜の攻勢がどうやら一段落して、広島がボールを保持できている情勢でした。

この時間帯に目立ったのは、前線におけるドウグラスの強さでした。

ボールをキープしてくれていましたし、20分頃には、ピッチの中央を抜けて、カシッチのオーバーラップを待ってパスを送るなど、連携面でも上昇したところを見せていました。

なお、シバコー先生のヘッドは、中澤がギリギリの所でカバーし、得点は成らず。悪いプレーはひとつもない、見事な攻防でした。

3.ミキッチ ~想定の範囲外~

前半27分、そのドウグラスに同点ゴールが生まれるのですが、横浜にとっては、想定外の失点だったのではないでしょうか。

広島の右サイド、やや中央に寄った辺りのラインを、縦にドリブルで仕掛けるミキッチ。横浜のDFが2人寄っていきます。

いつものミカなら、縦に突破するか、左にカットインしていくか、その二者択一になるのが普通です。

しかし、この時のミカは違いました!

迫る2人のDFの間にパスを通したのです。受けたのはドウグラス

ファビオが足を伸ばしますが、それをうまく躱して、落ち着いてシュート。これはさすがのボンバーも止めることはできませんでした。

リプレイを見るとドウグラスがバイタルで上手く浮いていて、これも良かったのですが、何よりも、縦に突破の流れを見せながら、意表を突くパスを選択した、ミキッチの頭脳的なプレーが素晴らしかった。

これには、広島を見続けている方でも、多くの方が驚いたのではないか、と想像します。

因みに、私のメモには、「ミカらしっくないっつうか(わらい)」と書いてあります(笑)。

4.不気味な沈黙

同点になり、前半も半分を過ぎ、この辺りから、横浜の動きが全くと言っていいほど無くなってしまいます。

後半に向けて力を貯めているのかもしれない、と思ったのですが、とりあえず、守備は楽でしたね。

実際、守備の準備が出来ている時は、崩される感じは少なかったですね。

また、相手のCKで失点する気がしませんでした。

こうして、広島が主導権を握ったまま、前半が終了しました。

5.スピードが上がらない横浜

後半に入っても、流れは変わらず、広島が押し込んでいました。中盤でのプレッシャーも良かったので、あとは勝ち越し点が欲しい、という情勢になりました。

この試合を観ていて、実況アナウンサーがしきりに「横浜は攻撃時にスピードアップする」という趣旨のことを話していました。

(正確な言葉をメモしていなかったのは申し訳なかったのですが。)

今年、監督に就任したエリク・モンバエルツ氏の目指すサッカーを踏まえてのことのようです。

試合中、確かにそうした意図を感じるプレーを、横浜の攻撃から感じることはありました。

しかし、この試合では、それは前半まで。後半の横浜は、狙いの攻撃を繰り出す回数が少なかったですね。

後半15分頃、青山が持ち上がったところで、横浜がカウンターを仕掛けるチャンスがあったのですが、人数が足りなかったし、スピードもありませんでした。

逆に、そのボールを奪った広島が逆襲、ミキッチがカットインしてシュートまで持ち込む場面を作ったのです。

7連戦目の4試合目ということで、両チームとも、疲労の蓄積はあるはずでした。

そんな中、前半から攻勢をかけてきた横浜に、早く疲れが出てきたというのはあったかもしれません。

6.執念のゴール

後半18分、横浜は中村俊輔をピッチに送り出しました。

試合では初めて、アデミウソンと同時にプレーすることになったのですが、横浜としては、ポイントを2ヵ所作れたことになりました。

広島にとっては、強い警戒が必要な状況になりました。

しかし、良くしたことに、直後の後半21分、広島が勝ち越しに成功したのです。

決めたのは寿人でした。

広島右サイドからのFKがファーサイドへ。そこで、横浜守備陣が1枚多く競りに行ってしまいました。

中央で空いた位置にいたミズが、折り返しをボレーで狙ったところ、ヒットせず、ボールはGKの方へ。

ところが、GKが処理を迷ったらしく、ボールをこぼしてしまいました。

私は、「多分、中澤のオウンゴールだろう」と思ったのですが、それは見間違えでした。公式発表は変わらず、寿人のゴールが記録されました。

その得点を置き土産に、浅野と交代した寿人。

この試合で寿人にボールが渡る場面を、私は観た記憶がありませんでした。

しかし、いつもよりもシャドーがボールを収めるシーンを多く見た気がします。

寿人が、駆け引きの中で相手DFを押し下げ、シャドーのためにスペースを作ったと言えるかもしれません。

7.盤石の幕引き

リードを許した横浜は、ようやく前線の動きが出てきて、俊輔を軸に、攻勢を取ろうと試みました。

しかし、やはりスピードが上がりません。シュートまで行った場面も、観ていてあまり怖さは感じませんでした。

対する広島は、浅野に加え、カウンターのスプリントで足をつったドウグラスに代わる野津田の投入で、運動量を確保し、カウンターの脅威を加えました。

リードしたことで、オープンな展開を作る必要もなかったので、守備のバランスを保ったままゲームをクローズさせていきました。

8.勝負の綾は紙一重

終わってみれば、広島の完勝、というイメージが残る試合になりました。

特に、私が観た約75分間は、終始、広島のペースで試合が展開しました。

ミキッチドウグラスがスーパーな活躍を見せましたし、満足度は高かったのです。

しかし、最初の方でも書きましたが、もし、2点リードを許してしまっていたら、森保監督の談話通り、試合は横浜がコントロールしたでしょうし、全く違った展開になったと思います。あるいは、3-0、4-0といったワンサイドゲームになってしまったかもしれません。

最初のY字路で右に行くか、左に進むか。大きな意味を持つ、立ち上がりの勝負でした。

9.あとがき

白鵬が敗れるという波乱を横目に見ながら、このブログもあとがきまで来ました。

時刻は推して知るべし(笑)。

J1第11節も、広島-G大阪戦を除いて終了しました。

下位チームの奮闘が目に付いた今節。J1は混戦の度を増していますね。

今日の試合は、明日の予定の都合で、BS劇場で観戦します。

スタメンも発表になりましたし、私もメモの用意などしなくてはなりません。

仙台戦のレビューを何とかしたいのですが、まずは今夜の試合に集中です。

いい試合になることを願います。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。