注目の多い開幕戦 ~甲府戦レビュー~
0.まえがき
2015年3月7日。待ちに待ったJ1リーグ戦が開幕しました。
2ステージ制については思うところもありますが、厳しい戦いを続けるサンフレッチェを応援する気持ちは、レギュレーションがどうであろうと、変わりません。
今年も、Jリーグは存在し、私もこうしてレビューを書くことができます。
また、これを楽しみにして下さっている方もいらっしゃいます。
そういう諸々に感謝しつつ、開幕戦をレビューしていきます。
1.試合前の個人的なバタバタ話
12時過ぎまで寝ていた私は、昼食の後、遅めのシャワーを浴びながら、「サポーターとは何ぞや?」みたいなことを考えていました。
そして、部屋に戻って時計を見たら、午後1時57分!
メモの用意はできていません。
しかも、テレビをつけたら、なぜか、ガンバ長谷川監督のインタビュー!?
今日、広島地方はNHK総合で生中継されるはずではないの?
もしかして102? 違うなあ… まさか開始時刻が遅れたとか? いや、そうではないようだ…
いったいどうなってんの???
どうやら、G大阪-FC東京戦を中心に据え、他の試合は、例えば、広島-甲府戦は、地元である広島と山梨ではそれを放送する、という形だったのですが、まあ、焦りましたね。
スタジアムに居ればこんなことは起こらないわけですが、ただいま、住民税滞納中なもんで(苦笑)、しばらくは勘弁して下さい。
2.注目のメンバー構成
前置きが長いわ!と自ら突っ込んでおいて、本題に入ります。
キャンプ中からメンバー入りの争いが充実していて、前日の練習でも火花が散っていたとのこと。
この日のメンバーが、それをどのように反映しているのか、大いに気になりました。
主力が抜け、最も注目されたシャドー枠は、事前情報の通り、森崎浩と浅野に落ち着きました。
また、新戦力のドウグラスや佐々木、さらに宮原といったところがベンチ入り。
特に佐々木は、ソッコ君の枠をしっかり確保しました(微笑)。
一方、チームへのフィット感に苦戦が伝えられた工藤や、悩める2年目の皆川は、残念ながらベンチ外に。
無論、彼らもいずれは、戦力として必要とされる時が来るはず。
捲土重来を期して欲しいところです。
3.「ザ・広島」健在なり!
相手が守備的傾向の強い甲府であることもあって、広島が立ち上がりから主導権を握る情勢、のように見えました。
が、甲府としても、当面はそれでOKだと思われ、流れをどちらが奪うのか、その行方はまだ見えなかったのです。
そんな時でした、いきなりクライマックスが訪れたのは。
前半9分頃、甲府FWアドリアーノが、森崎カズのチャージで倒れた際、ボールを抱え込んでしまい、ファールを取られました。
その判定を巡って、甲府サイドに「あれはカズのファールじゃないのか?」という不満があったか、一瞬、空白の時間が生まれたようでした。
その間隙を突くように、青ちゃんからのパスが一閃!
当然、寿人がこの機会を逃すはずもなく、今期のJ1第一号ゴールがここに記録されました。
あの堅守を誇る甲府から、この形で得点を奪ったことに、非常に大きな価値がある。私はそう感じたのでした。
4.セルフジャッジ
なお、カズのチャージは、コンタクトの時は横から入っているように見えた(※)ので、一応正当という判断になったんでしょうが、カズがファールを取られてもおかしくなかった、とは思います。
但し、それを判断するのは、あくまでも審判。
アドリアーノが相手のファールと決めてしまったために、試合の趨勢を左右する得点が生まれる結果になってしまったのでした。
セルフジャッジの罠、恐るべし。
(※)今日の試合は、録画しながら観戦したのでした。よって、気になる所はリプレイして確認しています。客観的に見ているつもりですが、あくまでも私個人の意見であることは言わずもがなです。
5.おなじみの光景
先制した広島は強い。
甲府の広島DFへの圧力がさほどではなかったこともあり、得点後の時間帯は、広島が余裕を持ってプレーしている印象がありました。
そして、無理をする必要がないので、中盤より後方でビルドアップを行う作業が増えてきました。
前半25分ぐらいから試合を見始めた人はつまんないだろうなあ、と思いました(笑)。
もっとも、甲府の反撃も、アドリアーノに渡った時に多少怖さを覚えるぐらいでしたが。
こうして、明らかに広島ペースのまま、前半が終わりました。
6.前半の気付き
・2シャドーが、左右のポジションをしょっちゅう入れ替えていた。(浅野が左サイドにいるのは、私には新鮮でした。)
・寿人は、クロスのスルーが多かった。(もちろん、狙いのプレー。ヘディングが下手だったわけではありません。)
・ミカは、切り替えしてカットインばっかりやん(笑)。(縦に入り込んでのクロスは1~2回だったはず。)
7.浅野に注目してみた
今日がJリーグの開幕戦としては初スタメンだった浅野。(ちなみに、開幕前の公式戦ではスタメン経験があります。)
スピードを生かしたドリブルは、前半の前半ではアクセントとなって、攻撃面で有効でした。
しかし、やはり連携やパス回しの部分では課題が残る現状ではありますね。
後半の立ち上がりは、その辺りを考えながら観ていました。
そして訪れた、J初ゴールのチャンス。
パスを受けてからの動きが俊敏なのは彼の持ち味で、いいシュートを打てたが、キーパーの好セーブに遭いましたね。
その後、「浅野の初ゴール、成るか?」に注目して見続けましたが、後半22分、ドウグラスの投入と引き換えにベンチへと向かいました。
なお、あのレモン系の蛍光色のスパイク、目立っていていいですね。
結果を出して、周囲の注目を浴びられるようになったら、トレードマークとして誇れるようになるかも。
8.ドウグラスに注目してみた
試合は、後半20分を過ぎてきました。
ここまで状況は変わらず、広島ファンとしてはわりあい安心して観ていられる部類でした。
(ただ、後半6分に崩された場面は「やられた!」と思いましたが。)
しかし、追加点を取って、より楽な展開に持ち込めれば尚良いわけです。
そんな期待を背負って、いよいよ、ドウグラスの登場となりました。
実は、ドウグラス選手を見たのは今日が初めてでした。そのため、私は、自分が大きく勘違いしていたことを知りました。
体格的に、ピーター・アーツみたいな感じをイメージしていたのですが、実際に見ると、アーネスト・ホーストとかレミー・ボンヤスキーみたいなタイプだったんですね。
本当は、マラソンのドス・サントス選手(かつてのメダリスト)に似てるな、と思ったんですけども。
例えがサッカー選手じゃなくて申し訳ない(笑)。
とにかく、彼の投入に「おっ!!!」となったのです。どんなプレーをするのかと、楽しみにしていたところ…
左サイドでミズのパスを受けるや、中央に向かって進み、バイタルの浩司にいったん預けます。
そのまま走って右サイドに進出、リターンパスを受けてシュートまで持っていきました。
このファーストプレーで、私は一気に、彼のファンになりました。
その後も、自らのシュートや、中盤でのゲームメイクなど、持ち味を発揮してくれました。
また、守備も献身的に行うし、周りとの連携が取れるのもいい。
そして何より、少々強引でもゴールに向かうプレーがいい。
ハッキリ言って、これまでサンフレッチェのシャドーには、彼のようなプレーが欠けていたと思います。
石原直樹はまだアグレッシブな方でしたが、洋次郎には、明らかに不足していました。(他の長所でそれを補っていたわけですが。)
そういう意味で、ドウグラスのプレースタイルは、広島にとって得難いピースになるのではないでしょうか。
もちろん、今後も上手くいくという保証はありません。
今日は後半の登場で、スペースがあったことは有利に働いたでしょうし、アグレッシブ過ぎてカードを乱発させやしないか、という不安を感じたりもします。
しかし、今日を見た限り、これからもなかなかのものを見せてくれそうな予感と期待があります。
楽しみです。
9.佐々木に注目しようとしてみた
後半30分辺りからは、ドウグラスショックで、メモを取ることを忘れて見入ってしまいました。
もうメモを取らなくても諸々覚えていられるだろう、と思ったからでもあります。
でも一応、録画を早送りして確認してみましたが(笑)、この時間帯は、ブロックを敷いて守備的にやるのではなく、2点目を狙って積極的に動くことを、確実に遂行していましたね。
そんな中、後半42分、甲府から新加入の佐々木が投入されます。
どこに入れるのかな、と思いましたが、同じ元甲府のカシッチとの交代でした。
戦術的な交代であることは明らかなのですが、私は、両チームのサポーターに対する顔見世の意味があるかな、とも思いました。
その佐々木、実質5分間の出場ということで、注目しようとしたのですが、ほぼ目立つことはありませんでしたね。
しかしながら、唯一の見せ場が、投入直後の得点のシーンというのがいいじゃないですか。
10.新しい武器を手に入れた
2点目のシーンを時系列に記すと、「ミカのクロスを甲府DFがコーナーに逃げる→佐々木投入→浩司のコーナーをドウグラスがゴールに押しこんだ」という流れになります。
ミズと佐々木がニアに走り込む背後を、少し遅れて中央に入り込んだドウグラスがヘディングを決めたのですが、おそらく、こうした形は、練習の中で研究してきたものだと思いますね。
そういう意味で、この得点は、ドウグラスの技術が光るのはもちろんですが、チームの力で生み出したものであるとも言えるでしょう。
それにしても、出場早々、ボールに触ることなく、事実上のアシストを決めてしまう佐々木翔。やりますねえ。
森保監督も評価したようですが、新戦力が早速、結果を見せてくれました。心強いですね。
余計なことですが、甲府のDFが佐々木を意識しすぎた、ということは、多分ないでしょう(笑)。
11.まずは快勝
相性の悪さから心配された開幕戦でしたが、ほぼ試合をコントロールし、甲府の良さを出させなかった広島の完勝に終わりました。
昨年までの布陣をベースに、新戦力がかみ合って、まずは思い通りの一歩を踏み出すことができました。
12.評価保留
この試合、当初は、広島のフォーメーションや戦い方を注視しようと考えていました。
昨年、導入しようとして失敗に終わった、前から圧力をかけてショートカウンターを狙う、というオプション。
今年のキャンプでも取り組んできたと聞いていましたし、実践の中でどの程度表現されるのか、楽しみだったんです。
ただ、今回は、開始10分で先取点を奪うという展開になったことで、無理やり前から行く必要が少なくなったため、そこまで顕著には表れなかった印象です。
新オプションの評価は、次節以降に持ち越すことにします。
13.2シャドー問題に注目してみる
激しいレギュラー争いの中、抜けた2シャドーのポジションに、浩司と浅野が起用された今節。
浩司はセットプレーのキッカーとして、浅野はスピードとドリブルで、特徴を発揮させようとしていました。
ただ、コンビネーションという観点でみると、まだまだ改善の余地が大きいかな、という印象です。
特に浅野の方は、実働年数が少ないこともあって、かみ合わないシーンが目立ったですね。
この内容を見て、直樹や洋次郎の存在の大きさを感じた向きも多いのではないか、と推測します。
とはいえ、いなくなった選手と比べて、今いる選手のことを非難したり否定したりするのは、ちょっと違うんじゃないかと、私は思うわけです。
出場できなかった野津田や宮原、工藤といった面々を含め、シャドーの選手たちはそれぞれの持ち味があり、タイプも違うので、様々な組み合わせが考えられます。
レギュラーが固定されていた去年までよりも、バリエーションという点では明らかに多様であると言えますよね。
今はカオスですが、伸びしろが大きいことは間違いないですし、ここはポジティブに期待しておくのがいいと思います。
14.やはり塩谷は注目に値する
最後に触れたいのですが、この試合、塩ちゃんの積極性が、これまで以上に目立ったのではないでしょうか。
最初の攻め上がりが前半1分ですよ(笑)。
その後も何度も攻めあがっていたし、セットプレーでも奮闘していました。
そして特筆すべきは、ボールを失った後の切り替えが素晴らしい。
帰陣の速さやクリーンな守備も健在で、本当に頼もしかった。
(カードを受けたとはいえ、危険な位置でのファールではなかったので良しとしておきます。)
こんな選手が、最長5年間も広島にいてくれようとしているんですよね。嬉しい限りです。
15.やはりできれば優勝する方がいい
ついでにグチを。
Jリーグタイムでは「3試合続けてどうぞ」と言われ、すぽるとではマルカトーレさんが担当。
共に「前年8位」の扱いをされてしまいました…
一度優勝を味わうと、次もそれを味わいたくなる。
かつて寿人が語った言葉を、改めて実感した夜でした。
16.あとがき
久しぶりのレビューは、メリハリに欠けてダラダラしてしまったかもしれません。
事実、夜の部と朝の部に分けて書いてますからね。
長いのは前置きだけではなかった(苦笑)。
今後、書きながらリハビリしていく感じになっちゃいそうです。
まあ、開き直るわけではないですが、そんなこんなを含めたありのままで、私のブログは成り立っています(微笑)。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。