【ナビスコ杯】面白く、恐ろしい試合だった。 ~決勝戦レビュー~

0.まえがき

試合が終わって2日経ちましたが、今、この記事を書こうとしていても、まだ気持ちがわさわさしています。

1.結論のようなもの

ゲーム終了の笛が鳴って、少し経って、最初に思ったこと。

ガンバは強かった。

これは、スポナビブログで1時間だけ掲載され、短すぎて非表示にされてしまった、幻の記事の中で書いた言葉の、ほとんど全部です。

リードを許してからは、メモを取るどころではなく、諦めそうになる心を叱りつけながら、完全に応援モードに入っていました。

結果、負けてしまい、悔しさはもちろんあったのですが、あそこまで後半、完全なサッカーをされてしまっては、却ってサバサバできたというか、素直に相手を褒める気持ちになれましたね。

とはいえ、後半こそダメージを受けたけれども、広島の良さも随所に見せてくれたと思うんですよね。

ここからは、試合を振り返りながら、色々と書いてみることにします。

2.圧力で上回る

広島のスタメンは、直近の大宮戦と同じメンバーでした。待望のカズがベンチ入りしましたが、スタメンでの起用は自重した模様。

対するG大阪は、J1第23節の対戦時に守備面で貢献した佐藤晃大ではなく、パトリックをスタメン起用してきました。

この起用がどう出るか、それと、何となく阿部が怖いなあ、などと考えていました。

フジテレビの実況席は、解説に清水秀彦氏と宮本恒靖氏、実況には中村光宏アナウンサーという放送体制でした。

みつくんはおそらく、こういう大舞台の実況は初めてなのではないでしょうか。

応援する気持ちがありました。

試合の立ち上がりは、広島の攻勢と圧力が目立つ展開になりました。

開始早々、洋次郎のシュートで狼煙を上げると、寿人がポスト直撃のヘディングシュートを放つなど、ガンバゴールを脅かしました。

一方、ガンバがボールを保持すると、前から激しくプレスをかけ、自由にプレーさせませんでした。

ガンバのミスが散見されたのも、この時間帯でした。

3.PK ~江戸の敵を埼玉で~

10分辺りから、ガンバも徐々にリズムを取り戻してきたように見えました。

ラインが下がりそうなところを、青ちゃんが声をかけて上げるように促す姿もありました。

しかし、ペース自体は広島が握ったまま、迎えた17分頃、微妙な判定ながら、ガンバに自陣エリア内でハンドの反則が取られ、広島がPKのチャンスを迎えました。

キッカーは寿人。FC東京戦で権田に阻まれたあと、初めて迎えるPKキッカーの役目。相手は、日本代表に選ばれたばかりの東口。

不安もよぎった私でしたが、ここで一発、念を入れ直して気を送りました。

その甲斐があったのかどうかは分かりませんが、寿人の蹴った勢いが、東口の手を弾き、見事、ゴールに突き刺さりました。

4.広島らしい2点目

思わぬ形で失点したガンバは、それでも、スペースを使う動きで立て直そうとしてきました。

しかし、まだ、広島からペースを奪い取るほどではなかったようです。

この時間帯も、広島は中盤でチェックに行けていたので、大きな綻びはありませんでした。

そして、35分、広島に追加点が入りましたが、いかにも広島、というような、素晴らしい展開でした。

青ちゃんのサイドチェンジから、ギシさんが勝負。クロスに対するクリアが直樹の下にこぼれ、これをシュート。

最後は、ポストの跳ね返りを、詰めていた寿人が決め切りました。

この場面、確かに、相手のクリアミスが間に挟まってはいますが、そのボールへのアプローチは直樹が一番だったし、寿人のポジショニングもさすがというべきでした。

そもそも、ギシさんがクロスを上げた時、ガンバ岩下の背後には、しっかりと洋次郎が入り込んでいました。

青ちゃんの視野の広さといい、攻撃の厚みといい、広島の良さがハッキリと現れたゴールだったと思います。

5.ターニングポイント

首尾よく、2点のリードを得た広島。

しかし、その3分後に、ガンバが息を吹き返す1点が生まれました。

そして、この1点が、ガンバ優勝へのターニングポイントになったのでした。

左サイドに流れた遠藤が上げたクロスに、パトリックが完璧なヘッドを合わせたのですが、この遠藤のポジショニングが、広島の歯車を狂わせてしまったんですよね。

あの青ちゃんが、「何でそんなところにいるの?!」と混乱してしまったそうですから。

前半が2-1で終了したとき、私は、「もしかすると2-0で終わるよりは良かったかもしれない」と思いました。

もし、後半に入って2-0から失点してしまったら、立て直すことが難しくなるかもしれない。

ならば、1点差に迫られた今、ハーフタイムで修正できるなら、その方がいいのではないか、と。

試合後の選手談話をひと通り読んだ今となっては、何と浅はかな考えだったんだろう、と思います。

6.同点

後半に入る所で、ガンバは明神を下げ、大森を投入してきました。

過去の広島戦で上手くいったダイヤモンド型の中盤から、ガンバ本来の形に直した、ということでした。

そして、狙いとして、サイドを軸にボールを保持しつつ、パトリックへのボールも交えながら、広島の弱点を突かんとしていました。

広島は、DFラインを高くキープしようとしますが、中盤でプレスがかかりづらい状況になったため、逆に裏を狙われる形になってしまいました。

特に、パトリックがその役割を完遂しました。

ガンバの波状攻撃を受ける中、林がビッグセーブを2本続けるなど、何とか持ちこたえようとする広島。

しかしついに、宇佐美のクロスから、再びパトリックに頭で決められてしまいました。

7.力尽きる

どんなスポーツでも、力が互角なら、気持ちが強い方が、より勝利に近付けるというもの。

同点にされてからの広島は、チーム全体が動揺を隠せなくなったようでした。

ミスが増えましたし、ガンバのプレスに、クリアが精一杯になっていました。

私は、この時間帯、まだ負けているわけではないんだし、ゆっくり落ち着いてボールをキープしていけば、立て直すチャンスはある、と考えていましたが…

後半26分、交代出場の大森が、決勝ゴールとなる3点目を決めましたが、この場面、広島守備陣の動きが、完全に固まってしまっていました。

ギシさんが傷んでいた不運こそありましたが、それで集中力を自ら削いでしまったように見えて、観戦者の立場としては、とてもやりきれない失点でした。

8.あとがき

いつものレビューなら、試合経過をたどった後は、トピックス的な内容を書き足して、時々、皮肉のひとつも言ったりして、記事を終えるのですが、今回は一旦、ここまでとします。

夜ももう十分遅いですし、ある意味、私も力尽きました。

ただ、この試合について書きたいことは、まだまだいくつもあります。

幸いというか、Jリーグも中断期間に入っています。今日の続きは、また日を改めて書こうと思います。

お休みなさい。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。