サッカーは90分で出来ている ~名古屋戦レビュー~

0.まえがき

久々に、天候の心配をしなくて済んだ、昨日、2014年10月18日。

気温も17.3度と、さわやかテイスティー

中3日が続く3連戦の初戦を、好天のビッグアーチで迎えました。

相手は名古屋グランパス戦。9月以降はまずまずの好成績で、降格の危機からは脱した形になっています。

広島との勝ち点差は3。今日の結果で、順位が入れ替わる可能性がありました。

もとより、下に見ることは出来ない相手。楽しみな一戦でした。

NHK広島で生中継してくれるということで、広島ローカルだったとは思いますが、ともかく、久々に地上波でJリーグを観戦することができました。

解説は木村和司氏。

なお、今回はPCで録画しながらの観戦でした。

※予告しておきますが、今回は長いのです。そのつもりでお読み下さい。

1.化学変化に期待の両チーム

代表組の塩ちゃんとミズがチームに合流し、3バックは久々にベストの布陣。

故障が心配されたカシッチも、大きな問題はなかったようで、スタメンに名を連ねました。

逆に、ミカとカズは故障癒えず、ベンチ外になりました。(ミカはナビスコ決勝も微妙な感じですね。)

ベテランを欠くことになりましたが、ベンチには野津田&浅野という2年目コンビが席を占めましたし、現状のベストメンバーと言えましょう。

一方の名古屋ですが、こちらも、緊急招集ながら代表デビューを果たした田口が復帰しました。

レドミ欠場は痛手でしたが、途中加入の川又がチームにフィットして、結果を残しているということで、「厄介な相手だなあ」などと思っていました。

ブラジル戦で世界の壁を痛感した若き代表選手たちが、チームの中でどのような化学変化を生み出せるか。

そんな見所もありました。

2.喝を入れられる

前半5分頃の話。

CKの競り合いで高さ負けしない林や、縦に仕掛けてコーナーを取るギシさんのプレーに、「さすがだなあ」と感心していたところ、ショートコーナーから奪われてカウンターを受けてしまいました。

危なかったが、最終的に、永井がシュートに行けずにこねてくれたので、何とか掻き出すことができました。

カシッチが対応したものの、わずかに遅れてはいたので、あのままシュートを選択されたらどうだったか。

結果論ですが、正直、助かりました。

3.ペースは名古屋に

立ち上がりから、広島は、ブロックを形成しながら、裏への意識を出している印象でした。

しかし、ボールを保持してはいるものの、サイドチェンジなどの大きな展開が少なく、動きとしては硬直していた感じがしました。

一方の名古屋は、ラインをコントロールして、うまくオフサイドを取りながら、カウンターを狙う姿勢を見せていたように思いました。

また、時間とともに、サイドを制圧していったのではないでしょうか。

左サイドの本多が鋭くえぐるシーンなど、危険な攻めで広島を押し込み始めました。

また、20分頃には、名古屋のCKが4本続くなど、名古屋の攻勢が続きました。

広島にとっては、耐える時間帯。

ただ、CKの連続でピンチなのですが、なぜか私は、やられそうな気がしなかったんですよね。

なぜだろう… 未だによく分かりません。

前半の前半までを観た印象では、名古屋の4バック+2ボランチの布陣が機能していました。

守備の意識が高く、切り替え(帰陣)も早かったですね。

広島としては、遅攻だけでは崩すのは難しい状況でした。

4.チームの持ち味、選手の持ち味

今回見た限り、名古屋の攻撃には、CFの川又に当てていくところと、サイドからの崩し、そしてカウンターと、比較的シンプルに、早くゴール前にボールを運ぼうという意識が感じられました。

この辺り、実況&解説に引っ張られてそう思ったのかもしれないのですが(苦笑)、でも実際、名古屋のアグレッシブなプレーは目立っていましたし、カウンターもかなり効いていました。

対する広島も、攻撃面では形を作れていませんでしたが、守備面では粘り強く対応していたと思います。

特に、自らのパスをカットされて受けたショートカウンターに対して、フリーでボールを受けた永井に素早く寄せて、自由なプレーをさせなかった、塩ちゃんの対応は、その象徴でしょう。

ちなみに、永井の駆け上がりを目ざとく見つけ、そこにきれいなパスを通したのは、田口でしたね。

5.田口

名前が出たところで、ここで、田口のことに触れておきましょう。

田口のプレーをきちんと見たのは、今回が初めてのようなものでしたが、攻撃的なセンスを持った、いい選手ですね。

やはり、代表に呼ばれるだけのことはあります。

私にとって印象的なのは、プレーするときの「姿勢」ですね。往年の藤田俊哉を彷彿とさせるような。

小笠原(鹿島)もそうなのですが、あの体勢を取れる選手は、視野が広く、プレーの選択肢が多いですね。

ブラジル戦ではかなり痛い目に遭いましたが、まだ23歳。日本代表として、これからの伸びしろに期待していいと思います。

6.後半へ向けて

試合に戻ります。

35分を過ぎた辺りから、高萩が下がり目の位置でボールを受けるようになり、徐々に、広島がペースを戻しつつあるように思われました。

そして、40分頃からは、ほぼ広島がボールを保持するようになりました。

わずかなパスのずれからピンチを招く場面もありましたが、FKのピンチも事なきを得て、ここで前半終了となりました。

前半のATはわずか1分。試合が止まらずに流れた証拠であり、攻防が続く好ゲーム、という印象でした。

但し、前半は名古屋ペースで推移しましたね。

後半の展望としては、

・名古屋のスタミナ

・広島の左右への揺さぶり

がカギを握るかな、と思っていました。

7.激変

「(後半は)走る、戦う、泥臭くやる」「(得点を取るために)相手より走るということ、球際で勝つという所、シュートで終わる」

後半開始直前、森保監督がインタビューに答えて語った言葉です。

聞き慣れたコメントなのですが、昨日の試合では、特に説得力がありました。

正にその通りだと思いましたね。

とにかく、前半は動きに乏しかったですから。

パスは回っていましたが、効果的な崩しは少なかったですし。

名古屋も守りやすかっただろうと思います。

さあ、監督の言葉を受けて、選手たちがどう変わるのか、が注目された、後半の立ち上がりだったのですが…

見事に変わってくれましたね。

前半よりも確かに動けていて、パスをもらう顔出しの動きや、カウンターを受けた時の帰陣の速さに、それを感じ取れました。

8.カタルシス

後半13分、広島に待望の先制点が生まれ、増田に「ゆりかご」のプレゼントが送られました。

私は、どういう流れでそうなったのか、追い切れなかったのでした。

そこで、録画を再生して、流れを追ってみたのです。

フリーの柴崎がピッチ中央を持ち上がる所から、その得点は生まれました。

というのも、トゥーリオのヘディングでのクリアを矢田から奪ったのが、柴崎だったからです。

つまり、その位置の高さが、このゴールでは重要だったのでした。

その奪ったボールを、青ちゃんがサイドのギシさんに展開し、彼のクロスがその青ちゃんに。

(このクロスで、ダニウソンと田口が無力化させられてしまいました。)

青山、高萩、寿人と決め切れず、ヤキモキしたところを、最後は石原!

正に真打登場、といった感のあるゴールで、ようやく、試合を動かすことに成功したのでした。

この瞬間、ゴールエリア付近に5人の選手が位置取りをした広島。

柴崎の押し上げが、全体の押し上げを生み、ゴールに結びついたと言えるかもしれませんね。

9.全くムダの無いゴール

そして、2分後に、2点目が生まれます。

カシッチの粘りから、こぼれたボールに石原が反応して、洋次郎にパス。

ワンタッチでディフェンスの裏へ送った優しいボールが、寿人のヘディングシュートに結び付きました。

中野和也さんも見直して確認したそうですが、私も真似して確認してみました(笑)。

本当に今しかないタイミングでの、寿人の飛び出しでした。さすがですね。

録画を確認してもう一つ気付いたのは、石原がパスを出した瞬間に、青ちゃんがゴール前に向かって走り出していることでした。

寿人のシュートに対してもしっかり詰めていました。隠れたファインプレーですね。

(因みに、カシッチはオフサイドの位置にいたので、反応しませんでした。これも好判断かと。)

10.PK

後半21分、広島のCKからの流れで、名古屋ダニウソンが足を高く上げてしまい、それが石原にヒット、PKとなってしまいました。

それを、ミズが決めて(今季初ゴール)、3点目を獲得しました。

あの場面、石原が先に場所を占めていましたので、ダニウソンへのカードは当然で、PKの判定も文句のないところだと思います。

また、すでに1枚イエローカードを受けているという状況で、あのプレーを選択したことに対しては、軽率だったとしか言い様がありません。

非常に勿体無いファールでした。

さて、2枚目のイエローで退場処分となったわけですが、このことにより、1枚目のイエローがクローズアップされることになりました。

要は、後半9分のカードは不当だという意見があるということなのですが、どうなんでしょうね。

ただ、あの場面で、高萩とダニウソンに何が起こったのか、私には分かりませんでした。

テレビでのリプレイや録画を見て、後で確認することはできましたが、リアルタイムでは分かりませんでした。

したがって、もしも私が主審だったら、カードを出すか否かは別として、やはりファールは取ったかもしれません。

ちなみに、公式記録は、1枚目のイエローは「反スポーツ的行為」によるものだということです。(『Jリーグ公式サイト』より。)

11.サッカーは90分で出来ている

後半37分、石原が、もらったPKをそのまま決めて4-0。

以後、名古屋の反撃をゼロに抑えて、リーグ戦では4試合ぶりの勝ち点3を獲得することができました。

広島の試合をウォッチしていてよく思うのは、「サッカーとは、90分間トータルで見なければいけないスポーツだなあ」ということです。

今日の試合を観戦して、そのことを、改めてつくづく思わされました。

監督自身が言及していますが、この試合、名古屋の時間帯に1点でも入っていれば、今日の勝利はなかったかもしれません。

しかし、それをどうにか我慢して、無失点のままで広島の時間帯を迎えられたから、今日は勝利できたのでしょう。

我々、観る側の人間も、90分間、我慢して試合を見届ける習慣を、つけるべきなのかもしれませんね。

12.第一目標達成

思うように勝ち点を伸ばせずに苦しんでいた広島でしたが、これで勝ち点を42として、最初の目標である40を突破させることに成功しました。

次節にもJ1残留を確定させる可能性が出てきましたし、6連敗でもしない限り、降格は免れそうな情勢にはなりましたね。

まあ、まだ何も決まっていないので、喜ぶには早いですね。

13.連戦を前向きに

最初にも書いた通り、今は、中3日が続く3連戦の真っ最中。しかも、アウェーが2試合続くということで、体力的にはハードな日程ではあります。

また、次節は実力のあるFC東京ですし、その次は鬼門の日本平で、残留に賭ける清水と対戦、ということになれば、尚のこと、大変です。

そして、怪我人の状況も気になります。特に、途中交代でOUTした千葉ちゃんの現況がどうなのか、大事ないのか、非常に気にかかります。

そんな時に拠り所となるのは、ここまでに積み重ねてきた経験に他なりません。

ACLとの並行で、苦しい日程をこなさなければならない時も、怪我人が多くてメンバーが揃わなかった時も、チームが一丸となって、穴を埋めながら、ここまで乗り切ったわけですからね。

次節はおそらく、AFC U-19選手権を(残念ながら)終えた宮原と川辺が出場可能になると思います。(今日、帰国したそうなので。)

シオ&ミズと同様、世界を戦い敗れた悔しさを胸に、レギュラーを虎視眈々、狙っているでしょう。

チーム内でいい競争をして、いい準備をして、残りの試合を戦い抜いて欲しいと思っています。

14.あとがき

今まで、試合を録画しても、後で見直すことなどほとんどなかったのですが、今回、それをやってみて思いました。

これ、結構いい勉強になりますね!

リアルタイムでは見逃してしまうような事実が色々と分かって、面白かったです。

あと、長くて済みませんでした。

(書いているうちに、日付も変わってしまいました。)

最後までお読み下さった皆様、本当にありがとうございました。