塩ちゃん試合(?) ~神戸戦レビュー~

0.まえがき

一進一退が続く、最近のサンフレッチェ

9月27日、エディオンスタジアムヴィッセル神戸を迎えました。

前回の対戦は5月3日。ACLとGWの連戦真っ只中の試合で、見せ場少なく、スコアレス・ドローに終わっています。

今回の結果や如何に?

NHK-BSにてTV観戦。解説は山本昌邦氏でありました。

1.変化

スターティングメンバーに、ケガから復帰の浅野や、久々寿人、ツインズ浩司を入れ、前3人をそっくり入れ替えた森保監督。

(実は不覚にも、実況で聞くまで気付きませんでした。)

石原がベンチ外になったことに少し驚きましたが、考えてみれば、故障明けで、中2日で行われた2試合をほぼフル出場したのでした。

今後のことを考えての休養ということなのでしょう。

この中で私が注目したのは、若い浅野の起用でした。

ドリブルで仕掛けることができ、スピードがあり、裏への抜け出しに期待できる。そんな思いでした。

2.スペース・その1

5月の試合でもそうだったのですが、神戸は、広島のビルドアップに対して、前から圧力をかけてきました。

ただ、立ち上がりの5分を終え、広島に余裕があるように、私の目には見えました。

そして、前半15分までの評価は、展開は互角だと思いましたが、広島の選手が相手の間のスペースに入り込んで、パスコースをうまく作れている印象でした。

試合後に分かったことですが、これは神戸・安達監督の指示に理由がありました。

ピッチを広く使って攻めるという意図があったが、選手間の距離が離れてしまった(ワイドに広がり過ぎた)のでした。

「いつものようなパス回しができなかった」(安達監督談)とのことですが、広島にスペースを与えてしまった、という悔いもあったのだと思います。

結局、スペースをめぐる広島の優位性は、前半の間中、維持されることになります。

3.ペース・その1

前半の神戸は、攻撃面の迫力を欠いていましたね。

前述の距離感の問題もあって、コンビネーションで崩す場面が少なかった。

正直言って、森岡にボールが渡ったときにしか、怖さを感じませんでした。

それも、周囲との連動を欠いていたので、個人で突破口を開くしかなく、怖いといっても、自ずから限度がありました。

広島としては、比較的守りやすかったのではないでしょうか。

前半の広島は、ボールポゼッションで上回り、チャンスも数多く作っていました。

ただ、ゴールを奪うことはできず、ハーフタイムとなりました。

4.浅野

ここまでの時間、浅野のアグレッシブさがひときわ目につきました。

ディフェンスの裏を狙う動きや、突破にかかる所、随所に持ち味を発揮し、プレーをアピールしていました。

特に、青ちゃんの縦パスをワントラップして素早くシュートに持ち込んだあたりは、彼の真骨頂でしたね。

但し、いい面しか出なかったわけではなく、パスの精度には課題があるし、枠外のシュートも多かった。

また、エリアの右サイドを突破した後、中央の寿人にパスを狙った場面がありましたが、あそこまで持ち込んだなら、シュートを狙って欲しかったですね。(パスの選択自体は悪くないんですが。)

結果的に、フル出場したものの、得点を挙げることはできませんでした。

本人は当然、悔しく思っているでしょう。その辺は、今後のモチベーションにして欲しい。

ただ、この試合の浅野は、縦横無尽にピッチを駆け回り、自らの突破はもちろん、相手選手へのプレスにおいても、有効な働きを見せたと思います。

相手の守備陣に対するジャブの効果もあったはず。

彼が、最後の場面を陰で演出した、と言えるかもしれません。

5.スペース・その2

後半に入り、神戸が、カウンター気味にチャンスを作ってきたように見受けられました。

当初は、決定的なチャンスには至りませんでしたが、後半15分辺りからは、明らかに神戸が攻勢に転じました。

広島も、卓人の奮闘やクロスバーのご加護などにより、最後のところはしのぎ切っていました。

しかし、徐々にオープンな展開になり始めると、後半26分、ついに神戸が、均衡を破るゴールを得ました。

試合後に、ユーチューブで見直してみました。

最初にセンターライン付近から縦パスを送ったのは誰だったか、それを受けて、枝村にパスを送ったのが誰だったか、私が観た映像では判別できなかったのですが(観た意味ないじゃん…)、とにかく、枝村がスペースでボールを受けました。

この場面、青ちゃんが高い位置にいて、バイタル周辺にスペースがありました。

枝村は正にそのスペースを使ったのですが、間髪入れず縦パスを突き刺したことにより、この得点が生まれたといっても過言ではないでしょう。

もちろん、そのパスに反応した小川の抜け出しや、こぼれを待つ位置にしっかり鎮座したマルキーニョスの嗅覚も、ともに素晴らしかったのですが。

広島にとっては痛い失点。ただ、これは相手を褒めるしかないかもしれません。

6.ペース・その2

オープンな展開の中、神戸の攻勢は、得点後も続きました。

もしもここで追加点が入ることになると、広島にとっては致命傷になるところでした。

しかし、塩ちゃんがカウンターのピンチを2回防ぐなど、必死の対応でしのぎました。

後方から追いかけてのチャレンジでもファールを犯さない、彼のディフェンスは見事でした。

7.スペース・その3

時間は前後しますが、失点直後の後半29分、広島は2枚替えを敢行します。

実は、浅野が目立たなくなったと思ったので、寿人がピッチアウトしたのは意外でした。

しかし、今思えば、結構理にかなった交代でした。

というのも、最後の時間帯、使えるスペースは「神戸ディフェンスの裏」ではなく「神戸ディフェンスの前」にあったのですね。

実際、交代出場の洋次郎は、広大なスペースを与えられて、まるで水を得た魚のようでした。

そして、同点ゴールへとつながっていきます。

8.おっしゃれ~

後半42分、待望のゴールは、流れるようなパスワークからのキラーパスで生まれました。

青ちゃんからの横パスを受けた塩ちゃんが、ペナルティエリア手前にいた洋次郎にパス。

塩ちゃんのマーカーだった相馬を含めた数名が寄せてくる中、一瞬、左側に視線を投げた洋次郎が選んだ軌道は、右前方!

塩ちゃんが流し込んでのゴールは、思わず「おっしゃれ~!」と叫んでしまったほどのオシャレなゴールでした。

そして、決まった直後の洋次郎のガッツポーズも、印象的でした。

中野和也氏が「これが広島だ」と言い切っておられましたが、勝手に言い換えれば、これぞ「ザ・広島」。

何も、青山から寿人へのホットラインばかりが「ザ・広島」ではありません。

サンフレッチェ・サッカーの神髄が、ここにありました。

終了間際の、青ちゃんのミドルシュートも、「ザ・広島」の資格は十分。

強烈な弾道でしたが、ここは神戸GK山本がファインセーブ。

このまま、試合終了となりました。

9.引き分け

お互いに、ゴール前でのシーンが多く、第三者的に観ている分には、十分面白い試合だったと思われます。

両チームとも、持ち味を出し合っていましたし。

ただ、ともに勝ちたかった試合だったですし、勝ち切るチャンスもあっただけに、両チームにとって痛い引き分けだったと言えます。

得点の場面を、それぞれ礼賛して書きました。が、実は浮かれ気分になっている場合ではなくて、勝ち点1にとどまったことを悔しいと思うべきなんでしょうね、やはり。

10.切り替え

今期のJ1リーグも残り8節。

浦和が敗れたとはいえ、首位との勝ち点差は15あります。野球的に言えば5ゲーム差。

また、3位の川崎との勝ち点差10も、かなり厳しいラインになってきました。

一方、16位大宮との差は13あるので、普通に勝利を挙げていく限りにおいては、降格の危険も少なくなったと言えます。

もちろん、残留を確定させるまでは安心できないのですが。

実際のところ、賞金を得られる7位以上を最低限の目標として、出来る限り上位を狙っていく、というのが、最も現実的なのでしょう。

ただ、これまで何度も書いていますけれども、優勝の可能性が残っている限りは、諦めずに追求していくしかありません。

負けたり引き分けたりした直後は、落ち込んだり怒ったりしてもいいと思います。

でも、夜が明けたら、前向きに切り替えていくしかないと思います。

11.あとがき

前半は浅野、後半は塩ちゃんが目立ったゲームでしたね。

次節は来週の日曜日。

なんか間違えそうですが、「なぜ、土曜日ではないんだろう?」という疑問がありました。

で、調べてみたんです。

「10/1 18:30 ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)-FCソウル(韓国)」

これか?!

悔しさがこみ上げてきました…

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。