勝負所の差が出た一戦 ~G大阪戦レビュー~

0.まえがき

10日の天皇杯から続く、広島とG大阪との連戦。

9月13日、J1第23節の戦いは、3日前と同じエディオンスタジアムで行われましたが、結果は0-1の敗戦に終わり、ガンバにホームで2連敗を喫することになってしまいました。

私は、敗戦が決まった直後から今まで、「すぽると!」と、J’s GOALニュースのインタビュー記事以外、メディアもブログも見ていません。

したがって、この試合がどのように評価されているか、ほとんど知らない状態です。

今日に限っては、他の方々のご意見を参照すると、自分の考えがそこに引っ張られそうな気がして怖かったのです。

いつもの通り、メモを取りながら観戦しました。

なるべく客観的な視点で書きたいのですが、どうなりますやら。

1.スタメン雑感

広島のスターティングメンバーは、予想通り、天皇杯時のベンチメンバー7名のうち6名が加わりました。

少し意外だったのは、茶島がスタメン入りしたことでした。

天皇杯でのパフォーマンスが評価されてのことでしょうが、野津田の不在(アジア大会なう・今日初戦!)も理由でしょうし、何しろ、天皇杯の敗戦に悔しい思いをしていますので、それを晴らす機会を与えられた意味もあったでしょう。

他では、カシッチがベンチスタート、宮原がベンチ外、という辺りが、少し意外に感じたところでした。

また、直樹は戻ってこなかったですね。

対するガンバは、天皇杯のスタメンが8名も残っていました。

休養十分の宇佐美はともかく、チーム全体の運動量は大丈夫なのか、と思いました。

もっとも、ドリブル得意の宇佐美がいるだけでも脅威ですし、外国人FW2人がベンチに控えるのも不気味でした。

2.前半の前半

前半の前半は、互角の戦いだったと思います。

広島は、前線からの早めのチェックで、ボール保持者に圧力をかけていました。

中盤もタイトに守れていて、まずまずの立ち上がりだったと思います。

ただ、阿部のポストに当たるシュートが表すように、少しでもチェックが甘くなると、危険な状況を作られてしまいますね。

それに、ボールを奪取するところまではほぼできていたものの、その後の展開がまだ今ひとつの感がありました。

そんな中、茶島のプレーが、広島の攻撃に大きなアクセントを加えていました。

攻撃面では、左サイドで優位に立ち、山岸の単独突破や、茶島と山岸の関係で、チャンスを作っていました。

3.勝負強さにやられる

前半の半分を過ぎた辺りから、ガンバの活力に翳りが見え始めたか、パスの精度が落ちてきて、チャンスをあまり作れなくなってきました。

広島も、中盤で相手の自由にさせないようになり、優勢をつかみ始めていました。

そんな中、均衡を破ったのが、宇佐美の勝負強さでした。

右サイドを起点にパスがつながり、球際のゴチャゴチャからこぼれたボールを、宇佐美がすばやくゴールに蹴りこみました。

佐藤の粘りも特筆ものですが、こぼれる位置を予測した宇佐美の嗅覚と決定力には、さすがに脱帽しました。

この失点後に少しバタついた広島でしたが、ガンバもそこを突き切ることはできず、このまま前半終了となりました。

4.ハーフタイム雑感

失点した広島ではありましたが、前半を通して、守備は悪くありませんでした。

攻撃面は、チャンスは作っていて、まずまずの出来ではありましたが、やや単発でした。

後半に向けては、こんなことを思ってました。

・山岸のサイドが勝てそうだったので、もっとウエイトをかけてみた方がいいんじゃなかろうか

・90分間、選手交代ができないとしたら、広島が有利なのだが(笑)

5.後半の前半

メンバー交代なしで始まった後半。

その立ち上がりは、山岸、カズ、塩ちゃん、といった後ろの選手がシュートを放つなど、厚みのある攻撃でガンバゴールに迫りました。

また、ガンバの運動量が上がらなくなり、ボール支配も広島が上回る展開になっていました。

6.功を奏した勝負手

後半17分、ガンバは、佐藤に代えて倉田を投入してきました。

佐藤を下げたことで、ガンバの前線の守備に影響があるかもしれないな、とみていたのですが、この交代で中盤をボックス型に戻したようで、この修正が、ガンバが勝利を引き寄せた要因になったのでした。

7.茶島

後半19分、広島は、茶島に代えて寿人を投入します。

この交代策については後ほど触れるとして、ここでは茶島の評価をしておきます。

正直、彼のプレーを観たことはなかったのですが、噂に聞いていた通り、小気味いいプレーをする選手ですね。

特に、前半16分頃、相手をうまくいなしてドリブルを仕掛け、裏抜けする山岸にスルーパスを出すまでの一連のプレーは、目をみはりました。

まだ凄みこそありませんが、攻撃的な姿勢があるし、鋭さを感じました。

このまま伸びて欲しい選手です。

8.不発に終わった勝負手

「寿人投入」の情報を聞いた実況アナが、「皆川との交代ですね」と、当然のごとく言ってしまったのですが、意外にも、アウトは茶島でした。

茶島が下がったことについては、私は納得しています。

天皇杯はフル出場でしたし、後半に入って、あまり目立たなくなってきた、と感じてはいましたので。

また、「茶島のところでボールを持てるのは、ガンバの中盤がダイアモンド型で、ボランチ横のスペースができやすいからか?」と思っていて、ガンバが中盤の構成を変えたので、そのリアクションなのかな、とも思いました。

こうして、ついに寿人と皆川が揃い踏みすることになったのですが、結果的に、この共演は不発に終わったと言わざるを得ないのが、つらいところです。

この2トップ、もちろん、実践では初めての組み合わせでしたが、森保監督の言葉によれば、練習でも試せなかったとのこと。

それでも「できる!」と踏んでの勝負手で、監督の選手たちへの信頼度の高さが窺えるエピソードではありますが…

今日のところは、うまく生きませんでした。

無論、ガンバがボランチを2枚にして守備面にテコ入れしたことが利いていましたし、DF陣の集中も見事でしたが。

9.後半の後半

後半も25分以降になると、広島がボールを保持してサイドから攻勢をかけ、ガンバは守りながら時おり危険なカウンターを繰り出す、という展開になりました。

ペナルティエリア内までボールを運べる広島でしたが、最後のプレーに正確性を欠き、チャンスを生かし切れないまま、タイムアップを迎えてしまいました。

10.勝負を分けた「差」

負けてしまったので、こんなことを言っても無意味だ、と知ってはいますが敢えて書くと、試合全体を通した内容では、広島の方が上回っていたと思います。

前半20分以降は、失点以外に守備での綻びはほとんど無く、カウンターにも何とか対応できていました。

宇佐美にも、さほど自由にやらせなかったと思います。

(本来の彼ならもっとできるはず。彼も、あの1点では決して満足していないでしょう。)

攻撃面でも、敵陣のサイドではほとんど勝っていたと思うんです。

それでも負けたのは、勝負の決め所を知っているか否か、知っているとしたら、それを決め切るか否か、その差が出てしまったから。

ガンバ目線で言えば、こぼれ球を確実に決める宇佐美の決定力や、中盤の構成を変えた采配の妙、終盤に押されながらも最後はやらせなかった守備の集中力。

これらが際立っていたので、全体的に劣勢でも、勝利を収めることができたのだと思います。

11.それでも前を向くしかない

23節の結果を受けて、J1の残り11試合で、首位浦和との勝ち点差は13となりました。

優勝へは赤信号がともったと言えそうです。

それでも、優勝の可能性は残っている訳で、監督もスタッフも、選手たちも、諦めることなく取り組もうとするはずです。

今後のポイントとしては、最後の精度のところをどう上げていくか、というところと、連動を精査してくこと、連携のパターンを増やしていくこと。

攻撃面での課題が多く思い浮かんできます。

また、今後、寿人&皆川という組み合わせを多用していくのであれば、まずは練習の中で試していくしかありません。

互いの連携を作り、深め、周囲もサポートする、という作業が必要です。

個人的には、かつて名を馳せた高木&ハシェックのような、大きな武器になってほしいです。

(森保監督も、そのノウハウは見てきたのですしね。)

12.あとがき

ブログでは感情を抑えている私ですが、腹も立てるし、ガッカリもします。

今日の敗戦はショックでした。怒りはありませんでしたが、脱力感はあったのです。

それで、Jリーグタイムをパスして、ジャンクスポーツSPを観ることにしました。

トークに笑い、浜ちゃんにツッコミを入れたりして、楽しみました。

そのおかげもあって、一夜明けて、平静を取り戻すことができて、この記事を書くことができました。

負け試合でも、なるべく逃げずに頑張って書いていこうと思うとります。

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。