再出発の月曜日 ~鳥栖戦レビュー~
0.まえがき
9日に予定され、台風の影響で11日に順延された広島-鳥栖戦。
好天に恵まれ、無事に試合が行われました。
今回も、スカイ・A sports+ HD チャンネルでテレビ観戦する、貧乏な私…
平日の夜にもかかわらず、1万2千人あまりの人がスタジアムに集まってくれました。
本当に頭が下がります。
なお、解説はミスター元気丸、吉田安孝氏。
さて、本題に入る前に、前回の記事について2点ほど触れさせてください。
まず、投稿当日、7千を超えるページビューを頂きました。
たまたま見たランキングで9位に入ってました。
順位を意識して書いている訳ではないので、嬉しいサプライズでした。
多くの方々に読んでいただけるのは、単純に有難く思います。
改めて、読んで下さった皆様に感謝いたします。
あと、鳥栖のスケジュールに関する記述について。
生中継の実況によると、鳥栖は9日の時点ですでに広島入りし、試合当日まで滞在したのだそうですね。
当時、手元に確定情報がなく、一応、推測の形で書いておいたので、特に訂正はしません。
ただ、読んだ方には誤解を与えたかもしれませんね。その辺は済みませんでした。
1.メンバーのあれやこれや
今回のメンバー、実は、代表合宿にいるはずだった選手が2名含まれていました。
1人目は、初めてのスタメン入りとなった宮原で、U19の招集を辞退して、今回の試合に臨んだとのことです。
国際大会の経験を積めるチャンスだっただけに残念ですが、その分、Jの試合で少しでも補いたいところ。
なお、本職のMFではなく、3バックの一角を務めることに。かつて2人の和幸さんが通ってきた道を行きます。
(そういえば、宮原も「カズ」でしたね。)
2人目は野津田で、これは順延の影響を受けたクチ。
11~13日の合宿に、12日から途中参加することになりました。
彼ら以外では、寿人がコンディション不良でベンチ外になった一方、塩谷が間に合い、ベンチから戦況を見つめることとなりました。
ということで、直樹のワントップに、洋次郎と浩司がシャドウで絡む布陣に。
アウトサイドは、右に航平、左にカシッチという、定番になりつつある組み合わせになりました。
2.期待度
直前の監督交代を受けて、頑張ってほしいという期待の声が大きかったとみえます。
私自身も、鳥栖はわりかし贔屓にしているので、いい方向に進んで行ってほしいと思っています。
ただ、勝負となれば、それとこれとは別の話。広島の勝利を願っての観戦でした。
3.安全運転
試合が開始され、5分を経過するぐらいまでは、両チームがそれぞれにチャンスを作り、惜しい場面の応酬になりました。
しかし、それ以降は、広島側から見て、いつもの前半の流れになりました。
つまり、主に後方でじっくりとボールを保持し、パスの出しどころを窺う動きですね。
基本的には遅攻志向なので、鳥栖が守備ブロックを整える時間があるわけです。
そして、広島の前線が、パスを引き出す動きをあまり見せないので、ボールを保持したまま時間だけが流れていくわけです。
まあ、チームとして意思統一ができた上でやっていることなので、これはこれで構わないのですが、もう少し縦の動きがあれば、局面を打開できそうなんだけどな、なんて思いながら観ていました。
実際、千葉ちゃんやミズが持ち上がったり、反対に、直樹がバイタルの位置まで受けにきたり、そういう動きを見せた時にはチャンスを作れていました。
こうして、前半が終了します。
4.新しいスパイスの味は?
後半のアタマから、宮原に代えて塩ちゃんが投入されました。
前半で御役御免となった宮原ですが、前方に進出する動きは少なめで、無難なプレイに終始したかな、という印象を持ちました。
それでも、つなぎのボール回しは安定していましたし、本職でない割には、守備面でもしっかり貢献できましたね。
特筆すべきは、前半4分のひとつのプレーです。
競り合いの中で宮原が足を滑らせ、左サイドでフリーになった金民友が、鋭くクロスを供給したシーンがありました。
このとき、宮原は、金にクロスを上げさせまいと必死で駆け寄り、圧力をかけていきました。
この頑張りを、中野和也氏が称賛していましたね。
最後まで諦めない、その姿勢こそ、今のサンフレッチェに最も必要なものでした。
それを見せてくれた宮原。春先よりも成長した姿を見せてくれましたね。
同期の大谷やビョン・ジュンボン、茶島などに対してのみならず、ソッコ君や、レギュラークラスの選手たちに対しても、大きな刺激になったと思います。
(ちなみに私は、転んだのが誰か分からず、頭の中が疑問符だらけだったので、ただただ「危ない!」と思うことしかできませんでした。
流石は中野さん、プロの仕事をしてくださいますね。私など、まだまだです。)
5.鳴動の予兆
さて、宮原が頑張ったことは疑いないところですが、このポジションではまだまだ塩ちゃんに一日の長があります。
積極的なオーバーラップや航平とのコンビネーションで、右サイドが活発になり始めました。
それと共に、広島の攻勢が徐々に目に付くようになってきました。
一方の鳥栖の動きですが、私は、迫力に欠けるような気がしていました。
「鳥栖ってこんなだったっけ?」
ただ、そう思った矢先に、失点覚悟の大ピンチが広島に訪れるのですね。
後半17分頃、森崎カズが倒れたままになってしまい、それに気を取られたか、広島のパス回しがやや緩慢になったように思いました。
そこを、鳥栖の強烈なプレスに遭い、ボール奪取されて大ピンチになりました。
豊田の強烈なシュートを、増田が弾き出して、事なきを得ましたが、危ない場面でした。
6.転機
後半27分、問題の場面が訪れます。
広島のペナルティエリア付近、鳥栖から見て右サイドで、フリーの選手が2人いるところにボールが流れてきました。
そして、金民友がボールを得てゴール前に迫りました。
その流れでシュートを打たれていたら怖かったのですが、中へのパスを選択、受けた丹羽がシュートを決め切れませんでした。
助かった、と思ったのですが…
丹羽のシュート、確かにカシッチの手に当たっていましたね。PKを取られても文句は言えないところです。
鳥栖にとっては不運な判定だったですね。
そして、このプレーを境に、広島が試合のペースを握るようになりました。
7.待望の得点
最近の広島は、選手交代が以前よりも早くなっている印象があります。
この試合でも、後半30分までには、すべての交代枠を使い切っています。
その、交代で入った選手の活躍により、広島は待望の1点を得ることになります。
後半36分、ミカが右サイドで、相手ディフェンダーとうまく入れ替わって縦に抜けました。
そして、ファーサイドにクロスを上げたところ、鳥栖のDFが2人かぶってしまい、さらに、味方同士で交錯して1人が動けなくなってしまいました。
最後はカシッチが、自分の前にこぼれてきたボールを、駆け引きでフリーになった皆川にやさしく合わせました。
それまで、粘り強く守備してきた鳥栖でしたが、皆川のケアが甘くなったのが致命傷になりました。
8.待望の無失点
リードしてからの広島は、残り時間を考慮に入れつつ、鳥栖の圧力をうまくかわしてあしらいながら、あわよくばもう1点取ろうかという構えでした。
対する鳥栖も、ロングボールを多用してパワープレイでゴールに迫ろうとします。
そして、4分のアディショナルタイムののち、試合終了。
1-0で広島の辛勝となりました。
9.相対評価
私はこの試合、内容はほぼ互角に推移したとみていて、でも最終的には、55-45で広島に分があったか、と評価しています。
10.悲観する必要はない鳥栖
サンフレッチェの戦いを振り返る前に、サガン鳥栖についてコメントしておきます。
試合前日の10日に、韓国メディアで報道された尹晶煥前監督への取材記事が、日本のメディアで紹介されました。
私は、韓国で報じられた内容を見ていませんが、鳥栖の強化部長氏が会見した内容とズレがあったようですね。
「翌日」に試合がある状況で、このズレはつらいですよ。
前回の記事で「チームが混乱してしまう危険も考えられる」と書いたのですが、危惧した通りの流れになってしまいました…
残念です。
一方、解任騒動と無関係のところでは、ゲームプランが少しまずかったのかな、ということも感じました。
吉田新監督が(自ら語ったように)、広島のパスサッカーを必要以上にリスペクトしすぎて、守備の意識を強く持たせすぎたのかな、と思います。
鳥栖のプレイから迫力不足を感じたのは、おそらくそのためでしょう。
ただ、悲観するほどの内容だとは、私は思いませんでした。守備に関しては、前線からのプレッシャーを含め、ほぼ破綻無くやれていましたから。
あとは、前回からの引き続きになりますが、早くチームを落ち着かせること、そのためにうまく時間を使うことが大事になってくると思います。
11.守備は回復の兆しあり
ここからは広島について述べていきます。
この試合で私が最も注目したのは、サンフレサッカーの基本である「厳しさ」をどれだけ表現できるのか、でした。
結論から言うと、球際のところでの頑張りが見えて良かった。合格点をつけていい出来だったと思います。
時間帯を失念しましたが、千葉ちゃんが豊田を潰しに行って、前を向かせなかった場面は、ファールにこそなってしまいましたが、意識して厳しく行っていることが垣間見えました。とても心強かったです。
千葉ちゃんだけではありません。他の選手も同様でした。
皆、ボール保持者にしつこく絡んでいけたように見えたし、最後のところでは絶対にやらせない、という気迫も感じました。
守備組織にしても、鳥栖がボールを保持したときに、ブロックを作るのが早くなっていたし、縦幅もコンパクトに保てていました。
ボール保持者へのプレッシャーも、まずまず掛かっていたと思います。
そして、長いボールに対しては、しっかり体を寄せて、相手に自由にやらせませんでした。
直前の数試合よりは良くなったと、私には見えました。
12.真価が問われる浦和戦
さて、次節はいよいよ、アウェーに乗り込み、浦和戦を迎えます。
プレビューはまた改めて書こうと思いますが、鳥栖戦の内容を受けて、浦和戦を占う場合、残念ながら、勝ち点3の可能性は低いと言わざるを得ません。
昨日の鳥栖戦、前半の戦いは、将棋で言えば、総矢倉でにらみ合う展開でした。(お互いに攻め手を欠き、局面が動かない、ということ。)
実は、守備が大過なくできたのは、広島のスローな戦いに鳥栖が付き合ってくれたから、だと思っていて、「浦和だとこうはいかんじゃろうのう」という危惧を感じていたんですよね。
前々節の神戸戦で、逆転された浦和が執念で追いついた場面を観ました。
アディショナルタイムを含む最後10分間、浦和の選手たちの、攻守の切り替えの素早さ、ボール保持者への寄せの速さ、それも2~3人で囲い込んでしまう迫力…
素晴らしいサッカーを展開していますね、今の浦和は。悔しいけれど、強いです。
そんな浦和に対して「球際で負けないこと」を追求していく作業を行わなければなりません。
大変な作業。でも、やり遂げてほしい。真価が問われますね。
13.あとがき
いやあ、参りました…
書いても書いても、終わりにならんのです(苦)。
途中で休憩を入れながら書きました。うたた寝したり(笑)。
投稿日時は13日ですが、書き始めが12日だったので、文中に「昨日」とある場合は11日を指します。
これで終われます。それではまた。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。