満足はできないが… 納得のドロー ~甲府戦レビュー~
0.まえがき
長いリーグ戦の折り返し点。第17節は、ホームにヴァンフォーレ甲府を迎え撃つ戦いになりました。
カシッチこと柏選手にとっては、移籍後半年、ようやくの古巣対決になりました。
実は、対戦成績で甲府がリードしている、というこのカード。
ヤフコメで「0-1、甲府勝利」を予想している人がいましたが、大いにあり得るスコアなのでした。
いつもの通り、全体としては広島寄りの記事ですが、今日は、甲府のことにも少し触れてみております。
今回は、スカイ・A sports+ HD チャンネルにて生中継を観戦することに。解説はナカジ。
余裕がなくて、スタジアムに向かうこともおぼつかず、ファンとして申し訳ない気持ち大…
今日もメモを取りながらの観戦です。
1.静かな立ち上がり
練習で負傷したと伝えられた寿人が、無事にスタメン。清水の代わりに山岸がスタメン入りしました。(但し、カシッチが右サイドに。)
また、ミカことミキッチが復帰し、野津田がベンチ外になりました。
バックラインは前節のまま。勝ち試合の次ということで、ここは変更しなかったものと思われます。
試合の入りは、前節と同様、最初につっかけていく形。カシッチが、挨拶代わりの突破からチャンスメイクしてみせました。
が、すぐに試合は落ち着きました。甲府の城福監督が「広島は引いているなあ」と語った、というピッチレポートが入りましたが、確かに、広島としては無理していないように思えました。
2.悔やまれる選択
前半21分、甲府の10番に、先制ゴールが生まれます。
クリスティアーノ選手。今年、甲府に加入した選手とのことですが、申し訳ありません、存じ上げませんでした。
ナカジも感心していましたが、いい選手ですね。チームにもフィットしているように見えました。
この場面、GKが蹴り出したボールをセンターサークル付近で奪われたのですが、卓人がボールを受けたとき、近くの選手にパスを預けられなかったか… と思いました。
(先ほどYoutubeで確かめましたが、実際、塩ちゃんが動き直してフリーの位置に向かっていたので、パスコースはありました。)
もちろん、結果論ではあります。しかし、DFからつないででもボールをキープするのが広島の常套手段であることを考えると、あそこで「セカンドチョイス」を選んでしまったことが悔やまれるのです。
但し、失点そのものは、ボール奪取後の、石原克への縦パスからクリスティアーノに回るまでの展開が速く、広島の守備が後手に回ったことによります。
ナカジの指摘通り、各々のポイントで寄せが甘かったことも痛かったです。
そして、シュート自体も鋭いものでしたね。
3.試合展開を変えたプレイ
先に失点してしまい、ゲームプランに狂いが生じた広島。
とはいえ、焦ることはないと思いましたし、チーム自体も、そういうスタンスでプレイしていたようでもありました。
また、30分のピンチでは、エリアに入ってきたクリスティアーノに対し、カズが体を密着させて、自由にシュートを打たせませんでした。
「こういう粘りが重要だよ~」と思いながら観ていました。
そんな中、この試合のターニングポイントとなる出来事が起こりました。
33分、甲府右サイドからのクロスを中央で合わせようと飛び込んだ石原克が、卓人の脇腹に足裏を打ち込んでしまいました。
主審が示したのはレッドカード。
私は、最初、厳しい判定かと思いましたが、スローを見て、これは仕方ないと思い直しました。
石原克選手に悪意がなかったことは明らかですが、大きなケガにつながる危険なプレイでした。
大事に至らず、良かったです。
4.守備の負担軽減
10人になってしまった甲府でしたが、幸いにも、1点のリードを抱えて、試合を進めることができました。
もとより、堅守のチームですし、人数以外はプラン通りの戦いになったとみていました。
ただ、42分の 水野→松橋 の交代は、広島にはむしろプラスかもしれないと思いました。
シャドウの選手が2人ともいなくなってしまったので、2失点目のリスクが激減したと考えたのです。
結果的に、その考えはほとんど的中してくれました。
クリスティアーノの存在がうるさかったけれども、試合終了までの約50分間、甲府のカウンターは数えるほどでした。
5.やるべきことを貫く戦い
後半が始まったところで、ソッコ君と塩ちゃんの位置が入れ替わりました。
塩ちゃんが本来の位置になることで、攻撃の厚みを増やしたいという、監督の意向だと思いました。
広島としては、とにかくボールを動かすことが肝要。相手の疲弊を誘いながら、チャンスを窺います。
対する甲府は、基本、リトリート。ブロックを敷く守備陣形で、広島の攻撃を無力化しようとします。
こうして、「割り切った」甲府と「愚直な」広島とのせめぎあいが、延々と続いていきました。
6.報い
後半26分に、広島が2枚替えを敢行。復帰戦のミカを投入しました。
実は、DFの背後にスペースがない状況の中、ミカを入れるとは思っていませんでした。
ただ、結果的にこの交代策が当たったので、私にとっては嬉しい誤算でした。
後半40分、ミカが左足に持ち替えてクロスを上げると、これに呼応した皆川がファーでヘディングの落とし、最後は柴崎が合わせて、ついに同点に追いついたのです。
甲府が見せた、一瞬のスキでした。
しかし、広島にとっては、愚直にパスを回し、マイボールを保持し、サイドを中心に崩しを試みてきた、長い時間が報われた瞬間でした。
7.いかにベストを尽くせるか
失点の直後、山本選手や佐々木選手が、膝を落とし、手をついてしまうのを見ました。
勝ち点3を奪取するためのプランが崩れてしまっただけに、無理もないところです。
ただ、私は、そのような姿を、なるべくなら見たくありませんでした。
悔やむ気持ちはよく分かりましたが、まだ時間は残っていたし、悔やむ前にやることがあるだろう、と思ったんです。
良かったことに、彼らは悔やむ気持ちを切り替えて、試合終了まで自分たちの戦いを貫き通しました。
広島ファンとしては、追加点を奪えなくて残念ではあるのですが(苦笑)。
結果を残すために、何をするべきか。
敵・味方の関係なく、そこは大事にしてほしいと思うのです。
8.甲府の交代枠
城福監督は、結局、交代のカードを1枚しか切りませんでした。
せっかくの広島なので、(盛田)剛平さんの出場シーンも見たかったですね。
同点に追い付かれたところで、再度勝ち越すための選手交代があってもよかった、と思ったんですが。
交代で守備のバランスを崩すのを嫌ったのかもしれませんね。
9.満足度と納得性
1-1のドローに終わったこの試合。
当然、満足できる結果ではありませんね。やはり、勝ち点3を求めての戦いですから。
ただ、先に失点したことを考えると、勝ち点1を確保できたことで、納得はできる結果なのかな、と思います。
ナカジも再三指摘していましたが、10人になって、甲府の戦い方が整理されましたからね。
「10人の相手になぜ勝てない?!」という声をよく聞きますが、2ラインを固めてガッツリ守備をしてくる相手に、そう簡単に勝ち切れるものではないと思います。
こういう状況でも、得点を挙げて追い付けたことは、一定の評価は与えていいのではないでしょうか。
まあ、もっと工夫すべきだったのは確かだと思いますが。
10.好転の兆し
結局、先制点を与えたことが最大の失敗だったわけです。勝ち点3を取れなかったのは、試合の主導権を甲府に与えてしまったからです。
その辺は反省材料にしてほしいと思います。
ただ、先制されても、チームに焦りの色が全く見られなかったので、これは広島らしさを取り戻しつつある、よい兆候だと思います。
ちなみに、私自身は、後半30分を過ぎて、少々焦ってきました。
久しぶりの感覚ではありましたが… そこは私の反省点ですね。
11.あとがき
対戦1巡目が終わって、勝ち点が27ということは、単純に倍すると54になります。
残留は確実な数字ですが、単純計算の通りにいくかどうか。
もちろん、目指すは勝ち点78!
言うのはタダです(微笑)。
次節は土曜日。ホームで完敗した鹿島アントラーズに、アウェーで借りを返したい戦いです。
生観戦できればいいなあ。
最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。